8 / 18
08
しおりを挟む
捜査本部が立ち上がった。小学校で起こった首吊は自殺ではなく絞殺を自殺に見せかけた殺人事件であったことが、検死によって明らかにされたからだった。
捜査本部には捜査に加わる捜査員達が集まり、時間通り最初の会議が始まった。
会議では明らかになった情報を各担当が起立後に説明していく。
最初に、検死の結果の説明が行われた。
検死によると、絞殺された際に出来た傷と、吊るされて出来た傷がそれぞれあり、先に絞殺された後に吊るされたと考えられ、更に死亡推定時刻は19時から21時の間になるとされた。
次に落合が起立した。
「落合です。学校の聞き取りから分かったことは、学校が最後に戸締まりした時刻が21時30分、戸締まりをしたのは学校の教頭です。教頭によれば最後にいたのは内川という教師だったとのこと。また、被害者がまだ学校にいたことを教頭は気づいていなかったと供述しています。教頭が校舎内の戸締まりを済ませたのは児童が下校した後ですので、死亡推定時刻前となります。つまり、教頭の巡回後に犯行が行われたと考えられます」
「その間に犯行が可能な人間を絞り込め」
「はい」
返事をした後、落合は着席した。
実を言うと、犯行可能な人間、それを絞り込むのは簡単だ。
まず、その犯行可能な時間帯に学校にいた教職員に絞り込み、更に職員室から長時間離れていた時間を考えればそれだけでも可能だろう。
教頭曰く、仕事が終わった教師は挨拶をして帰る。
「お疲れ様でした」を言うのは社会の常識だろう。しかし、挨拶をしておきながらまだ帰っていなければ不審に思われるのは間違いない。教師が帰るには絶対に職員室前を通る必要がある。他の昇降口から出ようもんなら、鍵をどうするかという問題が発生する。
つまり、帰る前に必ず犯行を済ませておく必要があるが、大人を絞殺した後に更に自殺に見せかけロープで吊るすとなれば流石に時間はかかるだろう。だから、長時間席を離した人間がまずは疑わしいと見るべきだ。もっと言えば、力仕事に女性一人で行えるとは思えない。従って、犯人は男性。
会議が終わると、落合は再び学校へと戻った。
◇◆◇◆◇
学校に戻ると落合は早速校長と話を始めた。
「校長先生、残念なお知らせがあります」
残念と警察から言われかなり動揺した表情をした。
「これ以上に残念なことですか」
「はい。検死の結果分かったことですが、小林先生はロープによる首吊自殺ではなく、何者かによる絞殺によって殺害されたことが分かりました」
「そんな!? 殺人!?」
「はい。よって今後我々は殺人事件として捜査を行います」
「自殺ではなかったんですか」
「そう見せるのが犯人の狙いだったのでしょう。しかし、検死をすれば真実が見えてきます。違うのであれば違うとはっきり答えが出るのが今の科学です」
「警察はまさか、私達の中に犯人がいると考えているんですか」
「可能性は大きいと見ています。学校という現場での殺害になれば、外部からの犯行は低いでしょう。例えば、戸締まりに問題はなく、昇降口にも正面玄関にも防犯カメラがある学校に忍び込んで小林先生を殺害し学校から気づかれずに出るなんてことは不可能に近いでしょう。そもそも、小林先生が六年一組にいたのは誰かに呼び出されたからでしょう。呼び出されても疑われない人間となると、それは教職員に限られます」
「警察は私達を疑っているのは分かりました。ですが、私は先生方を信じています」
「結構です。しかし、今後も我々の捜査には協力していただきます」
捜査本部には捜査に加わる捜査員達が集まり、時間通り最初の会議が始まった。
会議では明らかになった情報を各担当が起立後に説明していく。
最初に、検死の結果の説明が行われた。
検死によると、絞殺された際に出来た傷と、吊るされて出来た傷がそれぞれあり、先に絞殺された後に吊るされたと考えられ、更に死亡推定時刻は19時から21時の間になるとされた。
次に落合が起立した。
「落合です。学校の聞き取りから分かったことは、学校が最後に戸締まりした時刻が21時30分、戸締まりをしたのは学校の教頭です。教頭によれば最後にいたのは内川という教師だったとのこと。また、被害者がまだ学校にいたことを教頭は気づいていなかったと供述しています。教頭が校舎内の戸締まりを済ませたのは児童が下校した後ですので、死亡推定時刻前となります。つまり、教頭の巡回後に犯行が行われたと考えられます」
「その間に犯行が可能な人間を絞り込め」
「はい」
返事をした後、落合は着席した。
