2 / 20
2
しおりを挟む
同窓会の後、中村くんから連絡が来た。私がプログラマーということを同窓会に参加した誰かから聞いたのか、社内のシステムについての相談だった。
メールじゃ埒があかなく電話に切り替える。内容を聞く限り残念だが、私はシステムエンジニアでもネットワークエンジニアでもないので門外漢だ。主にDBアプリケーション作成・保守、で専門はSQL、VBAで、私は一商社のシステム部門に在籍しているだけで、私の勤務先はシステム会社じゃない。そのような要件はシステム会社へ発注してくれと伝えた。
中村くんは道理で話が繋がらないと思った、とつぶやき礼を言うと電話を切った。
「菜津、今の誰? 仕事の人にしては変な会話」
「聞いてたの?」
「ごめん、聞こえちゃったから。」
「この間の同窓会で連絡先交換した人。私がプログラマーと友人に伝えたら、プログラマーとネットワークエンジニアの違いがわからなかったみたいで相談に乗ってもらえば? って言われたみたい。」
「ふーん。俺もよくわからないや。」
「どっちにしても、自分のところのシステム部門に聞けばいいのに。もしシステム部門がなくて外注でその選定に彼が関わっているんだとしたら、だいぶ切羽詰まってるね。」
「なんで?」
「だって、私の会社名知っててそんな相談するんだよ? ちゃんと然るべきところに相談すべきじゃない?」
「そうだな……そいつ、男?」
「そう。中学生時代の私の親友に惚れてた人。」
「それはもう10年以上も前の話だろ? 菜津、そいつからの電話はもう出るなよ。」
「なんでよ。頓珍漢なアドバイス受けちゃって、一応確認で連絡くれただけじゃない。そんなこと言われる筋合いはないでしょう。」
「そもそもなんで連絡先交換してんだよ。」
「連絡先交換しただけじゃない。」
「そこから口説く気満々じゃねえかよ。」
「どうして?」
彼が眉根を寄せて、はあ~っとため息をつく。
そういえば、中村くんも私に連絡先を聞いた時、口説かせろと言った。まさかあれは売り言葉に買い言葉みたいな冗談で言ったのであって、本気ではないし、なんで大樹さん知ってるの?
じっと大樹さんの顔を眺める。あれ? 少し痩せた?
「菜津、自分で『切羽詰まってる』『然るべきところに相談すべき』って言ったろ。つまり、そいつ相談がしたいんじゃなくて、菜津と話をしたかったんだろ。」
「ふーん、なるほど?」
「なんで話したい? 嫌いなやつ、興味もない奴にわざわざ電話かけることはないし連絡先交換なんかしないだろ。」
「そっか、ごめん。でも私はあの人、別になんとも思ってないし、用もないから私から連絡を取ることもないよ。」
「そうして。ちゃんと俺の存在伝えとけよ。」
「言ってあるよ。」
「図々しい奴だな。」
「うん、だからよっぽど切羽詰まってるんだねえ。」
彼がもう一度、はあ~っとため息をつく。
私って、そんなに信用されていないのだろうか。
「大樹さん、私ってそんなに信用ないですか?」
「なんでさ?」
「だって、ため息つくから。」
「信用はしてる、でも頼りないから心配。」
「どう違うんです?」
「菜津は口説かれてんのに、気がつかず流されちゃう。気がついたらやっちゃった後とか、嫌だからな。」
「やっぱり信用されてない。その前にちゃんと気がつくよ。」
「俺が言うのもなんだけど、付き合い始めが酔った勢いだからね。」
私と彼の出会いは、三年ほど前。私はインディーズバンドのライブを観に行き、お目当のバンドを観終えサクッと切り上げた。近場のファミレスで時間を潰し店を出ると、打ち上げを早く切り上げた彼とバッタリと会った。彼はバンドマンだった。駅まで、と話しながら歩くうち盛り上がり、駅に着けば線まで同じで、電車の中でクスクス笑い合えば最寄駅が1駅違いと知る。彼と最寄り駅の飲み屋で飲み直した。
ご機嫌に酔っ払い、私は彼をかっこいいと思っていたので、あっさり誘いに乗りお持ち帰りされた。
翌朝、そこそこ顔立ちの整ったバンドマンってこうやって女の子を食っていくんだ、と妙に感心した。
彼は、そのままバンドを抜けた。ファンを食ったから? と自分の軽率な行動に責任を感じたが、単純にメジャーデビューを目指す他のメンバーと、のんびり趣味で続けていければいいと考えるスタンスの違いだった。
なのに、世の中は不条理なもので大樹さんが脱退後、ソロで作った曲がTVで使われることになる。インディーズのまま販売していたため、横から抜かれることがなく、臨時収入♪赤字清算と、彼はホクホクしていた。
それでも、彼は天狗になることなく、やはり音楽は趣味で本業の料理人の道を進んでいた。
