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決行日。
俺達はアパートを出て自動車に乗り込むと、計画通りに襲撃ポイント近くまで行くと、そこで車を降りた。
3人はそれぞれ手榴弾をアパートに出る前に渡されており、自分を含む3人はバラバラに定位置についた。
通りには沢山の人達が大公をこの目で見ようと集まっていた。
(こんなに沢山の人がいれば、どこから狙われてもおかしくないのに)
俺は自分の場所から他の青年、つまりは残りの二人の様子を見ようとしたが、沢山の人で他の二人は自分の位置からは確認出来なかった。
(よし)
俺はこれなら他の二人も自分を見つけられないだろうとみて、こっそりその場から立ち去った。
暫くして、大公が訪れる前に二人の青年の近くに私服警官が取り囲み、二人を取り押さえ、その場から引きずり出した。
俺は事前に警察に襲撃が行われることを密告していた。
だが、警察の返答は確かでなければ大公の来訪を中止には出来ないと言われてしまった。未来はそう簡単には変えられなかった。しかし、警察は襲撃ポイントの場所に警戒をする約束をしてくれたのだった。まぁ、言わなくてもしていただろう。
問題はこの後だった。
青年を取り押さえたことで、警察は俺の話しを少なからず信じた筈だ。俺は警察に対し他にも狙っている人達がいることをあらかじめ伝えてあった。そう、青年達以外の老人、そして中年男だ。しかし、それ以外にも俺の知らない仲間がいる可能性がある。これで大公来訪が中止になってくれればいいが。
(俺の出来ることはやった。黒幕は捕まえられなくても、事件さえ防げれば目的は果たされる)
俺はそう安易に思っていた。
「おい、どこへ行く。スパイ野郎」
そう言ったのは襲撃ポイントまで運転した例の中年男だった。
俺の後頭部に銃口が向けられた状態で俺は身動きが完全に取れなくなった。
「サツにチクりやがったな」
俺はとりあえず無抵抗アピールに両手をゆっくりあげた。だが、多分それは意味を無さないだろう。
すると、大衆の歓声がわいた。
「え?」
「残念だったな。大公の来訪は続行、元々お前達なんてアテになんかしてなかったさ。最初の計画が失敗した時の予備は用意してあるもんだぜ。さぁ、お前の勇敢さが無駄に終わったと知ったところで、人生にお別れを告げな」
(そんな! そんなことって!)
お別れを告げろ、それは死を宣告されたようなものだ。
なら、俺はここで死ぬのか?
俺が果たした役割は?
これで終わり?
「じゃあな」
銃声が鳴り響いた。
快晴の下で、俺は頭から血を流しながら倒れた。
◇◆◇◆◇
気づいたら俺は知らないベッドの上にいた。
急いで起き上がると、俺は両手で後頭部を擦った。
「俺、今撃たれて死んだよな!?」
なのに、今こうして生きている。これが夢ならリアル過ぎる。しかし、夢でないことは今の状況が示している。
知らないベッドの上でいきなり寝ていたなんてあり得ない話しだ。
なら、俺が死んだと思ったこの記憶は間違いじゃない?
(また、転生したのか?)
しかも、記憶を引き継いだままだし、さっき出た声も俺の知る自分の声だ。
鏡を見れば明らかになるだろう。姿も前世のままであると。
俺が今着ている服は上下黒のジャージだった。
ベッドから出て部屋の窓の外を見た。
「は?」
窓の外から見える景色は綺麗なブルー色の、そう、海だった。
そういえば、揺れているような気がする。
ようやくそれで自分が船内にいることに気づいた。
すると、部屋の外からノックがされた。
「船長、入りますよ」
(船長?)
ドアが開けられ入ってきたのは小汚い男だった。黒髪で頭はボサボサだ。シャツもずっと同じのを着ていたのかヨレヨレだ。
「船長、随分よく寝てましたね」
明らかにそいつは自分に向かってそう言ったのだ。
(こいつは俺が船長だと思っているのか?)
そう言えば、大公襲撃の際も中年男は俺をなにかと勘違いしていた。
「そんなに酔い潰れるまで飲んだなんて珍しいですね。そういう時は外に出て風に当たるのが一番でっせ」
そう言われたので、俺はとりあえず外に出た。
そして、驚愕する。
マストがあり、俺は自然と目線が上へといって、そして目にしたものは髑髏マークの旗だった。
海賊旗である。
(さっき、こいつ俺を船長と言ったよな?)
「なぁ、教えてくれ。この船の名を」
「なんです? おかしなこと言いますね。船長が付けた船の名前を忘れたんですか?」男はそう言って笑いながら「いいですよ、教えますとも。この船の名は『アン女王の復讐号』」と堂々と答えた。
「アン女王の復讐号……」
それはつまり、名のある海賊、黒髪の船ということになる。
(え? 俺黒髪なの!?)
