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(ちょっと待ってくれ、整理がつかない)
俺はこの状況に冷静ではいられなくなっていた。
(転生先が黒髪だとでも言うのか?)
ますますわけが分からない。
最初はよく分からない、けどどこか知っている世界で絵を描いてなんとか生計をたてて、ようやく調子が出てきたと思ったら襲撃事件に何故だが急に協力するかたちになって、死んで、生き返ったら海賊になっていた!?
「船長、島が見えてきたんでそろそろ補給のことも考えたいんで、あそこらで補給しませんか?」
未だ、この男は俺を船長だと言い切る。
どう返答しようか少し迷いながらも「あ、ああ……そうだな。なら、俺も上陸する」と答えた。
(全然船長ぽくできなかった!)
後悔したが、男は気にすることなく「分かりました。では準備してきます」と疑うことなく男は命令と受け取って従った。
とりあえずホッとしたが、あの島がなんなのか分からないが、とにかくこの船から離れなきゃ。
小船の用意ができ、それに何人か乗り込むと、島の方へ漕ぎ始めた。
流石に海賊旗掲げたまま港にはつけないよなと思いながら、揺れること数十分、ようやく浜に到着すると、そこから徒歩で町へ向かった。
町はそれなりに発展していてど田舎という感じではなかった。それなりに活気のあるお店の通りもあったし、バーもあった。
「船長、俺達は補給してますんで、船長は用を済ませといて下さい」
どうやら、俺が上陸したのはなにか用があると思われたらしい。
「分かった」
俺はそう言って海賊達とはおさらばした。
その方がいいに決まっている。海賊は縛り首だ。また、死ぬことになる。
俺はこの町で生きる方法を考えた。
暫く観光していると、バザーを見つけた。その中に絵を売っているものがある。
自然と気になり見に行ってみると、どの絵も色んな街の景色を描いたものだった。色んなところを旅しながらその風景を描いていったのだろうか。そんなことを思っていると、ある絵に目が止まった。
その絵はタイトルが『44』とあった。
そう言えば、全ての絵のタイトルが数字だった。
数字に意味はないだろうが『44』というタイトルの絵だけは違った。
「その絵が気になるか?」
そう言ったのは絵を売る老人だった。頭は剥げ猫背だ。
それもその筈。その絵にスカイツリーが描かれてあったからだ。
「これは東京の風景だ!」
「そうか。あんたもか」
「あんたも? ということはあなたも転生者なんですか」
「ああ、そうだ。この絵は私が見てきた世界の特徴を絵にしたものだ。私の絵で誰か気づくのをこうして待っていた。ようやく、君で二人目になるが」
「他にもいるんですね」
「ああ、どうやらそのようだ。さて、君は何回死んだ?」
「何回……」
トラックにはねられたのと、中年男に銃で撃たれたのと…… 。
「2回です」
「そうか」
「あの、聞いてもいいですか。これってなんですか? 皆そうなんですか?」
「皆に見えるか? もし、そうなら世界は大混乱だろうよ」
「そうですよね……なら、なんで俺達だけこんな目に合うんですか?」
「さぁな。だが、私が最初に会った転生者はよくこの仕組みを理解していた。君や私よりもはるかに転生の回数を積んでいた。そいつが言うには、この似た世界は沢山あって、死ぬとそこに転生されるらしい。よう言うだろ、パラレルワールドと」
「だから似ている……」
「そうだ。だが、僅かに違う。更に言えば、我々のようなはみ出し者は記憶を引き継いでるから未来を変えられるチャンスがある」
「あなたはずっとそれをしているんですか?」
「そうだ。もう十数回となるか」
「そんなに!? あの、これって終わりがないんですか?」
「ある。この世界は46番目。お前さんのいた世界は44番目。螺旋階段で表現すると、お前さんは上に向かっている。一番下か一番上に辿り着けば、階段は終わるだろ? それが唯一螺旋を終わらせる方法だ」
あのウロボロスのいたよく分からない空間の上にあった数字を思い出した。
(あれはそういう意味だったのか)
「あの、上って何があるんですか」
自分は上に向かっているというなら、当然聞きたいのは上に何があるかだ。
「さぁね。俺だって辿り着いてないんだ。上にあと幾つあるかも知らない。だが、俺が最初に会った転生者は知っていたな。地獄だったと言っていた。だが、本当かどうかは知らない。しかし、そいつが言うには上と下どちらかを目指すなら下だって」
「下……でも俺は上に向かっている」
「ああ、そうだな」
「なにか法則があるんですか?」
「知らん。知っていたら苦労せんよ」
と、老人と長く話しをしていると、さっきの船員が慌てた様子でやって来た。
(まずい、見つかった!)
「船長、探しましたよ。まずいことになりました。留守にしていた船で反乱が起きやがって、船を乗っ取られました。船はもう遠くへ行ってしまいました。どうしますか、船長」
「そうか……なら、お前もこの際海賊を引退でもしたらどうだ? 俺は引退する」
「え!? 引退ですか? はぁ……船長がそう言うならそうします」
(意外に素っ気ないんだな)
「もし、また海賊やるんでしたら是非声を掛けてください。どこでだって駆けつけます。仲間はずれだけはしないでくだせぇ。それじゃ、また」
(意外にいい奴かも)
海賊にいい奴って何だと自分でツッコミを入れたいが、海賊にも色々あるのは確かのようだ。
「お前さん、海賊やってたのか?」
「いえ、転生したらいきなりそうなっていて」
「なら、辞めて正解だったな。海賊の時代はもう終わる。今どき海賊なんて流行らんよ」
俺はこの状況に冷静ではいられなくなっていた。
(転生先が黒髪だとでも言うのか?)
