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フラッシュバック ~高校、結成時代~

フラッシュバック

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 東京都23区の1DK。
 俺は、思わず体育座りしながらチビチビと缶ビールを飲んでいた。
 まさか新宿で元相方に会うとは・・・。

 つやつやと輝く銀髪。
 182cmとスラッとした体型で色白な肌。
 顔はいわゆる王子様系と言える、爽やかだが品がある、イケメン。
 作詞作曲も手がける、売れっ子歌い手「ユキ」。
 本名は二宮 雪ニノミヤ ユキ

 大学卒業してから更にイケメン度が上がったよな。
 やっぱり有名人にもなって、良いモノ食べるし、良い服着るし、もう雲の上の存在だな。
 ぼんやり思いながら、もう一口ビールを飲む。

***

 高橋 綾人タカハシ アヤト。25歳。
 以前は「ホシ」という名前で歌い手活動をしていた。
 かつては歌い手のユキとホシで結成する音楽ユニット、「ダイヤモンド・ダスト」。
 略して「ダイダス」で活動していた。

***

 新宿で雪と遭遇した後、俺と光はお店に入らず、各自家に帰ることにした。

「東京帰ってきて、まだ2ヶ月だぞ」

 俺は頭を抱える。

「なんでもう2回も会っているんだ」

 そう、さきほどの新宿での出会いを入れると2回目の遭遇。
 あんな場違いな新宿の繁華街で雪は一人で来ていた。
 あの出会いは偶然とは言い難い。

「あいつ、どうして?」

 帰り道での光の言葉が脳内で再生される。

『綾人、僕のほうから雪にお前に近づくな、と言うから。
なにか不安に思うことがあったら僕に連絡しな。
だけど・・・お前も分かるだろ。
あいつは欲しいと決めたものは手に入れるまで諦めない面倒くさい奴だから。
なにかあったら僕に連絡するんだよ。絶対な!』

 雪に会いたくない、怖い、と思う自分に対して光に申し訳ない気持ちとありがたい気持ちが同時に湧き上がる。
 だけど・・・

 俺は既に向こうから用済みと相方として捨てられたようなもんだ。
 どうせ雪の気まぐれだ。
 富と名声を手に入れたあいつ。
 久しぶりに見かけた俺にちょっと気になっただけだ。
 あんなに面と向かって拒絶したならもう二度と会わないだろう。

 グイッとビールを飲み干す。
 一軒目で既に飲んでいたから、良い感じの酔い心地だ。
 夢うつつになりながら、俺はぼんやりと雪との出会いを思い出していた。
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