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●花火大会
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“や、やだ・・・どうしよ・・・”
なんで、こんなとこに二人がいるのよ?
しかもなんで気づいてしまったのだろう。
こそこそ身を隠すようにしてしまう。
私は動揺しまくる。
隆也とまどかには絶対気づかれたくない。
シュンの方をチラリと見ると、シュンは夢中で空を見上げている。
2人には気づいていないようだった。
でもよく考えると、まどかと隆也のいる所から、私とシュンのいる木の下まで5メートル以上は離れている。
実際、まどかと隆也は前方の花火に夢中で、後ろにいる私たちに全く気づく様子もなかった。
私たちのいる木の下には、街灯も提灯の明かりもない。
“私たちに気づくはずないよね”
そう思ったら、急にホッとした。
私は花火を見るのも忘れて、後ろから隆也とまどかの姿を見ていた。
花火が光を咲かせるたびに、隆也とまどかの姿も明るく照らす。
隆也はいつものような格好だけど、まどかはシックな紺地の浴衣に大きな朝顔の浴衣。
髪の毛はアップにしてて、すごく大人っぽくてきれいだ。
何だかすごく色気があって、女の私でもドキドキしちゃうほどだ。
隆也といるまどかって、こんな感じなんだ。
花火が上がるたびに、まどかと隆也は顔を寄せ合って何かを囁いたり、笑いあったりしている。
仲がいいんだな。
二人、うまくいっているんだってわかる。
すごくいい雰囲気だ。
まどか、隆也にはそんな大人っぽい顔で微笑むんだ。
隆也、まどかにはそんな無邪気に笑いかけるんだね。
知らなかった。
だけど不思議と、私の心には嫉妬や悲しい気持ちは浮かんで来なかった。
諦めの気持ちと、納得する気持ち、そして二人がうまくいってくれればいいなぁ・・という気持ちが、初めて私の心の中に芽生えた。
2人を応援する気持ちが生まれたのは、隆也に会わなくなった時間のおかげなのだろうか。
違う。
もちろんそれもあるだろうけど。
私は隣にいるシュンの顔を見上げる。
「ん・・・?」
私の視線を感じたのか、シュンがこっちを見て笑った。
そう、
シュン―――
シュンのおかげだ。
ずっと私の側にいてくれたシュン。
ずっと私を支えてくれたシュン。
シュンがこうやって私の隣にいてくれるから、私はこうやって冷静に、隆也とまどかの姿を見ていることができるんだ。
“ようやく隆也から卒業できた・・・”
私は強く実感した。
もう2人を見ても、苦しさを感じない。
悲しみで心が壊れそうにならない。
嫉妬で、自分の心の醜さを見つめなくて済む。
何だか解き放たれたような気がした―――
なんで、こんなとこに二人がいるのよ?
しかもなんで気づいてしまったのだろう。
こそこそ身を隠すようにしてしまう。
私は動揺しまくる。
隆也とまどかには絶対気づかれたくない。
シュンの方をチラリと見ると、シュンは夢中で空を見上げている。
2人には気づいていないようだった。
でもよく考えると、まどかと隆也のいる所から、私とシュンのいる木の下まで5メートル以上は離れている。
実際、まどかと隆也は前方の花火に夢中で、後ろにいる私たちに全く気づく様子もなかった。
私たちのいる木の下には、街灯も提灯の明かりもない。
“私たちに気づくはずないよね”
そう思ったら、急にホッとした。
私は花火を見るのも忘れて、後ろから隆也とまどかの姿を見ていた。
花火が光を咲かせるたびに、隆也とまどかの姿も明るく照らす。
隆也はいつものような格好だけど、まどかはシックな紺地の浴衣に大きな朝顔の浴衣。
髪の毛はアップにしてて、すごく大人っぽくてきれいだ。
何だかすごく色気があって、女の私でもドキドキしちゃうほどだ。
隆也といるまどかって、こんな感じなんだ。
花火が上がるたびに、まどかと隆也は顔を寄せ合って何かを囁いたり、笑いあったりしている。
仲がいいんだな。
二人、うまくいっているんだってわかる。
すごくいい雰囲気だ。
まどか、隆也にはそんな大人っぽい顔で微笑むんだ。
隆也、まどかにはそんな無邪気に笑いかけるんだね。
知らなかった。
だけど不思議と、私の心には嫉妬や悲しい気持ちは浮かんで来なかった。
諦めの気持ちと、納得する気持ち、そして二人がうまくいってくれればいいなぁ・・という気持ちが、初めて私の心の中に芽生えた。
2人を応援する気持ちが生まれたのは、隆也に会わなくなった時間のおかげなのだろうか。
違う。
もちろんそれもあるだろうけど。
私は隣にいるシュンの顔を見上げる。
「ん・・・?」
私の視線を感じたのか、シュンがこっちを見て笑った。
そう、
シュン―――
シュンのおかげだ。
ずっと私の側にいてくれたシュン。
ずっと私を支えてくれたシュン。
シュンがこうやって私の隣にいてくれるから、私はこうやって冷静に、隆也とまどかの姿を見ていることができるんだ。
“ようやく隆也から卒業できた・・・”
私は強く実感した。
もう2人を見ても、苦しさを感じない。
悲しみで心が壊れそうにならない。
嫉妬で、自分の心の醜さを見つめなくて済む。
何だか解き放たれたような気がした―――
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