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遺跡探索と雪解けの春
はじめての口付け 2
しおりを挟むくちゅ、くちゅりと、水音が粘膜を通して鼓膜に直接響いてくる。
フィオルド様の舌は甘くて、唾液に含まれている魔力は澄み渡る水のように清廉で、水に落ちる花弁のように芳しい。
(おいし……)
体の気怠さが、和らぐようだった。
まともに動くようになってきた手のひらで、フィオルド様の腕を掴む。
縋り付くようにぎゅっと制服を握りしめる。
「ん、んっ、ふぅ……ぁ」
次第に、舌の動きが大胆になってくる。
ざりと舌を擦り合わされて、包むように絡めると、びくびくと体が勝手に震えた。
気持ち良い。頭が、痺れる。
「ぁ、ん、ん……!」
お腹の底が切ない。
どこか遠くに、無理やり連れて行かれる感じがする。
ずっと欲しかったものが与えられるような心地良さに、泣きたくなるような解放感に、私はもっとそれを味わいたくて、思わずフィオルド様の舌に自ら自分のそれを絡めた。
呼吸が苦しい。
飲み込みきれない唾液が口の中から溢れて、はしたなく口角を伝い落ちていく。
「……っ、ん、ぅぅう」
フィオルド様は、貪るようにして、私の口腔を隅々まで弄った。
食べられてしまうんじゃないかというほど、激しく舌を嬲られる。
瞼の裏が、チカチカ白く点滅する。
頭が真っ白になって、何かが弾けるような感覚が全身を襲った。
びくんと震える私の体を、フィオルド様がぎゅっと抱きしめる。
名残惜しそうに何度か角度を変えて口づけを繰り返し、フィオルド様は愛おしそうに私の目尻や、頬に唇を触れさせる。
「リリィ、口づけだけで、達したのか?」
どこか嬉しそうに、フィオルド様が言う。
私を見つめる瞳はどことなく鋭くて、体の奥まで見透かされている感じがして、私は再び切なく体を震わせた。
「……っ、ぁ、あ、わたし……」
「気持ち良かった?」
「は、はぃ……」
すごく気持ち良かったです。
フィオルド様は嬉しそうに、私の髪に自分の頬を擦り付けた。
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