俺達はアパートを出て自動車に乗り込むと、計画通りに襲撃ポイント近くまで行くと、そこで車を降りた。
3人はそれぞれ手榴弾をアパートに出る前に渡されており、自分を含む3人はバラバラに定位置についた。
通りには沢山の人達が大公をこの目で見ようと集まっていた。
(こんなに沢山の人がいれば、どこから狙われてもおかしくないのに)
俺は自分の場所から他の青年、つまりは残りの二人の様子を見ようとしたが、沢山の人で他の二人は自分の位置からは確認出来なかった。
(よし)
俺はこれなら他の二人も自分を見つけられないだろうとみて、こっそりその場から立ち去った。
暫くして、大公が訪れる前に二人の青年の近くに私服警官が取り囲み、二人を取り押さえ、その場から引きずり出した。
俺は事前に警察に襲撃が行われることを密告していた。
だが、警察の返答は確かでなければ大公の来訪を中止には出来ないと言われてしまった。未来はそう簡単には変えられなかった。しかし、警察は襲撃ポイントの場所に警戒をする約束をしてくれたのだった。まぁ、言わなくてもしていただろう。
問題はこの後だった。
青年を取り押さえたことで、警察は俺の話しを少なからず信じた筈だ。俺は警察に対し他にも狙っている人達がいることをあらかじめ伝えてあった。そう、青年達以外の老人、そして中年男だ。しかし、それ以外にも俺の知らない仲間がいる可能性がある。これで大公来訪が中止になってくれればいいが。
(俺の出来ることはやった。黒幕は捕まえられなくても、事件さえ防げれば目的は果たされる)
俺はそう安易に思っていた。
「おい、どこへ行く。スパイ野郎」
そう言ったのは襲撃ポイントまで運転した例の中年男だった。
俺の後頭部に銃口が向けられた状態で俺は身動きが完全に取れなくなった。
「サツにチクりやがったな」
俺はとりあえず無抵抗アピールに両手をゆっくりあげた。だが、多分それは意味を無さないだろう。
すると、大衆の歓声がわいた。
「え?」
「残念だったな。大公の来訪は続行、元々お前達なんてアテになんかしてなかったさ。最初の計画が失敗した時の予備は用意してあるもんだぜ。さぁ、お前の勇敢さが無駄に終わったと知ったところで、人生にお別れを告げな」
(そんな! そんなことって!)
お別れを告げろ、それは死を宣告されたようなものだ。
なら、俺はここで死ぬのか?
俺が果たした役割は?
これで終わり?
「じゃあな」
銃声が鳴り響いた。
快晴の下で、俺は頭から血を流しながら倒れた。
◇◆◇◆◇
気づいたら俺は知らないベッドの上にいた。
急いで起き上がると、俺は両手で後頭部を擦った。
「俺、今撃たれて死んだよな!?」
なのに、今こうして生きている。これが夢ならリアル過ぎる。しかし、夢でないことは今の状況が示している。
知らないベッドの上でいきなり寝ていたなんてあり得ない話しだ。
なら、俺が死んだと思ったこの記憶は間違いじゃない?
(また、転生したのか?)
しかも、記憶を引き継いだままだし、さっき出た声も俺の知る自分の声だ。
鏡を見れば明らかになるだろう。姿も前世のままであると。
俺が今着ている服は上下黒のジャージだった。
ベッドから出て部屋の窓の外を見た。
「は?」
窓の外から見える景色は綺麗なブルー色の、そう、海だった。
そういえば、揺れているような気がする。
ようやくそれで自分が船内にいることに気づいた。
すると、部屋の外からノックがされた。
「船長、入りますよ」
(船長?)
ドアが開けられ入ってきたのは小汚い男だった。黒髪で頭はボサボサだ。シャツもずっと同じのを着ていたのかヨレヨレだ。
「船長、随分よく寝てましたね」
明らかにそいつは自分に向かってそう言ったのだ。
(こいつは俺が船長だと思っているのか?)
そう言えば、大公襲撃の際も中年男は俺をなにかと勘違いしていた。
「そんなに酔い潰れるまで飲んだなんて珍しいですね。そういう時は外に出て風に当たるのが一番でっせ」
そう言われたので、俺はとりあえず外に出た。
そして、驚愕する。
マストがあり、俺は自然と目線が上へといって、そして目にしたものは髑髏マークの旗だった。
海賊旗である。
(さっき、こいつ俺を船長と言ったよな?)
「なぁ、教えてくれ。この船の名を」
「なんです? おかしなこと言いますね。船長が付けた船の名前を忘れたんですか?」男はそう言って笑いながら「いいですよ、教えますとも。この船の名は『アン女王の復讐号』」と堂々と答えた。
「アン女王の復讐号……」
それはつまり、名のある海賊、黒髪の船ということになる。
(え? 俺黒髪なの!?)
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