わたしはただの道具だったということですね。

ふまさ

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 門扉の向こうに、馬車に乗り込もうとするナタリアを見つけたオーブリーは、涙声で叫んだ。

 ナタリアが反応するように、こちらを向いた。それが嬉しくて、オーブリーは駆け出した。門番によって動きは阻止されたが、オーブリーの叫びは止まらない。

「……ナタリア! ぼく、騙されていたんだ。もうあんな女と一緒にいるのはやめる。やっぱりぼくにはきみしかいないって、思い知らされたよ。勝手なことばかり言ってごめんね。ごめん……っっ」

 泣き崩れ、地面に膝をつくオーブリー。門扉の近くまで歩いてきたナタリアが、どうしますかとの門番の問いに、少しだけ待って、と軽く手を上げた。

 それを許しと捉えたのか。オーブリーは一気に語り始めた。

「きみと離縁してから、散々だったんだ。母さんには屋敷を追い出されて……従業員も次々辞めていって、貴族との取り引きもなくなって……それにさ、聞いてよ。リリアンの借金、元夫のものじゃなくて、自分が不倫をして請求されていた、慰謝料だったんだよ……ぼくは騙されていたんだ。それで……ここまで落ちてようやく気付くなんて馬鹿だけど、ぼく、ナタリアと一緒に居るの、好きだったなって。初恋を美化し過ぎて、きみを愛していないと思い込んでいただけみたいなんだ」

 オーブリーは一呼吸置いてから、きみを愛してる、と真剣な双眸で告げた。

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