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「どうして? お願いだから、カーラに会わせてくれ。心配なんだよ」
流石に二回目の見舞いを断られたパーシーが、カーラ付きの侍女に食い下がる。侍女が困っていると、カーラが寝巻きのまま、二階からおりてきた。
「カーラ! 心配したよ。起きて大丈夫なのかい?」
一定の距離を保ったまま、カーラが止まる。近付いてこようとするパーシーを、やんわりと手で制止した。
「風邪がうつるといけないので、あまり近付かないでください」
「そんな………そんなこと気にしなくていいんだよ」
「わたしが気にするのです。見てわかる通り、だいぶ具合は良くなりました。明日は大事をとって休もうと思っていますが、明後日には学園に行けるかと」
「そうなのかい? それは安心したよ。アデルもね。きみのことをとても心配していて」
カーラの指が、僅かにぴくりと動いた。
「……アデル・イリックとは仲良くやれていますか?」
「仲良くだなんて、そんな言い方はよしてくれ。でも、そうだな。昼食は一緒にとっているよ」
「あなたの屋敷にはもう、招待したのですか?」
「したけど、断られてね。どうもきみに遠慮してしまっているようで」
「そうですか」
「ああ、きみを責めているわけではないよ」
慌てて取り繕うが、カーラはさして気にしていない様子だった。
「はあ。とにかく、わたしなら大丈夫ですので、明日の見舞いは結構です。明後日、お会いしましょう」
カーラが深々と頭を下げる。暗に、帰れと言われている気がして、パーシーは何だか悲しくなった。
「でも、昨日もぼくに会えなくて、明日もだなんて、寂しくない?」
「いえ。どうか、お気遣いなく」
「……せめて、きみを部屋まで送らせてくれないかな? もう少しだけ話しを」
食い下がるパーシーに、カーラは「大丈夫です」とにっこり笑い、お目付け役兼護衛の男に目配せし、ほとんど力ずくでパーシーを屋敷の外に追い出した。
「それでは失礼します」
カーラの護衛役の男が頭を垂れ、玄関扉を閉めた。パーシーは、一瞬ぽかんとしたが、やれやれと肩をすくめた。
「いくらぼくに風邪をうつしたくないとはいえ、強引だなあ」
まだ学園の昼の休みには充分間に合うし、学園に戻って、アデルと昼食を共にするとしようか。パーシーは踵を返し、学園へと足を向けた。
流石に二回目の見舞いを断られたパーシーが、カーラ付きの侍女に食い下がる。侍女が困っていると、カーラが寝巻きのまま、二階からおりてきた。
「カーラ! 心配したよ。起きて大丈夫なのかい?」
一定の距離を保ったまま、カーラが止まる。近付いてこようとするパーシーを、やんわりと手で制止した。
「風邪がうつるといけないので、あまり近付かないでください」
「そんな………そんなこと気にしなくていいんだよ」
「わたしが気にするのです。見てわかる通り、だいぶ具合は良くなりました。明日は大事をとって休もうと思っていますが、明後日には学園に行けるかと」
「そうなのかい? それは安心したよ。アデルもね。きみのことをとても心配していて」
カーラの指が、僅かにぴくりと動いた。
「……アデル・イリックとは仲良くやれていますか?」
「仲良くだなんて、そんな言い方はよしてくれ。でも、そうだな。昼食は一緒にとっているよ」
「あなたの屋敷にはもう、招待したのですか?」
「したけど、断られてね。どうもきみに遠慮してしまっているようで」
「そうですか」
「ああ、きみを責めているわけではないよ」
慌てて取り繕うが、カーラはさして気にしていない様子だった。
「はあ。とにかく、わたしなら大丈夫ですので、明日の見舞いは結構です。明後日、お会いしましょう」
カーラが深々と頭を下げる。暗に、帰れと言われている気がして、パーシーは何だか悲しくなった。
「でも、昨日もぼくに会えなくて、明日もだなんて、寂しくない?」
「いえ。どうか、お気遣いなく」
「……せめて、きみを部屋まで送らせてくれないかな? もう少しだけ話しを」
食い下がるパーシーに、カーラは「大丈夫です」とにっこり笑い、お目付け役兼護衛の男に目配せし、ほとんど力ずくでパーシーを屋敷の外に追い出した。
「それでは失礼します」
カーラの護衛役の男が頭を垂れ、玄関扉を閉めた。パーシーは、一瞬ぽかんとしたが、やれやれと肩をすくめた。
「いくらぼくに風邪をうつしたくないとはいえ、強引だなあ」
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