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第一部:第十五章 その流れる先は
(一)救護院②
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「また悪い夢を見るかもしれんではないか」
エラゼルは頬を染めて口を尖らせると、横を向いた。
帰らないのか、と私が聞いた事に対する答えだった。
素直に帰ると言うとは思っていませんでしたけどね。想定通りの答えに私は思わず笑ってしまった。
横で見ていたメサイナさんが口元を隠して小刻みに揺れている。我々のやり取りを見て笑っているのだろう。
段々とエラゼルの性格が分かってきた気がする。
外から見れば人当たりは良くないが、容姿端麗の完璧人間。でも実際は真面目だけど、面倒くさがりで、根は寂しがりやで不器用。完璧人間ではない。
笑っていたメサイナさんが棚から何かを取り出してきた。
「はいはい、まずは着替えて」
手渡されたのは下着のようなもの。
「これ、かなり露出が高いんですが…」
広げて見ると、隠すところを隠すだけといったものだった。
「治療用だからねえ。怪我の見落としとかは嫌でしょ。まあ、男性も居ないから、気にせずささっと着替えて」
と言われても、かなり抵抗が強い。
エラゼルとは一緒にお風呂に入っているとはいえ、場所が違えばかなり恥ずかしい。
「私は気にせんでいいぞ、ほれほれ」
エラゼルの顔は楽しそうに笑っている。
他人事だから、気楽なのだろう。
「この人も診て貰うことは出来ますか? 私程では無いですが、怪我をしているはずです」
「ええ、ついでですからいいですよ」
意外にあっさりと許可された。
と同時に、笑っていたエラゼルの表情が一瞬で青ざめた。
「私は気にしないよ、ほらほら」
と笑ってみたものの、道連れが出来ただけで着替えなければいけない事は変わらない。
二人は羞恥に頬を染めながら、診療ベッドに乗ると、うつ伏せに転がった。
「やっぱり怪我をしてるじゃない」
軽度の打撲とは言え、エラゼルの体には数ヵ所に痣が出来ていた。
「先程弾き飛ばされた時に少々な…。ラーソルバールの比ではない」
そう言って強がるエラゼル。
「ダメダメ。自分の体も大事にしなさい」
「と、言われてもこの格好は……」
「そうだよねえ…」
部屋の中は暖炉の火があるため、この格好でも寒くはない。
「お風呂だと思うことにしようか」
「……そうだな……」
何となく自分自身を説得し、納得した気になって誤魔化す。
二人の無駄話を聞いて笑いながらも、メサイナさんは怪我の様子を確認している。
「痛っ!」
患部を軽く押され、思わず声が出てしまった。
「これはひどいね。よくこんな状態で動いてたもんだわ」
呆れたように言われた。私としても、この状態で戦いましたとは言えない。
「動くどころか…」
エラゼルが余計な事を言いそうになったので、睨みつける。
「時間がかかりそうだから、軽い人から済ませちゃうわよ」
メサイナさんの言葉に、エラゼルが勝ち誇ったような顔をした。
さっさと終わらせて着替えてしまいたいのだろう。
メサイナさんが詠唱し、魔法を発現させる度に、エラゼルの痣は消えていった。
「前も含めてもう無いかしら?」
エラゼルは体をあちこち見回すと、ほっとしたように頷いた。
ベッドを降りて、鼻歌交じりに着替えるエラゼルを横目に、私は枕に顔を埋める。
「始めますよ」
メサイナさんの声が聞こえたので返事をしたが、上の空だった。
色々あって、頭の中を整理したい。
そう考えていたら、背中に暖かいものを感じた。それとともに痛みが薄れていくのが分かる。
痛みの緩和のおかげか、魔法の効果か、気持ちが落ち着いていく。
いつの間にか、私は眠ってしまっていた。
エラゼルは頬を染めて口を尖らせると、横を向いた。
帰らないのか、と私が聞いた事に対する答えだった。
素直に帰ると言うとは思っていませんでしたけどね。想定通りの答えに私は思わず笑ってしまった。
横で見ていたメサイナさんが口元を隠して小刻みに揺れている。我々のやり取りを見て笑っているのだろう。
段々とエラゼルの性格が分かってきた気がする。
外から見れば人当たりは良くないが、容姿端麗の完璧人間。でも実際は真面目だけど、面倒くさがりで、根は寂しがりやで不器用。完璧人間ではない。
笑っていたメサイナさんが棚から何かを取り出してきた。
「はいはい、まずは着替えて」
手渡されたのは下着のようなもの。
「これ、かなり露出が高いんですが…」
広げて見ると、隠すところを隠すだけといったものだった。
「治療用だからねえ。怪我の見落としとかは嫌でしょ。まあ、男性も居ないから、気にせずささっと着替えて」
と言われても、かなり抵抗が強い。
エラゼルとは一緒にお風呂に入っているとはいえ、場所が違えばかなり恥ずかしい。
「私は気にせんでいいぞ、ほれほれ」
エラゼルの顔は楽しそうに笑っている。
他人事だから、気楽なのだろう。
「この人も診て貰うことは出来ますか? 私程では無いですが、怪我をしているはずです」
「ええ、ついでですからいいですよ」
意外にあっさりと許可された。
と同時に、笑っていたエラゼルの表情が一瞬で青ざめた。
「私は気にしないよ、ほらほら」
と笑ってみたものの、道連れが出来ただけで着替えなければいけない事は変わらない。
二人は羞恥に頬を染めながら、診療ベッドに乗ると、うつ伏せに転がった。
「やっぱり怪我をしてるじゃない」
軽度の打撲とは言え、エラゼルの体には数ヵ所に痣が出来ていた。
「先程弾き飛ばされた時に少々な…。ラーソルバールの比ではない」
そう言って強がるエラゼル。
「ダメダメ。自分の体も大事にしなさい」
「と、言われてもこの格好は……」
「そうだよねえ…」
部屋の中は暖炉の火があるため、この格好でも寒くはない。
「お風呂だと思うことにしようか」
「……そうだな……」
何となく自分自身を説得し、納得した気になって誤魔化す。
二人の無駄話を聞いて笑いながらも、メサイナさんは怪我の様子を確認している。
「痛っ!」
患部を軽く押され、思わず声が出てしまった。
「これはひどいね。よくこんな状態で動いてたもんだわ」
呆れたように言われた。私としても、この状態で戦いましたとは言えない。
「動くどころか…」
エラゼルが余計な事を言いそうになったので、睨みつける。
「時間がかかりそうだから、軽い人から済ませちゃうわよ」
メサイナさんの言葉に、エラゼルが勝ち誇ったような顔をした。
さっさと終わらせて着替えてしまいたいのだろう。
メサイナさんが詠唱し、魔法を発現させる度に、エラゼルの痣は消えていった。
「前も含めてもう無いかしら?」
エラゼルは体をあちこち見回すと、ほっとしたように頷いた。
ベッドを降りて、鼻歌交じりに着替えるエラゼルを横目に、私は枕に顔を埋める。
「始めますよ」
メサイナさんの声が聞こえたので返事をしたが、上の空だった。
色々あって、頭の中を整理したい。
そう考えていたら、背中に暖かいものを感じた。それとともに痛みが薄れていくのが分かる。
痛みの緩和のおかげか、魔法の効果か、気持ちが落ち着いていく。
いつの間にか、私は眠ってしまっていた。
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