もっと傲慢でいてください、殿下。──わたしのために。

ふまさ

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 休日の朝。父と共に、国王に呼び出されたクラリス。通されたところは、君主が政を行う宮の中にある、会議室だった。そこには国王や宰相などの重臣たち。そして、コルホネン公爵の姿もあった。

(これは……)

 クラリスの鼓動が早鐘を打ちはじめる中、会議ははじめられた。そこではじめてクラリスは、影によってイライジャの一挙手一投足が監視され、国王たちに筒抜けになっていたことを知った。

「陛下はイライジャ殿下に甘過ぎる。もっと早くに決断してもよかったのでは?」

 宰相が問うと、国王は、ばつが悪そうに目を伏せた。その様子に誰より怒りを覚えたのは、コルホネン公爵だった。

「──陛下。我が娘を侮辱するは、コルホネン公爵家を侮辱するも同じ。私は、イライジャ殿下を国王とは決して認めない。リンドバーグ公爵はいかがか」

 意見を求められたリンドバーグ公爵は、まだ少し、混乱している様子だった。イライジャ殿下の悪評はむろんリンドバーグ公爵の耳にも届いてはいたが、他ならぬ婚約者であるクラリスが不満を口にしたことがなかったし、噂が誇張されて伝わってきているのだと思っていた。

 でなければ、影に監視されているイライジャは、とっくに次期国王の資格なしと判断されているはず。そう信じていたから。

「……クラリス。どうして私に何も報告しなかったのだ」

 リンドバーグ公爵に問われたクラリスは、本心を隠し、口を開いた。

「婚約破棄をされては、リンドバーグ公爵家の恥だと考えたからです」
 
 違う。まわりに本性を知られていないうちにこれを伝えては、婚約破棄はできても、正妃の子だというだけでもてはやす馬鹿な貴族たちが大多数を占めるうちは、イライジャの王位継承権剥奪までは、できないと考えたからだ。

 イライジャの婚約者でないとできないことが、あったから。

「……馬鹿者。もしそうなっても、婚約破棄は、こちらがする方だ。恥をかくのはイライジャ殿下だろう」

「そう、ですね。でも、まだわたしには、情がありましたから」

「──情があるのなら、どうしてイライジャをいさめなかったのだ」

 静な怒りの声をあげたのは、国王だった。全員が、国王に視線を集める。

「婚約者であるクラリス嬢がもっとイライジャを導き、注意してくれていれば、こんなことには……っ」

 だんっ。
 国王はこぶしを、机に叩きつけた。

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