魔法の剣とエド

アズ

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第一章 魔法の剣

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 ヒントは結局つかめず二人は天使の塔を出た。
 するとそこは緑豊かな森の中だった。
 まだ、外は明るい。風の音と、暑さが肌に感じた。
 エドは思わず薄着になると、それを見ていたミアは「もう少しで次の山だよ」と教えた。
「なぁ、聞かせてくれ。僕は正直神を知らない。この地に神がいるなら、旅が無事達成できるようお祈りでもした方がいいのか?」
「いえ……違うわ。お祈りをしたかしないかで変わるものではない。どれだけ信仰に対し費やそうとも神から救いが得られるわけではない。そう思うのは人間だけよ。それでは他の人間ではない生物は救われないの? 他の生物が特別なことをしていたかしら? それとも神は人にしか救いを与えないのかしら? 生物は平等よ。同じ命。ただ、人間は自分達の命と家畜の命に線引きしている。そうでなければ、人間は牛や豚や鳥を食べることも、それ以外も食べれなくなってしまう。人間は生きる為に他の生命を奪って生きている。それでは人間は救われないかしら? では、何故食物連鎖がこの世の中には存在しているのか? それも自然の一部なのよ。森や海や空や植物だけが自然の全てではないわ。そこに生息する命もまた自然なのよ。それを忘れてしまったのよ。大昔に人間は神と共存していたことも。神は我々人類や生物と共にあった。人は神を崇拝し、お祭りや儀式をおこなってきた。それがいつしか崩れたのよ」
「そうなのか……」
「今度は私から質問をさせて。今、外はどうなっているの?」
「……海は汚染され、ほとんど魚を見る機会が日に日に見れなくなった。釣れたとしても、それは食べられない。人類は魚や海に生息する食料に手を出すことは出来なくなった。もう、いつから人類は魚を食べなくなったのか……」
「そう。なら、それは人間がそうしたことになるわね。つまり、海を汚したのは人間の責任になる。これは神の試練ではない。そもそも、神はもういないのかもしれない。世界で唯一魔力が宿る地ですら、神をまだ見れていない。あるのは、魔力によって変わった生き物がいるだけ」
 小瓶を取り出しミアはエドに渡してきた。
「これ、解毒剤。なんかあった時用に渡しておくわ。いい? ここにある植物、花には触れてはならないわ。どこに毒があるか分からないから」
 エドは頷いた。
 それから、エドは周りを見渡した。
 雪山の時に比べればここは暖かい。恐らくは、燃える山からの熱された風がこの森にまで降りてきているのだろう。対して、雪山の冷気は霧の森まで降りてきて、丁度あの川の辺りで衝突している。
 だから、あの場所は寒さがあったり暑さがあったりとしたのだろう。普通、このような場所は他を探してみてもそう見つかるものではないだろう。
 ふと、エドは思った。
 これが自然なのだろうか?
 エドにとってはもはや自然というのは知識でしか知り得ない。だが、その知識からは想像に掛け離れた自然環境ではなかろうか。
 というより、魔力がむしろ自然を変貌させているのではないのか。
 古い自然には魔力が残るというが、それが自然に対して影響を与えているというのなら、それはいい影響といえるのだろうか。むしろ、悪影響を及ぼしているのではないか。
 魔力は化石燃料と似ている。それを掘り出し人間は魔法にしてきたのではないのか。
 人間が大地を掘り出し化石燃料を取り尽くしたように、大地の魔力は枯渇していったのではないのか。
 既に、長きに渡る戦争で化石燃料の大部分を消費し、枯渇していった。
 かつては、探査と採掘技術の進歩で枯渇するであろう時期は延長を続けていた。しかし、人類が宇宙への産業に本格的に乗り出してからは、大量の燃料を消費して人類は宇宙へと旅立とうとした。
 地球は既に人類が住めるような環境になかったからだ。
 宇宙には大量の太陽光パネルが並び、あの暗闇が広がる人間が長く踏み入れることがなかったエリアには既に人間が作った物が徐々に宇宙を散らかしていった。
 それでも広大な宇宙からしてみれば人間の物が宇宙に溢れようとも、ちっぽけなものなのだろう。
 しかし、その宇宙先で大規模なテロが起こり、宇宙に移住した人類の大半が爆発に巻き込まれていった。
 結局、地球上から逃げても宇宙ですら人間の争いが絶えることはなかった。
 それは人間が争いを呼ぶ生物であるからだ。
 生き残ったのは宇宙へのキップを手にすることが出来なかった貧困層だった。
 しかし、残された我々になにができるというのか。
 既に汚染された環境で元に戻すことは難しい。
 いくら科学の発展が進もうとも、それは破壊による発明でしかなく、地球を回復させる機能はその発明には付いていない。
 魔力が化石燃料に似るなら、人類は早々に魔力を枯渇させたことになる。それが、人間が魔法を失った本来の原因ではないのか。
 エドはミアを見た。
 彼女はどこまで知っているかは分からない。だが、外の世界を知る自分と中を知るミアの二人が揃ったところで、この世界の謎を全て解くことは出来ないであろう。
 その時だった。
「おーい! 助けてくれー !」
 そう叫ぶ男がいた。
 振り向くと、無精髭をみっともなく生やし、髪は伸びきっておりボサボサの頭をしている。長い前髪が視界の半分を邪魔していた。
 その中年男性の背後にはそれを追いかける首のない馬が数頭走っていた。
 それは此方へと向かってきていた!
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