おかしな学校

アズ

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 昼前になって、一人の刑事が落合に報告に来た。
「落合さん、小林自宅を見て来ましたが遺書らしきものは見つかりませんでした。部屋は殺風景で、あまり家具がない感じで」
 小林は独身でワンルームの賃貸に住んでいた。職員室の彼のデスクも調べたが、遺書は見つかっていなかった。一様、教室も探したが、なかった。
 遺書のない自殺。死ぬ前に誰かに残す言葉も彼にはなかったということなのか。
「それと、保護者が今学校に来て、ようやく男子児童から話を聞いてます」
「そうか」
 落合はあまり関心がなかった。何故なら、小学生から聞ける証言に俺達警察がびっくり仰天するような話が聞けるとは思わなかったからだ。だいたいのことは大人達から聞けた。
「あ、そうだ。あの男子に聞いておいて欲しいことがあるんだ。昨日の先生のネクタイの色を覚えているか確認してくれ」
「分かりました」
「検死の結果はまだ来ないのか」
「はい、来てません。来たら直ぐに結果を教えます」
「ああ」
 報告に来た刑事は踵を返して教室を出ていった。入れ違いに教頭が入って来た。
「失礼します」
「どうぞ、此方に座って下さい」
「はい」
「早速質問なのですが、学校の戸締まりは教頭先生が行われたと聞きました」
「はい、私がしました。児童が全員下校してから全ての窓が閉まっているか確認をしに回っていきました」
「最後に学校を出たのも教頭先生ですか」
「はい」
「その時、最後まで残っていた先生は覚えていますか?」
「はい。内川先生です。いつも、あの先生は遅いです」
「小林先生はどうでしょうか」
「先生がどのタイミングで帰ったのかまではちゃんと記憶していません。普通は先生の方から挨拶をして帰られますが、小林先生はなかったかもしれません。ただ、その時は気づいていませんでした。いつも、遅い内川先生が出て、職員室は誰もいない状態になりました。そこで私は誰もいないと判断をし、最後に鍵をしていきました。まさか、小林先生がいたなんて思ってもいませんでした」
「気づかないものなんですか」
「小林先生の鞄があったなんて気づきませんでした。先生のデスクを見て回るわけじゃありませんし、教職員にタイムカードがあるわけじゃありません」
「こんなことを教頭先生に言ってもしょうがないのかもしれませんが、先生というのは大変なお仕事みたいで、夜遅くに残ることもあるのだとか。中学校以上だと、部活動の顧問もサービス残業でお給料は発生しないと聞きました。でも、最近では教職員の勤務時間の把握にタイムカードやそれ以外の方法で把握するようになってきたとも聞いたことがあります」
「本来はそうあるべきなんでしょうね。もし、本校でも行っていれば小林先生がまだ退勤していないことに気づけたかもしれません」
「都道府県によって、取り組みに差が出ているのは本当らしいですね」
「そのご指摘は真摯に受け止めたいと思います」
「話を戻します。教頭先生の立場から小林先生はどのように見えましたか」
「子ども達からは人気のある先生でした」
「教職員同士はどうでしたか?」
「トラブルという意味でしょうか? であれば、ありませんでした」
「そうでしたか、ありがとうございました。とりあえずは聞き取りは以上です。ですが、また伺うことがあると思います。その際はまたお願いします」
「分かりました」
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