おかしな学校

アズ

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 落合は再び校長先生を呼び出した。
「何度も申し訳ありません」
「いえ、構いません。それで、進展はあったのでしょうか?」
 落合は眉をピクリと動かした。小林先生は自殺をした。それに対して警察に進展を聞いてくる校長の態度に違和感があったが、直ぐには指摘せず今は胸の内に閉まった。後で整理する時に使えそうだからだ。
「河辺先生に話しを伺った際に、小林先生は昨日から帰っていないのではないかと仰られましが」
「それは、職員室に小林先生の荷物が置かれてあったからでしょう。実際に出勤していれば、河辺先生と小池先生が気づかない筈はないと思いますよ」
「因みに、発覚前校長先生はどちらに?」
「私は校長室にいました」
「校長室の扉は閉められた状態ですか?」
「普段からそうです」
「そうでしたか。それでは校長先生からは小林先生が現れたとしても気づくことは出来なかったということでしょうか」
「いや、気づかなくても他の方が気づくでしょう」
「河辺先生は更に昨日していたネクタイの話しをされていました。昨日小林先生が付けていたネクタイをご存知でしたか?」
「ええ、赤色でしょ」
「柄はどうです?」
「え?」
「柄までは分かりませんか?」
「そこまでは見てなかったな……」
「でも、ネクタイは覚えていたんですよね」
「目立つ色でしたから」
「河辺先生もそう仰っていました」
「ええ、そうでしょう」
 まるで、同意を求めるかのような返事だ。
「目立つ色かもしれませんが、派手な赤とまではいかない色でしたよ。えんじ色のネクタイです。そこまで珍しいですか」
「小林先生はまだ教師としては二年ぐらいなんですよ。あまり、目立つ若い先生というのはいないものです。普通はもう少しありきたりなネクタイの色をしてきませんか。例えば紺とか」
 分からなくもない。
「では、校長先生は若い先生が赤いネクタイをしていたから覚えていたということですか」
「そういう言い方をされてしまうと、それも違うような気もしますが」
「それでは別の質問をしましょう」
 少し安堵した表情をした。それを落合は見逃さなかった。まるで、これ以上ネクタイの話題は勘弁してもらいたかったところだと言わんばかりに、それが顔に出ている。
 ああ、この人は嘘がつけない人だな。
「小林先生が自殺をした理由について、何か心あたりはありませんか?」
「いえ、ありません。ですので、何故小林先生がこのような自殺をしたのか全く分からないのです」
「小林先生は他の先生とトラブルはありませんでしたか」
「いえ、なかったです」
「それではクラスで学級崩壊やモンスターペアレントとかいったトラブルはどうでしょう」
「それもなかったと思います」
「小林先生と一番親しい先生がいたら教えて下さい」
 そう聞かれた校長は答えに困惑した。そう、直ぐには答えられないのだ。結局のところ、何が起きているのかこの校長では分かりようがないのだ。
「そういうご質問でしたら学年主任に聞かれた方がよろしいかもしれません。そちらの方が私よりきっと詳しい筈です」
「分かりました。それでは、学年主任を呼んで下さい」
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