23 / 24
23
パーシーは街で見つけた馬車に乗り込み、ペトロフ伯爵領にある、ペトロフ伯爵の屋敷を目指した。
馬車の中。パーシーが頭を抱える。パーシーはパニック状態だった。アデルのことはむろんのこと、カーラの科白が頭をめぐる。
『──誰もあなたの行動を見張ってないとは思わない方がよいですよ』
(……どういう意味だろう。だって、屋敷には誰もいない。使用人は全て父上が連れ帰ってしまって……)
『アデル・イリックとは縁を切り、二度とかかわるな! 他のどの女ともな! お前の結婚相手は私が決める! これを破れば、お前をすぐさまペトロフ伯爵家から除籍するぞ!!』
父親の怒号を思い出し、パーシーの肝が冷える。もしも、アデルと寝たことがばれたら。アデルを屋敷に泊めたことがばれたら、全てが終わる。
「……大丈夫、大丈夫だ。きっとカーラは、ぼくを困らせようとして、あんなことを……」
言い聞かせるように、ぶつぶつと呟く。
──が。
「お前がここにくるより前に、雇った探偵から、伝書鳩で報告が届いてな」
ペトロフ伯爵は、椅子に座るなり、開口一番にそう言いはなった。パーシーがペトロフ伯爵の屋敷の応接室で、目を見開く。汗が止まらず、パーシーは震えていた。
「……ち、父上」
「お前がカーラに婚約破棄を言い渡されたあと、何をしていたのか。事細かく書かれていたよ。しかし、カーテンも窓も閉めずにあの女を抱くとは。隠す気すらなかったと見える」
「あ、あれは……あの女が、どうしてもと泣いてすがってきて……」
ドンッ!!
ペトロフ伯爵は、応接室のテーブルにこぶしを振り下ろした。
「──追加で報告がきた。その女が、お前に暴行されたあげく、強姦されたと周囲に言いまわっているとな」
「な……っ! そ、そんなことはしていません! 父上だって知っているでしょう?! あの女はっ」
「それを信じなかったのはどこのどいつだ!!」
「……そ、それは」
「おかげで我が家の評判は悪くなる一方だ──カーラの読みが、見事に的中したというわけだな」
パーシーは顔面蒼白になりながら、項垂れた。とめどなく、後悔と絶望の涙を流す。けれど全ては手遅れで、許されるはずもなく。
パーシーは身一つで、屋敷を追放されたのだった。
馬車の中。パーシーが頭を抱える。パーシーはパニック状態だった。アデルのことはむろんのこと、カーラの科白が頭をめぐる。
『──誰もあなたの行動を見張ってないとは思わない方がよいですよ』
(……どういう意味だろう。だって、屋敷には誰もいない。使用人は全て父上が連れ帰ってしまって……)
『アデル・イリックとは縁を切り、二度とかかわるな! 他のどの女ともな! お前の結婚相手は私が決める! これを破れば、お前をすぐさまペトロフ伯爵家から除籍するぞ!!』
父親の怒号を思い出し、パーシーの肝が冷える。もしも、アデルと寝たことがばれたら。アデルを屋敷に泊めたことがばれたら、全てが終わる。
「……大丈夫、大丈夫だ。きっとカーラは、ぼくを困らせようとして、あんなことを……」
言い聞かせるように、ぶつぶつと呟く。
──が。
「お前がここにくるより前に、雇った探偵から、伝書鳩で報告が届いてな」
ペトロフ伯爵は、椅子に座るなり、開口一番にそう言いはなった。パーシーがペトロフ伯爵の屋敷の応接室で、目を見開く。汗が止まらず、パーシーは震えていた。
「……ち、父上」
「お前がカーラに婚約破棄を言い渡されたあと、何をしていたのか。事細かく書かれていたよ。しかし、カーテンも窓も閉めずにあの女を抱くとは。隠す気すらなかったと見える」
「あ、あれは……あの女が、どうしてもと泣いてすがってきて……」
ドンッ!!
ペトロフ伯爵は、応接室のテーブルにこぶしを振り下ろした。
「──追加で報告がきた。その女が、お前に暴行されたあげく、強姦されたと周囲に言いまわっているとな」
「な……っ! そ、そんなことはしていません! 父上だって知っているでしょう?! あの女はっ」
「それを信じなかったのはどこのどいつだ!!」
「……そ、それは」
「おかげで我が家の評判は悪くなる一方だ──カーラの読みが、見事に的中したというわけだな」
パーシーは顔面蒼白になりながら、項垂れた。とめどなく、後悔と絶望の涙を流す。けれど全ては手遅れで、許されるはずもなく。
パーシーは身一つで、屋敷を追放されたのだった。
あなたにおすすめの小説
だから聖女はいなくなった
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」
レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。
彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。
だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。
キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。
※7万字程度の中編です。
「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。
桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。
「不細工なお前とは婚約破棄したい」
この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。
※短編です。11/21に完結いたします。
※1回の投稿文字数は少な目です。
※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。
表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。
❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年10月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。
1ページの文字数は少な目です。
約4800文字程度の番外編です。
バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`)
ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑)
※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。
【完結】出逢ったのはいつですか? えっ? それは幼馴染とは言いません。
との
恋愛
「リリアーナさーん、読み終わりましたぁ?」
今日も元気良く教室に駆け込んでくるお花畑ヒロインに溜息を吐く仲良し四人組。
ただの婚約破棄騒動かと思いきや・・。
「リリアーナ、だからごめんってば」
「マカロンとアップルパイで手を打ちますわ」
ーーーーーー
ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。
完結迄予約投稿済みです。
R15は念の為・・
今、私は幸せなの。ほっといて
青葉めいこ
ファンタジー
王族特有の色彩を持たない無能な王子をサポートするために婚約した公爵令嬢の私。初対面から王子に悪態を吐かれていたので、いつか必ず婚約を破談にすると決意していた。
卒業式のパーティーで、ある告白(告発?)をし、望み通り婚約は破談となり修道女になった。
そんな私の元に、元婚約者やら弟やらが訪ねてくる。
「今、私は幸せなの。ほっといて」
小説家になろうにも投稿しています。
婚約破棄される前に、帰らせていただきます!
パリパリかぷちーの
恋愛
ある日、マリス王国の侯爵令嬢クロナは、王子が男爵令嬢リリィと密会し、自分を「可愛げのない女」と罵り、卒業パーティーで「婚約破棄」を言い渡そうと画策している現場を目撃してしまう。
普通なら嘆き悲しむ場面だが、クロナの反応は違った。