リリアンナ・セフィールと不機嫌な皇子様

束原ミヤコ

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遺跡探索と雪解けの春

陥落する心 1

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 どこか遠く、高いところまでのぼりつめた感覚があるのに、体の熱はひいてくれない。
 体の中をぐるぐると熱が渦巻き凝っているようで、泣きじゃくりたくなるぐらいの切なさに私は身じろいだ。

「リリィ、まだ、辛いのか」

「は、ぃ……フィオルド様、ごめんなさい……」

「謝る必要はない。すまない。もう少し、耐えてくれ」

「ぁ、……っ、ゃあ、あ……っ」

 たくし上げられた制服からのぞく小さな胸に、フィオルド様が指先で触れる。
 ずり下げられた下着が申し訳程度に胸を隠しているけれど、まるで意味をなしていない。

 薄桃色でツンと立ち上がった両方の胸の飾りを、フィオルド様は指の腹で挟んでしごくようにして二本の指を動かし始める。

「ぁ、ぁあ……っ、だめ、ふぃお……るど、さまぁ……っ、それ、ゃ、ああ……っ」

「リリィ……痛いのか?」

 こりこりと指でしごかれると、臍の下あたりが切なく疼いた。
 耳元で囁く声が、制服の生地に擦れる体が、全部、おかしくなるぐらいに気持ち良い。

 フィオルド様は気遣うように言って、指の力をゆるめる。
 ふにふにと、柔らかく触れられて、優しく先端を指先でかりかりと小刻みに触られると、腰が勝手にゆらめいてしまう。

 体の奥から、新しい液体が溢れて、下着を濡らして、太腿に滴っていく。

「リリィ、痛かったら、教えて欲しい。お前が辛いことは、したくないと思っているが、私も知識はあるが経験がない。……こうして女性の肌に触れるのは、お前がはじめてだ」

 やや戸惑ったように、フィオルド様が言った。

 フィオルド様の女性経験について考えたことはなかったけれど、はじめて、と言われて嬉しくなる。
 私を好きだと言ってくれたフィオルド様に、私の他にも好きな女性がいたら、悲しい。

 フィオルド様は私の不実を疑っていたようだけれど、その苦しさが、今の私には少しだけ分かる気がした。

「いたく、ないです……ぜんぶ、きもちよくて……」

 ちゃんと伝えないと。
 フィオルド様が私にとても気をつかってくださっているのが分かるから、私も、その気持ちにこたえないと。

 こんなに誰かと話をするの、はじめてだけれど、言葉を話すたびに、堅牢な心の檻がほころびていくのが分かる。

 皮膚に触れる指先や体のあたたかさと一緒に、心も繋がっていく感じがして。
 それが、とても嬉しい。

「嫌では、ないのか」

「ぃやじゃ、ない、です……でも、変な声が、でるから……っ」

 フィオルド様は私の胸を手のひらで包むようにして、くにくにと揉むようにした。
 胸の頂が手のひらで擦れて、小さな胸が手のひらの中で形を変えるたびに、ひっきりなしに快楽が背中をはしる。

「ふ、あ、ああ……っ」

 我慢したくて唇を噛んだけれど、すぐにはしたない声が、唇からこぼれた。

 小部屋に私の声が響くのが、恥ずかしい。
 遺跡には誰もいないけれど、遺跡の外には先生や、他の生徒たちがいる。

 聞こえてしまったらと思うと、さらに羞恥心で体があつくなった。

「リリィ、お前の声は愛らしい。もっと、聞きたい」

「ゃ、あぅうう……っ、ゃ……はずか、し、……ひ、っんんぅ」

「可愛い、リリィ」

「ひぅ……っ」

 ――可愛いって、言われた。

 うまれてはじめて、男性から可愛いって言ってもらった。


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