悲劇の令嬢を救いたい、ですか。忠告はしましたので、あとはお好きにどうぞ。

ふまさ

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 根っからの女好き。こと、可愛い女の子に対して、パーシーが色んな意味でほうっておけるわけもなく。

「先輩。また怪我をしていますね。ほら、手当てをしますから、こちらに」

 学園の廊下でパーシーに呼び止められたアデルが「い、いえ。そんな」と、首を左右にふり、右手の甲にある切り傷をそっと左手で覆った。

「こんなもの、怪我のうちに入りませんから……あの、ご心配をおかけして、申し訳ありません」

「謝らないでください。ぼくが勝手に心配しているだけですから。──先輩のことが、どうしてもほうっておけないもので」

「……え、ええと」

「ふふ。困惑する姿もとても愛らしいですね」

「か、からかわないでください」

「からかってなど。これは本心ですからね」

「あ、あなたには婚約者がいるのでしょう?」

 おや。
 パーシーは、わざとらしく肩をすくめた。

「ご存知でしたか。残念です」

「……あたしに同情なんかしてかまっていると、婚約者の方に怒られてしまいますよ」

「ご心配なく。カーラはぼくのことを心から愛していて、相思相愛ですから」

「……それは、良かったです」

「妬かないでくださいよ。可愛いなあ」

「か、からかわないでくださいと言ったばかりですっ」

 小さく声をあげるアデルを壁際に寄せ、パーシーはアデルの逃げ場をなくすように壁に手をついた。

「からかってなど、いません。ぼくはあなたを、救いたいのです」

 これまでの口調から一変したパーシーに、アデルは困惑した。

「…………え?」

「ほぼ毎日、どこかしら傷を負ってくるあなたを、ぼくはもう、見ていられないのです」

 アデルが「こ、これは……あたしがドジなだけで」と、目線を泳がす。

「嘘をつかないでください。みな、口にしないだけで、理由は察しているのですよ」

「…………」

 うつむき、無言をつらぬくアデル。パーシーは「ぼくはいま、両親とはなれて暮らしています。使用人はいますがね」と口火を切った。

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