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第3章 人と人とが行き交う街 アザレア

3-25 『駆け出し冒険者の錬金術〜盾と矛〜』

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【ルフォニアの布】
 冒険者たるもの防具と武器は揃えなきゃいけないだろ? 防具を作る上でオススメな布はコレ! 錬金釜に入れた後の注意点としては、圧倒的なMPでねじ伏せるっていうんじゃなくて、MPを繊細に与えていくってこと。そう、紡ぐようにな。
 ……ヤベェ、めちゃくちゃそれっぽくて綺麗なこと言えた、俺。
 あ、そうそう。錬成前には不純物を取り除くためによくよく洗うんだぞ。
 ・ルフォニアの綿花 ×3
 ・水 ×6
 ・塩 ×1(ひと匙)
 ・【ミール液】 ×1(ひと匙)

【一角牛の暴れ革】
 まるで暴れ馬。じゃじゃ馬ならぬじゃじゃ牛の革だ。これは、一角牛のドロップアイテムで採れたアイテムを加工してできる革なんだが……。実際に錬成してみたらなんで暴れ革って名前なのか、その由来を体感すると思うぞ。
 俺が言えることはたった一言だ。
 「ねじ伏せろ!」
 ――以上、解散!
 ・一角牛の革 ×3
 ・【火薬草の結晶】 ×1
 (注意)【火薬草の結晶】は粉末にしてから振り入れること。粉末にする際は爆発注意だぞ。

【スリウムの加工金属】
 これがさ! 万能なんだわ。打てば打つほど固くもなれるし、扱い次第でしなやかにもなれる。この錬成アイテムを細長く引き伸ばして編んだ鞭はかなりオススメ。変幻自在なこの錬成アイテムは使い手次第。ちなみに耐火・絶縁効果もあるから布に付与するのもいいかもな。
 ――おっと、付与の話はまた別の本で語るとするか。まぁ、勘のいい錬金術士なら独学で付与できそうだけどな! (俺みたいに)
 ・スリウムの原石 ×4
 ・【火薬草の結晶】 ×2
 ・水 ×1
 (注意)スリウムの原石ら見た目はただの石ころだぞ。でも、触ればわかる。びっくりするぞ。



 攻撃は最大の防御なりー! ってよく言うだろ? あれはな、本当のようで本当ではないと俺は思う。

 想像してみてくれ。
 例えばピギーウルフが目の前にいるだろ?
 木のロッドを振りかざすだろ?
 避けられて噛まれるっていうか喰われるだろ?

 ……な?
 
 どんなにいい武器を持ってたって、圧倒的な攻撃力を誇っていたって、攻撃が当たらなきゃ意味がないんだ。

 それこそさ。

 もともと超絶優れたアタッカーであるなら、やりようもあるだろうけど。

 職業も闘い方も十人十色だろ?

 タンクみたいに、守りに徹してくれてパーティーを安定に導いてくれる者もいれば、サポート専門のヒーラーだっている。錬金術士は、攻防どちらも可能性があるとはいえ。
 俺もそうだけど、スピード戦には弱いんだよな。スピード重視で迫られちまうと、なかなか対応できないこと、あるんだよなぁ。まぁ、アクセサリーで対策とってはいるけどさ。

 だから、えーと。
 何が言いたいかっていうと、パーティーっていうものは、「盾と矛」どちらもいなければ成り立ち難いってこと。
 
 攻撃重視のパーティーでは、防御力に欠けるし、
 防御重視のパーティーでは、攻撃力に欠ける。

 盾と矛、両方揃っていたらベストだよな。

 ……だけど。
 
 もともと一匹狼で冒険する者もいるだろうし、攻防どちらかに偏りがちなパーティーだってあるだろ? パーティーメンバーを募っても、上手くいかないことだって、そりゃああるさ。

 だから、それをさ!

 錬金術士の力で。
 錬成アイテムを駆使することで、少しでも均衡の取れたパーティーにすることができたら、最高だよな!
 ……と俺は思うわけ。
 ああ、なんだか少し照れくさいぞ。
 
 ……ということで、まずは盾と矛に成り得る下素材となる錬成アイテムを作って、そしてそれを防具や武器に加工してさ。

 サポートしていこうぜ。
 自分自身を。
 愛するパーティーをさ。


 ベストではなく、ベターを狙え!
 
 なんちゃってな。


 お、そうだ!
 この程度なら錬金釜でも錬成できるけど、いざ本格的な防具や武器を作ろうってなったら、もっと火力を出せる竈門みたいなものがあったほうがいいと思うぞ。
 ……まぁ、錬金釜でも作れないことはない、けど。MP枯渇で卒倒必至だろうな。(体験談)

 竈門がない場合は、武器屋に持ち込むのもアリだと思うぜ。

 行く先々での出会いを大切にな。
 頑張れよ! 駆け出し冒険者!
 


 願わくば、錬金術の知識が後世へ語り継がれることを祈って。

 著者:スズツリー=ソウタ

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