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第二部:第十八章 旅立ちは報せとともに
(二)依頼②
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「ああ、いや、すみません。言葉を省きすぎましたかね。貴女には『身分を隠して冒険者として隠密に活動』して頂きたい」
ラーソルバールはほっとしたように、目をつぶって息を吐くと、落ち着いてから再び目を開いた。
「と、仰いますと?」
「貴女には常闇の森の調査をして頂きたい。ご存知だと思いますが、それは騎士団からの要望でもあります」
それはラーソルバールが覚悟していたものだった。直接の指名は予想外だったが。
「ただ、そのままでは潜入は無理なので、友好国であるシルネラ共和国の協力を仰ぎました。貴女はレンドバール王国出身の冒険者で、現在は立ち寄ったシルネラ国内のギルドに在籍している事になります。そして常闇の森に『冒険に来た』という話で通します」
「何だかややこしいですね」
シルネラ共和国は、ヴァストール王国の東に位置し、帝国とも国境を接している。今のところ、帝国との関係は悪くない。
そして、西にあるレンドバール王国は、かつては友好国であったが、今は帝国の属国と化しており、関係は良いとは言えない。
国内外の情勢を考え、身分を怪しまれぬよう、そしてシルネラ共和国に迷惑をかけないよう考慮した結果なのだろう。
「色々としがらみが有るのですよ」
「はぁ…それは分かっているつもりですが」
現在関係が緊張しつつあるこの国の人間が、帝国にとって知られたくない部分に足を踏み入れる、という事が非常に危険だというのは理解できる。
「同行者の人選はお任せしますが、他の生徒達と同様にクラス内から選出してください」
「はい」
矢継ぎ早に言われ、考える余裕はない。
だが、今この依頼を受けることがこの国を守ることに繋がる。何も迷う必要はなかった。
「身分証明用の認識票はシルネラから十余名分、無記名の状態で譲って貰いました。魔法学院、救護学園からも一名ずつ参加することになっていますが、主体はウチ、つまり貴女です」
多少偏った編成になるのを覚悟して出掛けなくてはならないということだ。
「同行者が決まり次第、連絡をください、すぐに手配します。と言っても全員に偽名を使って頂きますが…」
「現地までは?」
「乗り合い馬車を手配していますので、シルネラ経由で帝国に入国して頂きます。途中、シルネラのギルドに寄って貰います……」
こうして、生徒でありながら、国からの極秘任務を受ける事になったラーソルバールは校長室を出ると、小さくため息をついた。
「いいように使われている気がするな…」
ラーソルバールが教室に戻る頃には、これからのひと月をどう活動するのかと、皆が騒いでいた。国からの支給があるので、食事や宿には困らないが、どこへ行くのか何をするのか、全く手探りと言って良い。
報告や任務自体の指示は、現地担当の騎士に指示を仰ぐことになるそうだが、全く環境が異なる場所での活動に不安は増すばかりだった。
誰が誰と組むか、など喧騒の中に戻ってきたラーソルバールを、友人達以外は誰も気に止めていなかった
「我々は常闇の森か?」
校長室から戻ってきた友に気付いたエラゼルは、椅子から立ち上がるとラーソルバールの耳元で小さな声で尋ねた。
ラーソルバールが頷くと、納得したようにエラゼルは再び椅子に座る。
「当然、私も連れて行くのだろう?」
目は笑っていないが、口許に笑みを浮かべ、反論を許さない雰囲気を醸し出していた。
ラーソルバールはほっとしたように、目をつぶって息を吐くと、落ち着いてから再び目を開いた。
「と、仰いますと?」
「貴女には常闇の森の調査をして頂きたい。ご存知だと思いますが、それは騎士団からの要望でもあります」
それはラーソルバールが覚悟していたものだった。直接の指名は予想外だったが。
「ただ、そのままでは潜入は無理なので、友好国であるシルネラ共和国の協力を仰ぎました。貴女はレンドバール王国出身の冒険者で、現在は立ち寄ったシルネラ国内のギルドに在籍している事になります。そして常闇の森に『冒険に来た』という話で通します」
「何だかややこしいですね」
シルネラ共和国は、ヴァストール王国の東に位置し、帝国とも国境を接している。今のところ、帝国との関係は悪くない。
そして、西にあるレンドバール王国は、かつては友好国であったが、今は帝国の属国と化しており、関係は良いとは言えない。
国内外の情勢を考え、身分を怪しまれぬよう、そしてシルネラ共和国に迷惑をかけないよう考慮した結果なのだろう。
「色々としがらみが有るのですよ」
「はぁ…それは分かっているつもりですが」
現在関係が緊張しつつあるこの国の人間が、帝国にとって知られたくない部分に足を踏み入れる、という事が非常に危険だというのは理解できる。
「同行者の人選はお任せしますが、他の生徒達と同様にクラス内から選出してください」
「はい」
矢継ぎ早に言われ、考える余裕はない。
だが、今この依頼を受けることがこの国を守ることに繋がる。何も迷う必要はなかった。
「身分証明用の認識票はシルネラから十余名分、無記名の状態で譲って貰いました。魔法学院、救護学園からも一名ずつ参加することになっていますが、主体はウチ、つまり貴女です」
多少偏った編成になるのを覚悟して出掛けなくてはならないということだ。
「同行者が決まり次第、連絡をください、すぐに手配します。と言っても全員に偽名を使って頂きますが…」
「現地までは?」
「乗り合い馬車を手配していますので、シルネラ経由で帝国に入国して頂きます。途中、シルネラのギルドに寄って貰います……」
こうして、生徒でありながら、国からの極秘任務を受ける事になったラーソルバールは校長室を出ると、小さくため息をついた。
「いいように使われている気がするな…」
ラーソルバールが教室に戻る頃には、これからのひと月をどう活動するのかと、皆が騒いでいた。国からの支給があるので、食事や宿には困らないが、どこへ行くのか何をするのか、全く手探りと言って良い。
報告や任務自体の指示は、現地担当の騎士に指示を仰ぐことになるそうだが、全く環境が異なる場所での活動に不安は増すばかりだった。
誰が誰と組むか、など喧騒の中に戻ってきたラーソルバールを、友人達以外は誰も気に止めていなかった
「我々は常闇の森か?」
校長室から戻ってきた友に気付いたエラゼルは、椅子から立ち上がるとラーソルバールの耳元で小さな声で尋ねた。
ラーソルバールが頷くと、納得したようにエラゼルは再び椅子に座る。
「当然、私も連れて行くのだろう?」
目は笑っていないが、口許に笑みを浮かべ、反論を許さない雰囲気を醸し出していた。
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