二人ともに愛している? ふざけているのですか?

ふまさ

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「もううんざりです! ストイチコフ伯爵家の面汚したちが! 二人とも出ていきなさい!!」

「な、何故私まで……私はストイチコフ伯爵だぞ!!」

「お黙りなさい! 婿養子が偉そうに……爵位は長男に継がせます! ご心配なさらず!!」

「ふざけるな! 私は関係ないだろう! 追い出すならこの馬鹿息子だけにしろ!!」

「全ての元凶はあなたでしょう?!」

 言い争う二人に、デレクがたまらず声を挟む。

「ちょっと待ってくださいよ、父上、母上! ぼくを追い出すって何ですか?! そんなことされたら、ぼくは生きていけません! 殺すおつもりですか!?」

「「お前は黙ってなさい!!」」

 三人の家族が、言い合い、罵り合う。少しして。

 ──だん!!

 ホラーク伯爵が、テーブルをこぶしで叩き、三人を黙らせた。

「醜い家族喧嘩は、後にしてもらえるか」

 ホラーク伯爵は立ち上がり、ストイチコフ伯爵夫人を見据えた。

「弁護士を立てたのち、慰謝料はきっちりと請求させてもらう。よいですな」


 ストイチコフ伯爵夫人は悔しそうにぎりっと奥歯を噛み締めると、一言、ええ、と吐き捨てた。

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