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ペトロフ伯爵の息子、パーシーは、ヴェセリー伯爵の娘、カーラの、親が決めた結婚相手。いわゆる政略結婚ではあるが、これといって互いに不満はなかった。
だが、パーシーが十代前半になったころだろうか。もともと可愛い女の子が好きだったパーシーは、使用人だろうが平民だろうが、例えカーラの前でも平気で口説くようになった。冗談だよと笑ってはいたが、ついに、とある平民と一線を越えてしまった。
不貞行為に及んでしまったのだ。
だが、カーラはパーシーを許した。それでパーシーは自信を持ってしまったのだろう。それほどカーラは、自分のことを愛しているのだと。
むろん、他に目移りしてしまうことはあれど、パーシーの一番はカーラだ。きっとカーラも、それはわかっている。だからこそ、何をしても、最後には許してくれる。そう思うようになった。
──さて。
パーシーとカーラが十五才になる年。地元をはなれ、王都にある王立学園に通うことになった。その王立学園では、一つ年上の先輩──子爵令嬢のアデル・イリックがいたのだが、そのアデルはまわりから、ちょっとした注目を浴びている子だった。
アデルはいつも、どこかしら怪我をしていた。学友がどうしたのと聞いても、転んだとか、何でもないです、と曖昧に答えるだけ。でもまわりは、何となく原因を察していた。
アデルは五年前に実父を亡くしているが、実母が二年前に再婚したため、いまは実母と義理の父、そして義理の父の連れ子、二人と王都で暮らすようになった。
その連れ子は男と女で、アデルより二つ、三つ年下なのだが──はっきり言って、見目があまりよくない。対して、アデルは庇護欲をそそる可愛いらしい顔立ちをしていた。
イリック子爵家からはよく、怒鳴り声が聞こえてくるという。その中に、アデルの声はない。中で誰が誰に怒鳴られているか。想像にかたくない。
けれど証拠はなく、アデル本人が何でもありませんとやんわりと否定するので、まわりは何もできなかったし、正直、面倒事にはかかわりたくないというのが本音だったのだろう。
──だが、パーシーは違った。
だが、パーシーが十代前半になったころだろうか。もともと可愛い女の子が好きだったパーシーは、使用人だろうが平民だろうが、例えカーラの前でも平気で口説くようになった。冗談だよと笑ってはいたが、ついに、とある平民と一線を越えてしまった。
不貞行為に及んでしまったのだ。
だが、カーラはパーシーを許した。それでパーシーは自信を持ってしまったのだろう。それほどカーラは、自分のことを愛しているのだと。
むろん、他に目移りしてしまうことはあれど、パーシーの一番はカーラだ。きっとカーラも、それはわかっている。だからこそ、何をしても、最後には許してくれる。そう思うようになった。
──さて。
パーシーとカーラが十五才になる年。地元をはなれ、王都にある王立学園に通うことになった。その王立学園では、一つ年上の先輩──子爵令嬢のアデル・イリックがいたのだが、そのアデルはまわりから、ちょっとした注目を浴びている子だった。
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アデルは五年前に実父を亡くしているが、実母が二年前に再婚したため、いまは実母と義理の父、そして義理の父の連れ子、二人と王都で暮らすようになった。
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けれど証拠はなく、アデル本人が何でもありませんとやんわりと否定するので、まわりは何もできなかったし、正直、面倒事にはかかわりたくないというのが本音だったのだろう。
──だが、パーシーは違った。
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