「元々お互いを良いと思っていた下地があるじゃない。私、中村くんはどうでも良いもん。」
「中村って言うんだ、へえ。」
「……大樹さんって、そんなに束縛する人でしたっけ? 嫉妬深い人でしたっけ?」
「最近、菜津に構ってもらってないから。今日泊まっていくだろ?」
「…うん」
「じゃあ、菜津…」
抱きしめられ、キスと同時にぽいぽいと服を剥ぎ取られた。今日は前開きのブラウスを着ていたからとはいえ、いつも思う、なんて手際の良さ……
「大樹さんって、絶対職業間違えてますよ。介護職があってます。」
「何? どう言うこと?」
「服脱がすの、手際良すぎ。」
「ぶ…そこだけじゃん。菜津…」
「ん…」
服を脱ぎ、裸になればキスが降りてくる。そして私が彼の服に手をかける。
馴れきった、いつもの手順。
シャツの裾から手を入れて彼の胸と背中を撫で、シャツを上にあげていく。
キスを中断して彼がTシャツを脱ぎ捨てる。
熱い肌に自らの体を押し付けて、キスを続ける。
背中に回した手を体に沿わせ、Gパンのホックに手をかける。
けど、私はここまで。いつもこのホックを外せない。キスをしながらじゃ、手元が見えない。不器用すぎて、彼が待ちきれず私をベッドに運んで自分で脱ぐ。
なのに、今日はなぜかいつも外れないホックがするっと外れた。
思わず嬉しくてニコッと笑う。
「ぷ…何、どや顔してんの?」
「私、ちょっと成長したのかも。」
「うん、そうだね、ここなんか特に。」
口づけで私の口を塞ぎヤワヤワと胸を揉みしだく。息継ぎに顔をそらし会話を続ける。
「もう、気にしてるんだから。言わないでよ。」
「なんで? 大きい方がいいじゃん。」
「胸って、脂肪の塊なの。胸が大きくなるって、つまり他にも脂肪が付くってことなの。」
「ああ、そう言うこと? 気がつかなかったけど。なら、俺は逆」
「え?」
「菜津に会えない間、なんか飯がまずくて腹回りの肉が落ちた。」
「大げさな。痩せたコックは信用するなっていうから、ちゃんと食べて。」
「ビール腹がスマートになったくらいだから、丁度いいの。ちゃんと鍛えるよ。」
「いいね、細マッチョ…ってだから今日、外れたのかな……」
「ん、そうかもな。」
彼が自分の腹回りを撫で、Gパンを脱ぐ。
いやでも目に入るそれを見て、思わず顔を赤らめ視線をそらす。
「良い加減、見慣れろよ」
「無理! 馴れるわけないでしょ」
「ここ以外も、成長してよ……」
「ひどーい、成長したの肉だけってこと?」
「さあね? もう黙って……」
いつもはしない会話、いつもより長いキス。
結局ベッドに運ばれ、彼は下着を自分で脱ぎ、私に覆いかぶさる。
いつもとはちょっとだけ違う、変化が起きた夜の始まり。
メールじゃ埒があかなく電話に切り替える。内容を聞く限り残念だが、私はシステムエンジニアでもネットワークエンジニアでもないので門外漢だ。主にDBアプリケーション作成・保守、で専門はSQL、VBAで、私は一商社のシステム部門に在籍しているだけで、私の勤務先はシステム会社じゃない。そのような要件はシステム会社へ発注してくれと伝えた。
中村くんは道理で話が繋がらないと思った、とつぶやき礼を言うと電話を切った。
「菜津、今の誰? 仕事の人にしては変な会話」
「聞いてたの?」
「ごめん、聞こえちゃったから。」
「この間の同窓会で連絡先交換した人。私がプログラマーと友人に伝えたら、プログラマーとネットワークエンジニアの違いがわからなかったみたいで相談に乗ってもらえば? って言われたみたい。」
「ふーん。俺もよくわからないや。」
「どっちにしても、自分のところのシステム部門に聞けばいいのに。もしシステム部門がなくて外注でその選定に彼が関わっているんだとしたら、だいぶ切羽詰まってるね。」
「なんで?」
「だって、私の会社名知っててそんな相談するんだよ? ちゃんと然るべきところに相談すべきじゃない?」
「そうだな……そいつ、男?」
「そう。中学生時代の私の親友に惚れてた人。」
「それはもう10年以上も前の話だろ? 菜津、そいつからの電話はもう出るなよ。」
「なんでよ。頓珍漢なアドバイス受けちゃって、一応確認で連絡くれただけじゃない。そんなこと言われる筋合いはないでしょう。」
「そもそもなんで連絡先交換してんだよ。」
「連絡先交換しただけじゃない。」
「そこから口説く気満々じゃねえかよ。」
「どうして?」
彼が眉根を寄せて、はあ~っとため息をつく。
そういえば、中村くんも私に連絡先を聞いた時、口説かせろと言った。まさかあれは売り言葉に買い言葉みたいな冗談で言ったのであって、本気ではないし、なんで大樹さん知ってるの?
