悲劇の令嬢を救いたい、ですか。忠告はしましたので、あとはお好きにどうぞ。

ふまさ

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「きみに相談したいことがあるんだ」

「はい。何でしょう」

 学園内にある食堂で、優雅にランチを楽しむカーラに、パーシーは真剣な表情で口火を切った。

「きみも、悲劇の令嬢と噂されている先輩のことは知っているよね?」

 カーラが「ええ」と答える。

「最近、あなたが彼女のことを心配して、とても熱心に声をかけていることも承知していますよ」

 パーシーが肩をすくめる。

「妬いているのかい? 心配しなくても、ぼくの心はきみだけのものさ。ぼくは純粋に、彼女のことを心配しているだけだよ。どうにかして、救ってあげられないか。最近はそればかり考えているよ」

 物憂げに、パーシーが語る。カーラは「そうですか」と、食事を続けた。

「……きみのその凛とした強さは好きだけど、少し冷たすぎやしないかい?」

 パーシーの言葉に、カーラはぴたっと手を止めた。そしてナイフとフォークを静かに置いた。

「……確かに、そうかもしれませんね。それで、相談というのは?」

「ああ、うん。ぼくも少し、きつく言いすぎたかも。謝るよ。それで、相談というのはだね。悲劇の令嬢、アデル先輩の居場所──逃げ場といってもいいかな。それをぼくが、つくってあげたいと思っていて」

「逃げ場、ですか?」

「そう。ぼくはいま、父上たちとはなれて暮らしている。使用人はいるけど、まあ、屋敷は自由につかえる」

「はあ。つまりは、あなたの屋敷を彼女の逃げ場にしたいと」

「! そう。さすがぼくの自慢の婚約者だね。察しがよくて助かるよ。でも、彼女にその話をしたら、婚約者であるきみにとても遠慮してしまってね。きみが了承してくれるならってことになったんだけど……どう、かな? きみはとても優しいから、困っている女性を見捨てるなんてこと、しないよね?」

 すがるような双眸を向けてくるパーシー。遠回しな嫌味のような科白に怯むことなく、カーラはしばし、黙考した。

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