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●踏み出す努力
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「えぇ!!」
学食に大絶叫が響く。
あまり人もいない学食にめちゃくちゃ声は響いて、まばらにいる人たちが驚いたようにこっちを見た。
「ちょっと!!シーッ!水瀬、声でかいって!!」
「ごめんごめん」
水瀬は気まずそうに、口を手で押さえる。
私は水瀬に昨日のシュンとの事を報告した。
・・・・というより、報告させられていたと、言ったほうがいいかもしれないけど。
シュンと一夜を過ごして、朝になって、シュンのバイクで、大学まで送ってもらった。
シュンの通う大学の通り道に、私の通う大学がある。
校門でバイクを降りる姿を、通学してきた水瀬に偶然目撃された。
そして、速攻学食に連れ込まれた・・・
当然授業はサボりというわけで。
何の為に大学に来たのか、よくわからない。
「じゃ、つきあうことになったんだ。
しかも由希が隆也さんの事を忘れるまで、手を出さないなんて・・・
何て紳士なの!!
かっこよすぎるよ!!」
水瀬が目をキラキラさせながら、言う。
「うん、紳士だよね」
「それってなかなか言えないことだよ!しかも手を出さないで待つなんてさ!男には相当きついはずだよ!!」
確かにそうだよね。
手を出さないなんて、男の人にはきっとつらいはずだ。
男にとって、体の関係って我慢できないものなのかもしれないと思う。
「よっぽど、由希の事好きなんだね」
水瀬がニコニコしながら言う。
私は恥ずかしくなって、思わず下を向いた。
「もう隆也さんの事は忘れな!隆也さんも確かにすごいイケメンだけど、シュン君に比べると性格が全然ダメダメだね!」
水瀬の言葉に私は思わずクスクス笑ってしまう。
「私はマジでシュン君とつきあうのは大賛成だから!絶対女の子は愛するより、愛された方が幸せだよ」
水瀬の言葉に思わず納得した。
・・・・・確かにそうかもしれない。
自分だけが愛する恋は、本当にしんどかった・・・
苦しかった。
でも、今は違う。
今はホッとする。
シュンといると、安心するんだ。
愛される方がいいのかもしれないな・・・
その方が女の子は、幸せになれるのかもしれない。
「由希」
「ん?」
「幸せになるんだよ!」
水瀬の言葉に思わず顔を上げた。
水瀬は真剣な顔をしている。
・・・・・ありがとう。
本当に心からそう思った。
水瀬は、私が隆也と身体だけの関係になっていたときも、ずっと私の味方をしてくれた。
応援してくれた―――
そして今は私の幸せを本当に喜んでくれている。
本当にうれしい。
水瀬は大親友だよ・・・
「うん!!」
私は水瀬の言葉に、思いっきり笑顔でうなずいた。
学食に大絶叫が響く。
あまり人もいない学食にめちゃくちゃ声は響いて、まばらにいる人たちが驚いたようにこっちを見た。
「ちょっと!!シーッ!水瀬、声でかいって!!」
「ごめんごめん」
水瀬は気まずそうに、口を手で押さえる。
私は水瀬に昨日のシュンとの事を報告した。
・・・・というより、報告させられていたと、言ったほうがいいかもしれないけど。
シュンと一夜を過ごして、朝になって、シュンのバイクで、大学まで送ってもらった。
シュンの通う大学の通り道に、私の通う大学がある。
校門でバイクを降りる姿を、通学してきた水瀬に偶然目撃された。
そして、速攻学食に連れ込まれた・・・
当然授業はサボりというわけで。
何の為に大学に来たのか、よくわからない。
「じゃ、つきあうことになったんだ。
しかも由希が隆也さんの事を忘れるまで、手を出さないなんて・・・
何て紳士なの!!
かっこよすぎるよ!!」
水瀬が目をキラキラさせながら、言う。
「うん、紳士だよね」
「それってなかなか言えないことだよ!しかも手を出さないで待つなんてさ!男には相当きついはずだよ!!」
確かにそうだよね。
手を出さないなんて、男の人にはきっとつらいはずだ。
男にとって、体の関係って我慢できないものなのかもしれないと思う。
「よっぽど、由希の事好きなんだね」
水瀬がニコニコしながら言う。
私は恥ずかしくなって、思わず下を向いた。
「もう隆也さんの事は忘れな!隆也さんも確かにすごいイケメンだけど、シュン君に比べると性格が全然ダメダメだね!」
水瀬の言葉に私は思わずクスクス笑ってしまう。
「私はマジでシュン君とつきあうのは大賛成だから!絶対女の子は愛するより、愛された方が幸せだよ」
水瀬の言葉に思わず納得した。
・・・・・確かにそうかもしれない。
自分だけが愛する恋は、本当にしんどかった・・・
苦しかった。
でも、今は違う。
今はホッとする。
シュンといると、安心するんだ。
愛される方がいいのかもしれないな・・・
その方が女の子は、幸せになれるのかもしれない。
「由希」
「ん?」
「幸せになるんだよ!」
水瀬の言葉に思わず顔を上げた。
水瀬は真剣な顔をしている。
・・・・・ありがとう。
本当に心からそう思った。
水瀬は、私が隆也と身体だけの関係になっていたときも、ずっと私の味方をしてくれた。
応援してくれた―――
そして今は私の幸せを本当に喜んでくれている。
本当にうれしい。
水瀬は大親友だよ・・・
「うん!!」
私は水瀬の言葉に、思いっきり笑顔でうなずいた。
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