じっと大樹さんの顔を眺める。あれ? 少し痩せた?
「菜津、自分で『切羽詰まってる』『然るべきところに相談すべき』って言ったろ。つまり、そいつ相談がしたいんじゃなくて、菜津と話をしたかったんだろ。」
「ふーん、なるほど?」
「なんで話したい? 嫌いなやつ、興味もない奴にわざわざ電話かけることはないし連絡先交換なんかしないだろ。」
「そっか、ごめん。でも私はあの人、別になんとも思ってないし、用もないから私から連絡を取ることもないよ。」
「そうして。ちゃんと俺の存在伝えとけよ。」
「言ってあるよ。」
「図々しい奴だな。」
「うん、だからよっぽど切羽詰まってるんだねえ。」
彼がもう一度、はあ~っとため息をつく。
私って、そんなに信用されていないのだろうか。
「大樹さん、私ってそんなに信用ないですか?」
「なんでさ?」
「だって、ため息つくから。」
「信用はしてる、でも頼りないから心配。」
「どう違うんです?」
「菜津は口説かれてんのに、気がつかず流されちゃう。気がついたらやっちゃった後とか、嫌だからな。」
「やっぱり信用されてない。その前にちゃんと気がつくよ。」
「俺が言うのもなんだけど、付き合い始めが酔った勢いだからね。」
私と彼の出会いは、三年ほど前。私はインディーズバンドのライブを観に行き、お目当のバンドを観終えサクッと切り上げた。近場のファミレスで時間を潰し店を出ると、打ち上げを早く切り上げた彼とバッタリと会った。彼はバンドマンだった。駅まで、と話しながら歩くうち盛り上がり、駅に着けば線まで同じで、電車の中でクスクス笑い合えば最寄駅が1駅違いと知る。彼と最寄り駅の飲み屋で飲み直した。
ご機嫌に酔っ払い、私は彼をかっこいいと思っていたので、あっさり誘いに乗りお持ち帰りされた。
翌朝、そこそこ顔立ちの整ったバンドマンってこうやって女の子を食っていくんだ、と妙に感心した。
彼は、そのままバンドを抜けた。ファンを食ったから? と自分の軽率な行動に責任を感じたが、単純にメジャーデビューを目指す他のメンバーと、のんびり趣味で続けていければいいと考えるスタンスの違いだった。
なのに、世の中は不条理なもので大樹さんが脱退後、ソロで作った曲がTVで使われることになる。インディーズのまま販売していたため、横から抜かれることがなく、臨時収入♪赤字清算と、彼はホクホクしていた。
それでも、彼は天狗になることなく、やはり音楽は趣味で本業の料理人の道を進んでいた。
「元々お互いを良いと思っていた下地があるじゃない。私、中村くんはどうでも良いもん。」
「中村って言うんだ、へえ。」
「……大樹さんって、そんなに束縛する人でしたっけ? 嫉妬深い人でしたっけ?」
「最近、菜津に構ってもらってないから。今日泊まっていくだろ?」
「…うん」
「じゃあ、菜津…」
抱きしめられ、キスと同時にぽいぽいと服を剥ぎ取られた。今日は前開きのブラウスを着ていたからとはいえ、いつも思う、なんて手際の良さ……
「大樹さんって、絶対職業間違えてますよ。介護職があってます。」
「何? どう言うこと?」
「服脱がすの、手際良すぎ。」
「ぶ…そこだけじゃん。菜津…」
「ん…」
服を脱ぎ、裸になればキスが降りてくる。そして私が彼の服に手をかける。
馴れきった、いつもの手順。
シャツの裾から手を入れて彼の胸と背中を撫で、シャツを上にあげていく。
キスを中断して彼がTシャツを脱ぎ捨てる。
熱い肌に自らの体を押し付けて、キスを続ける。
背中に回した手を体に沿わせ、Gパンのホックに手をかける。
けど、私はここまで。いつもこのホックを外せない。キスをしながらじゃ、手元が見えない。不器用すぎて、彼が待ちきれず私をベッドに運んで自分で脱ぐ。
なのに、今日はなぜかいつも外れないホックがするっと外れた。
思わず嬉しくてニコッと笑う。
「ぷ…何、どや顔してんの?」
「私、ちょっと成長したのかも。」
「うん、そうだね、ここなんか特に。」
口づけで私の口を塞ぎヤワヤワと胸を揉みしだく。息継ぎに顔をそらし会話を続ける。
「もう、気にしてるんだから。言わないでよ。」
「なんで? 大きい方がいいじゃん。」
「胸って、脂肪の塊なの。胸が大きくなるって、つまり他にも脂肪が付くってことなの。」
「ああ、そう言うこと? 気がつかなかったけど。なら、俺は逆」
「え?」
「菜津に会えない間、なんか飯がまずくて腹回りの肉が落ちた。」
「大げさな。痩せたコックは信用するなっていうから、ちゃんと食べて。」
「ビール腹がスマートになったくらいだから、丁度いいの。ちゃんと鍛えるよ。」
「いいね、細マッチョ…ってだから今日、外れたのかな……」
「ん、そうかもな。」
彼が自分の腹回りを撫で、Gパンを脱ぐ。
いやでも目に入るそれを見て、思わず顔を赤らめ視線をそらす。
