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さあここを出よう
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「ねぇっ!?聞いてるのっ!?!?」
ぼんやりとした頭に響く声。
赤いものが視界に揺れる。
これ、なんだっけ・・
・・・あー髪だ。赤い髪・・
「だからっ聞いてるのかって言ってんのよっ!」
バシッ!!
肩に衝撃を受ける。
何だか久しぶりに感じるリアル。
少しずつ少しずつ、意識が浮上する。
「何でアンタなんかがっ!知ってるのよ!アンタがアル様どころか、サイファ様やロイド様ともっ!汚らわしい!」
バシャッ!
冷たい。あー久しぶりに冷たいって認識してる。
意識がはっきりしてきた。
多分コップに汲まれた水をかけられたんだろうなぁ。とぼんやりかけた本人を見る。
「私がっ私が皇太子妃になるはずだったのに。何でたかが男爵家のあんな女に!アル様は私と結婚するはずだったのよ!何で私が修道院でアンタはこんなところで、あの方達とっあんなっっ!」
バシッ!
今度は顔に衝撃。言っていることは支離滅裂だが、いいぞ。意識がクリアになっていく。なんか変態な感じもするが、今は気にしたら負けだ。もっと強めにカモン!
「1ヶ月もかかって戻ってきたら、あの女は何だかおかしくなってるし。
アル様に。いえ、あの方達に愛されるのは私よっ!」
バシッ!バシッ!
あーこいつ自称皇太子の婚約者筆頭だったロンドリンド侯爵家のアイシャ嬢じゃね。
ビンタの連打でより意識がはっきりしてきた!
まあ俺が寝かされてるベッドは魔法省一の魔術師ロイドがかけた自動洗浄、自動治癒、意識混濁効果、その他もろもろ効果付きなので、正直あまり痛くもないしぶたれてもすぐ治るんだけどね。
「私がっ!私が愛されるはずなのよっ!私がっ」
バシッ!バシッ!っっ!
ぶってくる手首を掴む。
「・・それは代わりたいということか?」
久しぶりに自分のまともな声を聞いた。
「っっ!」
今まで何の反応も示さなかった人間がまさか手首を掴むとも話すとも思わなかったのだろう。
わずかに驚いた後、キッと睨みつけてくる。
「そこは私の場所よっ」
いいだろう!気に入った!手首を引いて間近に目を合わせる。
確か彼女は王太子の婚約者候補に上がるくらいには魔力も多かったはず。いけるか。
「souls switching」
魂が身体から分離し浮上して、合わせた目から相手の身体に入る。
視界がぐるりと反転する。
はぁあぁぁ。
「空気が美味い」
馴染みのない少しハスキーな声。
これ怒鳴り過ぎて喉痛めてるな。
見下ろすと、淡い金髪に焦点のあっていない薄い青い目でぼんやり見つめてくる男性が横たわっている。
19年間「俺」だった身体。
ごめんな。置いていってしまうけど。
19年間ありがとうな。
さっきアイシャが1ヶ月もかかったと言っていたから、件の日から1ヶ月は経過しているのか。
1ヶ月、ベッドの意識混濁効果によりほぼ記憶はないが、アイシャの言葉とこの状況から自分の身に起こったことは容易に想像が出来る。
自動治癒効果とはいえ、それは傷つけられた傷が治るだけで、心までは治癒出来ない。そして、心に引きづられて身体も少しずつ弱っていく。記憶より痩せた身体にもう一度感謝を伝える。
「ありがとうな。あっアンタも。ありがとうな」
意識が混濁しているだろう俺の身体の中にいるアイシャにも感謝を伝える。
お互いの代わりたいという気持ちと魔力量がある程度一致しないと成立しない。魂の交換。
お互い代わりたいという気持ちが一緒で嬉しいよ。アイシャ嬢。
最後に自分を一瞥し、彼女が持ってきただろう食事のトレーを持って、俺は。あっ私は外へ出た。
ぼんやりとした頭に響く声。
赤いものが視界に揺れる。
これ、なんだっけ・・
・・・あー髪だ。赤い髪・・
「だからっ聞いてるのかって言ってんのよっ!」
バシッ!!
