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「もう一つ。アレクシアがそこの子爵令嬢と、そもそも接触していたかを調べると同時に、貴様ら二人が本当に友人関係なのかどうかも調べさせてもらうが、かまわんな?」
「ア、アルマンド伯爵は、ぼくのこと、信じてはいないのですね?!」
「何の証拠も証人もいないのだ。まず娘を信じるのは、親として当然だろう──と、言いたいところだが」
ダレルが「な、何ですか……っ」と、後退る。
「本当にやましいことがないのなら、先ほどの私の問いに、即答できるはずだろう。どう調べてもらってもかまわない、とな」
「…………ち、違っ」
「それで、そこの娘。日付と時間は思い出せたか?」
完全に油断していたバーサが、びくっと身体を揺らした。アルマンド伯爵は、もういい、と吐き捨てた。
「どちらにせよ、アレクシアと貴様の婚約はなしだ。オリバー伯爵には、私から話をする」
その科白にダレルは一転、顔をほころばせた。
「そ、それは、お互い合意ということで、つまりは、婚約解消ということでしょうか?」
ここまできたら、ダレルはもう、穏便に事を進めたかった。本来はアレクシアを悪者にして、こちらから婚約を破棄したかった。でも、もういい。婚約解消ならきっと、父上も許してくれるから。
「──馬鹿か貴様は」
低音の、地の底から響いたような声色に、ダレルは悲鳴をあげそうになった。
「お前たちの態度から、アレクシアこそが正しいとわかった。これから、それを証明するために、証拠と証人を集める。そのうえで、貴様とは婚約破棄する。アレクシアに冤罪をかぶせたうえ、暴力をはたらいたのだからな。慰謝料の額は、容赦せん──もっとも、オリバー伯爵に、その力はないがな」
「……へ?」
「何だ、その間抜け面は。オリバー伯爵は、領地を借金の担保に入れなければならないほどに、金に困っているではないか」
ダレルは目を丸くしたまま、固まってしまった。まったくの、初耳だったからだ。それはむろん、隣にいるバーサも同じだったようで。
「ちょ、ちょっとどういうこと?! そんなの聞いてない!!」
ダレルの身体を揺するが、ダレルは身体を硬直させたまま、動かなくなってしまった。
アルマンド伯爵は、心底呆れながら、深いため息をついた。
「ア、アルマンド伯爵は、ぼくのこと、信じてはいないのですね?!」
「何の証拠も証人もいないのだ。まず娘を信じるのは、親として当然だろう──と、言いたいところだが」
ダレルが「な、何ですか……っ」と、後退る。
「本当にやましいことがないのなら、先ほどの私の問いに、即答できるはずだろう。どう調べてもらってもかまわない、とな」
「…………ち、違っ」
「それで、そこの娘。日付と時間は思い出せたか?」
完全に油断していたバーサが、びくっと身体を揺らした。アルマンド伯爵は、もういい、と吐き捨てた。
「どちらにせよ、アレクシアと貴様の婚約はなしだ。オリバー伯爵には、私から話をする」
その科白にダレルは一転、顔をほころばせた。
「そ、それは、お互い合意ということで、つまりは、婚約解消ということでしょうか?」
ここまできたら、ダレルはもう、穏便に事を進めたかった。本来はアレクシアを悪者にして、こちらから婚約を破棄したかった。でも、もういい。婚約解消ならきっと、父上も許してくれるから。
「──馬鹿か貴様は」
低音の、地の底から響いたような声色に、ダレルは悲鳴をあげそうになった。
「お前たちの態度から、アレクシアこそが正しいとわかった。これから、それを証明するために、証拠と証人を集める。そのうえで、貴様とは婚約破棄する。アレクシアに冤罪をかぶせたうえ、暴力をはたらいたのだからな。慰謝料の額は、容赦せん──もっとも、オリバー伯爵に、その力はないがな」
「……へ?」
「何だ、その間抜け面は。オリバー伯爵は、領地を借金の担保に入れなければならないほどに、金に困っているではないか」
ダレルは目を丸くしたまま、固まってしまった。まったくの、初耳だったからだ。それはむろん、隣にいるバーサも同じだったようで。
「ちょ、ちょっとどういうこと?! そんなの聞いてない!!」
ダレルの身体を揺するが、ダレルは身体を硬直させたまま、動かなくなってしまった。
アルマンド伯爵は、心底呆れながら、深いため息をついた。
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