ますますわけが分からない。
最初はよく分からない、けどどこか知っている世界で絵を描いてなんとか生計をたてて、ようやく調子が出てきたと思ったら襲撃事件に何故だが急に協力するかたちになって、死んで、生き返ったら海賊になっていた!?
「船長、島が見えてきたんでそろそろ補給のことも考えたいんで、あそこらで補給しませんか?」
未だ、この男は俺を船長だと言い切る。
どう返答しようか少し迷いながらも「あ、ああ……そうだな。なら、俺も上陸する」と答えた。
(全然船長ぽくできなかった!)
後悔したが、男は気にすることなく「分かりました。では準備してきます」と疑うことなく男は命令と受け取って従った。
とりあえずホッとしたが、あの島がなんなのか分からないが、とにかくこの船から離れなきゃ。
小船の用意ができ、それに何人か乗り込むと、島の方へ漕ぎ始めた。
流石に海賊旗掲げたまま港にはつけないよなと思いながら、揺れること数十分、ようやく浜に到着すると、そこから徒歩で町へ向かった。
町はそれなりに発展していてど田舎という感じではなかった。それなりに活気のあるお店の通りもあったし、バーもあった。
「船長、俺達は補給してますんで、船長は用を済ませといて下さい」
どうやら、俺が上陸したのはなにか用があると思われたらしい。
「分かった」
俺はそう言って海賊達とはおさらばした。
その方がいいに決まっている。海賊は縛り首だ。また、死ぬことになる。
俺はこの町で生きる方法を考えた。
暫く観光していると、バザーを見つけた。その中に絵を売っているものがある。
自然と気になり見に行ってみると、どの絵も色んな街の景色を描いたものだった。色んなところを旅しながらその風景を描いていったのだろうか。そんなことを思っていると、ある絵に目が止まった。
その絵はタイトルが『44』とあった。
そう言えば、全ての絵のタイトルが数字だった。
数字に意味はないだろうが『44』というタイトルの絵だけは違った。
「その絵が気になるか?」
そう言ったのは絵を売る老人だった。頭は剥げ猫背だ。
それもその筈。その絵にスカイツリーが描かれてあったからだ。
「これは東京の風景だ!」
「そうか。あんたもか」
「あんたも? ということはあなたも転生者なんですか」
「ああ、そうだ。この絵は私が見てきた世界の特徴を絵にしたものだ。私の絵で誰か気づくのをこうして待っていた。ようやく、君で二人目になるが」
「他にもいるんですね」
「ああ、どうやらそのようだ。さて、君は何回死んだ?」
「何回……」
トラックにはねられたのと、中年男に銃で撃たれたのと…… 。
「2回です」
「そうか」
「あの、聞いてもいいですか。これってなんですか? 皆そうなんですか?」
「皆に見えるか? もし、そうなら世界は大混乱だろうよ」
「そうですよね……なら、なんで俺達だけこんな目に合うんですか?」
「さぁな。だが、私が最初に会った転生者はよくこの仕組みを理解していた。君や私よりもはるかに転生の回数を積んでいた。そいつが言うには、この似た世界は沢山あって、死ぬとそこに転生されるらしい。よう言うだろ、パラレルワールドと」
「だから似ている……」
「そうだ。だが、僅かに違う。更に言えば、我々のようなはみ出し者は記憶を引き継いでるから未来を変えられるチャンスがある」
「あなたはずっとそれをしているんですか?」
「そうだ。もう十数回となるか」
「そんなに!? あの、これって終わりがないんですか?」
「ある。この世界は46番目。お前さんのいた世界は44番目。螺旋階段で表現すると、お前さんは上に向かっている。一番下か一番上に辿り着けば、階段は終わるだろ? それが唯一螺旋を終わらせる方法だ」
あのウロボロスのいたよく分からない空間の上にあった数字を思い出した。
(あれはそういう意味だったのか)
「あの、上って何があるんですか」
自分は上に向かっているというなら、当然聞きたいのは上に何があるかだ。
「さぁね。俺だって辿り着いてないんだ。上にあと幾つあるかも知らない。だが、俺が最初に会った転生者は知っていたな。地獄だったと言っていた。だが、本当かどうかは知らない。しかし、そいつが言うには上と下どちらかを目指すなら下だって」
「下……でも俺は上に向かっている」
「ああ、そうだな」
「なにか法則があるんですか?」
「知らん。知っていたら苦労せんよ」
と、老人と長く話しをしていると、さっきの船員が慌てた様子でやって来た。
(まずい、見つかった!)
「船長、探しましたよ。まずいことになりました。留守にしていた船で反乱が起きやがって、船を乗っ取られました。船はもう遠くへ行ってしまいました。どうしますか、船長」
「そうか……なら、お前もこの際海賊を引退でもしたらどうだ? 俺は引退する」
「え!? 引退ですか? はぁ……船長がそう言うならそうします」
(意外に素っ気ないんだな)
「もし、また海賊やるんでしたら是非声を掛けてください。どこでだって駆けつけます。仲間はずれだけはしないでくだせぇ。それじゃ、また」
(意外にいい奴かも)
海賊にいい奴って何だと自分でツッコミを入れたいが、海賊にも色々あるのは確かのようだ。
「お前さん、海賊やってたのか?」
「いえ、転生したらいきなりそうなっていて」
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