実を言うと、犯行可能な人間、それを絞り込むのは簡単だ。
まず、その犯行可能な時間帯に学校にいた教職員に絞り込み、更に職員室から長時間離れていた時間を考えればそれだけでも可能だろう。
教頭曰く、仕事が終わった教師は挨拶をして帰る。
「お疲れ様でした」を言うのは社会の常識だろう。しかし、挨拶をしておきながらまだ帰っていなければ不審に思われるのは間違いない。教師が帰るには絶対に職員室前を通る必要がある。他の昇降口から出ようもんなら、鍵をどうするかという問題が発生する。
つまり、帰る前に必ず犯行を済ませておく必要があるが、大人を絞殺した後に更に自殺に見せかけロープで吊るすとなれば流石に時間はかかるだろう。だから、長時間席を離した人間がまずは疑わしいと見るべきだ。もっと言えば、力仕事に女性一人で行えるとは思えない。従って、犯人は男性。
会議が終わると、落合は再び学校へと戻った。
◇◆◇◆◇
学校に戻ると落合は早速校長と話を始めた。
「校長先生、残念なお知らせがあります」
残念と警察から言われかなり動揺した表情をした。
「これ以上に残念なことですか」
「はい。検死の結果分かったことですが、小林先生はロープによる首吊自殺ではなく、何者かによる絞殺によって殺害されたことが分かりました」
「そんな!? 殺人!?」
「はい。よって今後我々は殺人事件として捜査を行います」
「自殺ではなかったんですか」
「そう見せるのが犯人の狙いだったのでしょう。しかし、検死をすれば真実が見えてきます。違うのであれば違うとはっきり答えが出るのが今の科学です」
「警察はまさか、私達の中に犯人がいると考えているんですか」
「可能性は大きいと見ています。学校という現場での殺害になれば、外部からの犯行は低いでしょう。例えば、戸締まりに問題はなく、昇降口にも正面玄関にも防犯カメラがある学校に忍び込んで小林先生を殺害し学校から気づかれずに出るなんてことは不可能に近いでしょう。そもそも、小林先生が六年一組にいたのは誰かに呼び出されたからでしょう。呼び出されても疑われない人間となると、それは教職員に限られます」
「警察は私達を疑っているのは分かりました。ですが、私は先生方を信じています」
「結構です。しかし、今後も我々の捜査には協力していただきます」
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ
朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】
戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。
永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。
信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。
この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。
*ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
滝川家の人びと
卯花月影
歴史・時代
勝利のために走るのではない。
生きるために走る者は、
傷を負いながらも、歩みを止めない。
戦国という時代の只中で、
彼らは何を失い、
走り続けたのか。
滝川一益と、その郎党。
これは、勝者の物語ではない。
生き延びた者たちの記録である。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
診察室の午後<菜の花の丘編>その1
スピカナ
恋愛
神的イケメン医師・北原春樹と、病弱で天才的なアーティストである妻・莉子。
そして二人を愛してしまったイケメン御曹司・浅田夏輝。
「菜の花クリニック」と「サテライトセンター」を舞台に、三人の愛と日常が描かれます。
時に泣けて、時に笑える――溺愛とBL要素を含む、ほのぼの愛の物語。
多くのスタッフの人生がここで楽しく花開いていきます。
この小説は「医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語」の1000話以降の続編です。
※医学描写はすべて架空です。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる