芸術で稼ぐ異世界

アズ

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 俺は事件を企てる連中のアジトの一室を借り与えられた。
 殺風景な部屋にベッドが一つだけ。壁紙が途中で剥がれ、少し臭いがする。掃除もろくにされていないが、野宿するよりかはベッドがあるだけマシだと思った。
 部屋に入って直ぐにベッドに横たわった俺は天井を見た。
(黄ばんでる)
 このことを警察に通報すれば、事件は未然に防げる。これでいいんだ。
 俺は目をつむり、そのまま眠りに入った。



 夢の中で俺は美術館の中にいた。最初はこれが夢だとは思わず現実だと思っていた。それほどまでにリアルだったからだ。
 だが、絵画や彫刻が展示されてある中で、その彫刻の作者の名前がロビンだったのだ。
 ハッとしてまさか生きていた!? と思ったが、違うと直ぐに冷静になれた。それが、夢だと気づいたきっかけだった。
 大抵夢であると気づいた時点で目が覚めそうだが、夢はこの後も暫く続いた。
 美術館の中を順番通りに回っていくと、ある宗教画に目がつく。
 女性の天使が描かれており、作者はアンジェとあった。
 どこかで聞いた名だと思ってなんとか思い出そうとしていると、その名がエマのルームメイトと同じであったことに思い出した。
「そうか」
 これは僕の夢の中で起こっていることなんだ。だから、知ってる名前ばかり出てくるんだ。
 そう思いながらふと、その絵の天使の指先が気になった。意味ありげに横へと指を指している。
 それはそちらの方向を見た。
 そこは窓で、窓の外は地上が見えない。ここは二階だ。下を覗いてみると、近くに大通りがある。
 パレードが行われる予定なのか、沢山の人が集まっていた。
 パレード?
 妙にその光景が引っ掛かった。
(まさか!?)
 そこに、車がやってくる。
 オープンカーで、大公が乗っている。
「やめろ!」
 俺は思わずそう叫んだ。



 そこで目が覚めた。
 嫌な夢だった。まさか、あんな夢を見るなんて。だが、無理もない。リアルな計画を聞かされた後だから。
 だが、おかげで忘れていたことに気づかされた。
 あの後の光景、夢の続きが俺には分かる。
 あの後、大公は殺せず失敗に終わる。だが、その後で大公は殺されてしまう。
 殺害される場所はそこじゃない。
 どこだ?
 そして、誰がやるんだ?
 俺を含めた3人が計画に失敗した後、それを知った誰かが大公を殺害する。
 だが、それを誰かに言って信用されるのか?
 いや……これは多分俺にしか止められないことなんだ。知っている俺にしか。
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