肩に衝撃を受ける。
何だか久しぶりに感じるリアル。
少しずつ少しずつ、意識が浮上する。
「何でアンタなんかがっ!知ってるのよ!アンタがアル様どころか、サイファ様やロイド様ともっ!汚らわしい!」
バシャッ!
冷たい。あー久しぶりに冷たいって認識してる。
意識がはっきりしてきた。
多分コップに汲まれた水をかけられたんだろうなぁ。とぼんやりかけた本人を見る。
「私がっ私が皇太子妃になるはずだったのに。何でたかが男爵家のあんな女に!アル様は私と結婚するはずだったのよ!何で私が修道院でアンタはこんなところで、あの方達とっあんなっっ!」
バシッ!
今度は顔に衝撃。言っていることは支離滅裂だが、いいぞ。意識がクリアになっていく。なんか変態な感じもするが、今は気にしたら負けだ。もっと強めにカモン!
「1ヶ月もかかって戻ってきたら、あの女は何だかおかしくなってるし。
アル様に。いえ、あの方達に愛されるのは私よっ!」
バシッ!バシッ!
あーこいつ自称皇太子の婚約者筆頭だったロンドリンド侯爵家のアイシャ嬢じゃね。
ビンタの連打でより意識がはっきりしてきた!
まあ俺が寝かされてるベッドは魔法省一の魔術師ロイドがかけた自動洗浄、自動治癒、意識混濁効果、その他もろもろ効果付きなので、正直あまり痛くもないしぶたれてもすぐ治るんだけどね。
「私がっ!私が愛されるはずなのよっ!私がっ」
バシッ!バシッ!っっ!
ぶってくる手首を掴む。
「・・それは代わりたいということか?」
久しぶりに自分のまともな声を聞いた。
「っっ!」
今まで何の反応も示さなかった人間がまさか手首を掴むとも話すとも思わなかったのだろう。
わずかに驚いた後、キッと睨みつけてくる。
「そこは私の場所よっ」
いいだろう!気に入った!手首を引いて間近に目を合わせる。
確か彼女は王太子の婚約者候補に上がるくらいには魔力も多かったはず。いけるか。
「souls switching」
魂が身体から分離し浮上して、合わせた目から相手の身体に入る。
視界がぐるりと反転する。
はぁあぁぁ。
「空気が美味い」
馴染みのない少しハスキーな声。
これ怒鳴り過ぎて喉痛めてるな。
見下ろすと、淡い金髪に焦点のあっていない薄い青い目でぼんやり見つめてくる男性が横たわっている。
19年間「俺」だった身体。
ごめんな。置いていってしまうけど。
19年間ありがとうな。
さっきアイシャが1ヶ月もかかったと言っていたから、件の日から1ヶ月は経過しているのか。
1ヶ月、ベッドの意識混濁効果によりほぼ記憶はないが、アイシャの言葉とこの状況から自分の身に起こったことは容易に想像が出来る。
自動治癒効果とはいえ、それは傷つけられた傷が治るだけで、心までは治癒出来ない。そして、心に引きづられて身体も少しずつ弱っていく。記憶より痩せた身体にもう一度感謝を伝える。
「ありがとうな。あっアンタも。ありがとうな」
意識が混濁しているだろう俺の身体の中にいるアイシャにも感謝を伝える。
お互いの代わりたいという気持ちと魔力量がある程度一致しないと成立しない。魂の交換。
お互い代わりたいという気持ちが一緒で嬉しいよ。アイシャ嬢。
最後に自分を一瞥し、彼女が持ってきただろう食事のトレーを持って、俺は。あっ私は外へ出た。
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