悪役令嬢として、愛し合う二人の邪魔をしてきた報いは受けましょう──ですが、少々しつこすぎやしませんか。

ふまさ

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「──なにを待てと?」

「ぼくになにかあれば、誰より哀しむのはマイナ嬢です! それはシェーベリ公爵の望むところではないでしょう?!」

 シェーベリ公爵は、片眉をぴくりと動かした。

「これまで数々の嫌がらせを受け、あげくあのような大怪我を負わせたあなたを、マイナがまだ愛していると……?」

「そうです。疑うなら、本人に確認してみてください。ぼくの罰は、被害者であるマイナ嬢が決めるべきです!」

 そもそも。ローランドは続けて、訴えるように声を張り上げた。

「なぜこれまで学園の者たちが口を閉ざしてきたのか、それもきちんと聞きましたか? 確かに今回はやり過ぎたかもしれませんが、マイナ嬢が婚約者がいるぼくにアプローチしてきたことが、すべてのはじまり。つまり元凶は、マイナ・シェーベリなのです。相手が公爵令嬢なのでこれまできつく言うことができませんでしたが、事ここに至っては、はっきりと言わせてもらいます!」

 肩で息をするローランドに対し、シェーベリ公爵は不愉快そうに腕を組んだ。

「──それはあなたが、側妃にならしてあげられると娘に言ったからでしょう」

 誰より驚愕していたのは、リリアンだった。

「ど、どういうことですか? そんなの、初耳ですよ?!」

 問い詰められているはずの当の本人はぽかんとしていたが、すぐにはっとしたように顔を青ざめさせた。

「ほ、本心じゃない! あまりにしつこいから、一度だけ、そのようなことを仄めかしたことがあるだけだ! まさか本気にするとは──」

 シェーベリ公爵の射るような視線から逃れるように、ローランドはさっと顔を背けた。

「……い、いや。その」

「私の大切な娘を側妃になどとは思いましたが、マイナはあなたを心から愛していましたから。シェーベリ公爵家の後ろ盾がほしいだけかもしれないと話しても、マイナはそれでもかまわないと言っていたのでね……しかし、まさか側妃にもする気がなかったとは」

「リ、リリアンとのあいだに子ができなければ、誰より先に、マイナ嬢を側妃として迎えるつもりだったのです。決して、騙そうとしていたわけではなくて、ですね……あの」

 俯き、冷や汗をダラダラ流しはじめたローランドを、シェーベリ公爵が冷たく見下ろす。

 耐えきれなくなったように、ローランドは小さく口を開いた。


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