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「……それが、あたしに何の関係が」
アデルが首を傾げる。パーシーは、小さく笑った。
「ご自身の屋敷に帰りたくないとき、いつでもぼくのところに来てもかまわないということです」
「……そ、それは……できませんよ」
「何故です?」
「あたしはあなたのことをよく知りませんし、先ほども申した通り、あなたには婚約者が……」
「先輩。ぼくにはやましい気持ちなどありません。これは言うなれば、人助けです。それをとやかく言うほど、カーラは心の狭い人間ではありませんよ」
「……で、ですが。あたしは別に、あの屋敷から逃げ出したいなどと……」
「──本当に?」
パーシーが、アデルの目を真っ直ぐに見つめる。アデルは思わず、さっと目をそらせた。
「……おかわいそうに」
パーシーが、小さく呟いた。アデルの指が、ぴくりと僅かに動いた。
「みなは、あなたに同情しながらも、何も行動を起こさない。ぼくはそんなやからとは違います」
「……パーシー様」
熱っぽいアデルの瞳に、パーシーは満足そうに壁から手をはなし、少しの距離をとった。
「わかりましたよ、先輩。あなたは婚約者であるカーラの気持ちを心配してくださっているのですね」
「そ、それはそうですけど……」
「お優しい方だ。さっそく、カーラに事情を話すことにします。そしてカーラの了承を得たら、あなたは今度こそ何の遠慮もなく、ぼくの家に来てくれると約束してくださいね」
「え、あの……」
「むろん、寝泊まりしてくださってもかまいませんよ。それでは、次の授業がはじまりますので、今日はこれで」
アデルの返答を待たず、パーシーは軽い足取りで、その場を後にした。
アデルが首を傾げる。パーシーは、小さく笑った。
「ご自身の屋敷に帰りたくないとき、いつでもぼくのところに来てもかまわないということです」
「……そ、それは……できませんよ」
「何故です?」
「あたしはあなたのことをよく知りませんし、先ほども申した通り、あなたには婚約者が……」
「先輩。ぼくにはやましい気持ちなどありません。これは言うなれば、人助けです。それをとやかく言うほど、カーラは心の狭い人間ではありませんよ」
「……で、ですが。あたしは別に、あの屋敷から逃げ出したいなどと……」
「──本当に?」
パーシーが、アデルの目を真っ直ぐに見つめる。アデルは思わず、さっと目をそらせた。
「……おかわいそうに」
パーシーが、小さく呟いた。アデルの指が、ぴくりと僅かに動いた。
「みなは、あなたに同情しながらも、何も行動を起こさない。ぼくはそんなやからとは違います」
「……パーシー様」
熱っぽいアデルの瞳に、パーシーは満足そうに壁から手をはなし、少しの距離をとった。
「わかりましたよ、先輩。あなたは婚約者であるカーラの気持ちを心配してくださっているのですね」
「そ、それはそうですけど……」
「お優しい方だ。さっそく、カーラに事情を話すことにします。そしてカーラの了承を得たら、あなたは今度こそ何の遠慮もなく、ぼくの家に来てくれると約束してくださいね」
「え、あの……」
「むろん、寝泊まりしてくださってもかまいませんよ。それでは、次の授業がはじまりますので、今日はこれで」
アデルの返答を待たず、パーシーは軽い足取りで、その場を後にした。
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❇❇❇❇❇❇❇❇❇
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