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●花火大会
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花火大会の会場の川沿いは、ものすごい人で大混雑していた。
私とシュンも人ごみに加わって、ゆっくりと川沿いを歩く。
どこかに座って花火をみたいと思ったけど、朝からたくさんの人が場所取りをしていたのか、めぼしい場所にはみんなビニールシートがひかれて、座れそうな場所はなかった。
私とシュンは仕方なく、川沿いから少し離れた小さな木の下で、立って花火を見ることにした。
川沿いの道には小さな提灯がつるされて、花火大会のムードが高まってくる。
「少し川沿いからは離れるけど、ここならまだそんなに人もいないし、いいよね」
私はシュンの肩をつつきながら言った。
「でもここ、すごい蚊がいるよ」
シュンがそう言いながら、自分の腕や足を、蚊を追い払うためにパシパシ叩いている。
こういう木の下には、蚊や虫が多いから、あまり人がいないのかもしれない。
私はカバンの中から小さな虫よけスプレーを取り出して、シュンにスプレーしてあげた。
「由希ちゃん、すげー用意いいじゃん」
「でしょ?」
「珍しいこともあるもんだ」
「珍しいって何?もうシューしてあげないよ」
「嘘、嘘!ごめんって」
そんな風にシュンとふざけあっていると、
辺りに大きい音が広がって、花火が上がり始めた。
わぁっ!と周りから、大きな歓声が起こった。
「始まった!」
私も思わず歓声を上げる。
暗い大空に、小さな光の玉が上に上がると、一気にいろいろな色になって、光が広がる。
黄色、
赤、
緑、
青。
小さな形や、柳のような形になって、やがて真っ暗な夜の闇に消えていく・・・
消えていったと思ったら、又大きな音がして、光が広がる。
“すごくきれい・・・”
私は次々と上がる花火から、目が離せなかった。
花火は一瞬で消える。
すごく儚い・・・・
だから人の心を惹きつけるのかな?
私は暗い空を彩る花火をじっと見ていた。
一瞬、隣のシュンの横顔をチラリと見たら、シュンも花火に釘付けになっていた。
「きれいだね・・・」
「うん、きれいだな・・・」
私はシュンのTシャツの袖を思わず、引っ張った。
シュンと初めて見る花火―――
何かこういうきれいな花火を、シュンと一緒に見られるのがすごくうれしい。
今、隣にシュンがいてくれるのが、すごくうれしいよ。
花火を見ながら、シュンは何を考えているのかな?
ただ花火の綺麗さに見とれてる?
私はシュンの事、考えてるよ・・・
シュンも花火を見ながら、私の事を少しは考えてくれているのかな?
その時、私は近くから聞き覚えのある声が聞こえて、思わず花火から目を離した。
小さくキョロキョロ辺りを見回すと、
「・・・・・!!」
嘘でしょ・・・?
川沿いの人ごみの一番後ろに・・・、
まどかと隆也が立っていた―――
私とシュンも人ごみに加わって、ゆっくりと川沿いを歩く。
どこかに座って花火をみたいと思ったけど、朝からたくさんの人が場所取りをしていたのか、めぼしい場所にはみんなビニールシートがひかれて、座れそうな場所はなかった。
私とシュンは仕方なく、川沿いから少し離れた小さな木の下で、立って花火を見ることにした。
川沿いの道には小さな提灯がつるされて、花火大会のムードが高まってくる。
「少し川沿いからは離れるけど、ここならまだそんなに人もいないし、いいよね」
私はシュンの肩をつつきながら言った。
「でもここ、すごい蚊がいるよ」
シュンがそう言いながら、自分の腕や足を、蚊を追い払うためにパシパシ叩いている。
こういう木の下には、蚊や虫が多いから、あまり人がいないのかもしれない。
私はカバンの中から小さな虫よけスプレーを取り出して、シュンにスプレーしてあげた。
「由希ちゃん、すげー用意いいじゃん」
「でしょ?」
「珍しいこともあるもんだ」
「珍しいって何?もうシューしてあげないよ」
「嘘、嘘!ごめんって」
そんな風にシュンとふざけあっていると、
辺りに大きい音が広がって、花火が上がり始めた。
わぁっ!と周りから、大きな歓声が起こった。
「始まった!」
私も思わず歓声を上げる。
暗い大空に、小さな光の玉が上に上がると、一気にいろいろな色になって、光が広がる。
黄色、
赤、
緑、
青。
小さな形や、柳のような形になって、やがて真っ暗な夜の闇に消えていく・・・
消えていったと思ったら、又大きな音がして、光が広がる。
“すごくきれい・・・”
私は次々と上がる花火から、目が離せなかった。
花火は一瞬で消える。
すごく儚い・・・・
だから人の心を惹きつけるのかな?
私は暗い空を彩る花火をじっと見ていた。
一瞬、隣のシュンの横顔をチラリと見たら、シュンも花火に釘付けになっていた。
「きれいだね・・・」
「うん、きれいだな・・・」
私はシュンのTシャツの袖を思わず、引っ張った。
シュンと初めて見る花火―――
何かこういうきれいな花火を、シュンと一緒に見られるのがすごくうれしい。
今、隣にシュンがいてくれるのが、すごくうれしいよ。
花火を見ながら、シュンは何を考えているのかな?
ただ花火の綺麗さに見とれてる?
私はシュンの事、考えてるよ・・・
シュンも花火を見ながら、私の事を少しは考えてくれているのかな?
その時、私は近くから聞き覚えのある声が聞こえて、思わず花火から目を離した。
小さくキョロキョロ辺りを見回すと、
「・・・・・!!」
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まどかと隆也が立っていた―――
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