「良い加減、見慣れろよ」
「無理! 馴れるわけないでしょ」
「ここ以外も、成長してよ……」
「ひどーい、成長したの肉だけってこと?」
「さあね? もう黙って……」
いつもはしない会話、いつもより長いキス。
結局ベッドに運ばれ、彼は下着を自分で脱ぎ、私に覆いかぶさる。
いつもとはちょっとだけ違う、変化が起きた夜の始まり。
0
あなたにおすすめの小説
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
行かないで、と言ったでしょう?
松本雀
恋愛
誰よりも愛した婚約者アルノーは、華やかな令嬢エリザベートばかりを大切にした。
病に臥せったアリシアの「行かないで」――必死に願ったその声すら、届かなかった。
壊れた心を抱え、療養の為訪れた辺境の地。そこで待っていたのは、氷のように冷たい辺境伯エーヴェルト。
人を信じることをやめた令嬢アリシアと愛を知らず、誰にも心を許さなかったエーヴェルト。
スノードロップの咲く庭で、静かに寄り添い、ふたりは少しずつ、互いの孤独を溶かしあっていく。
これは、春を信じられなかったふたりが、
長い冬を越えた果てに見つけた、たったひとつの物語。
【完結】ジュリアはバツイチ人生を謳歌する
ariya
恋愛
エレン王国の名門貴族・アグリア伯爵家に嫁いだジュリア・アグリア(旧姓ベルティー)。
夫のアベル・アグリア伯爵は、騎士として王妃の護衛任務に没頭し、結婚翌日からほぼ別居状態。
社交界のパーティーでは妻のエスコートを代理人に任せ、父の葬儀にも顔を出さず、事務的な会話と手紙のやり取りだけの日々が続く。
ジュリアは8年間の冷遇に耐え抜いたが、ある朝の食事中、静かに切り出す。
「私たち、離婚しましょう」
アベルは絶句するが、ジュリアは淡々と不満を告げる。
どれも自分のしでかしたことにアベルは頭を抱える。
彼女はすでに離婚届と慰謝料の用意を済ませ、夫の仕事に理解を示さなかった「有責妻」として後腐れなく別れるつもりだった。
アベルは内心で反発しつつも、ジュリアの決意の固さに渋々サイン。
こうしてジュリア・アグリアは、伯爵夫人としての全てを置き去りにし、バツイチ人生を開始する。
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
さようならの定型文~身勝手なあなたへ
宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」
――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。
額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。
涙すら出なかった。
なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。
……よりによって、元・男の人生を。
夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。
「さようなら」
だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。
慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。
別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。
だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい?
「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」
はい、あります。盛りだくさんで。
元・男、今・女。
“白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。
-----『白い結婚の行方』シリーズ -----
『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。
【完結】不貞された私を責めるこの国はおかしい
春風由実
恋愛
婚約者が不貞をしたあげく、婚約破棄だと言ってきた。
そんな私がどうして議会に呼び出され糾弾される側なのでしょうか?
婚約者が不貞をしたのは私のせいで、
婚約破棄を命じられたのも私のせいですって?
うふふ。面白いことを仰いますわね。
※最終話まで毎日一話更新予定です。→3/27完結しました。
※カクヨムにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる