リリアンナ・セフィールと不機嫌な皇子様

束原ミヤコ

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遺跡探索と雪解けの春

 重なる気持ち 2

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 私も、欲しい。もっと、欲しい。奥まで、満たしてほしい。
 フィオルド様が好き。いつも自信がなくて、自分の感情さえわからないような私だけれど、今は胸がいっぱいになるぐらいに、フィオルド様のことが好き。

 一つになりたい。そうしたら、きっと――心も体も満たされるような気がする。

「フィオルド様、私も、欲しい……です」

「ここに、私が欲しい?」

 フィオルド様の、私の胸を弄っていた手のひらが、脇腹や腰をたどって、臍の下へと触れる。
 指先で、とんとんと、軽く突かれると、ただそれだけなのに、びくびくと体が震えてしまう。

 蜜壺から溢れた蜜が下着を濡らし、タイツから太腿に滴っている。

 ぐっしょり濡れた私の蜜口は、きゅうきゅうと勝手に収縮を繰り返して、物欲しそうに、布の上から触れる指を誘うようにひくついた。

「あ、あ……っ、おかしい、の、からだ……っ、ふぃお、るどさま、……ひ、あ……っ」

「可愛いな、リリィ。少し触れただけで、こんなに濡らして。……リリィ。自分でスカートを持ち上げて、私に見せてくれるか? お前の愛らしい姿が、もっと見たい」

 もっと、もっとと疼く私の体から、フィオルド様は両手を離した。

 急に温もりが消えてしまって、寂しさと物足りなさで悲しくなった私は、フィオルド様を見上げる。
 スカートの裾をぎゅっと掴んだ。

 恥ずかしい。いけないことをしている気がする。
 けれど、フィオルド様のいうことなら、なんでもきいてさしあげたい。

 優しい声で、けれど有無を言わせない強引さで命令されると、従ってしまいそうになる。
 従うことは、気持ちの良いことだと、心のどこかで理解しているみたいに。

「恥ずかしい、です……」

 なけなしの理性で、私はかすかに首を振って、できないと懇願した。
 フィオルド様は私の首筋を指の腹でたどりながら、触れるだけの優しい口付けをしてくださる。

「私しか、見ていない。お前の恥ずかしい姿を見ることができるのは、私だけだ。……リリィ」

 促すように名前を呼ばれて、私は震える手で自分のスカートをそろりと持ち上げた。
 きっと、外は暗いから、私の姿が誰かに見えたりしない。
 頼りない蝋燭の明かりに照らされた私の黒いタイツは、湿り気を帯びていて、両足の間からとろりと蜜を滴らせている。

「良い子だ、リリィ。……ここに、何が欲しい?」

 フィオルド様は、布越しに私の秘所を撫でて、花芯をぐりりと摘み上げた。

 布を隔てているせいか、強すぎる刺激でさえもどかしく感じる。

 フィオルド様がじっと私を見下ろしている。その瞳には残酷ともいえるぐらいに激しい情欲が灯っていて、見つめられるだけで、体の奥に溢れた快楽の渦が、身体中に波打つようだった。

「……っ、ふぃおるど、さまぁ……っ、あ、あ、っは……っ、ぁうう……っ」

「言え、リリィ。……私を、求めてくれ」

 耳元で囁かれて、くちゅりと舌が耳に差し込まれる。

 じゅぶじゅぶと、まるで私の中にフィオルド様が入っている時のように、耳の中をかきまわされると、フィオルド様の指に秘所を擦り付けるように腰が揺れた。

 僅かに残った理性が、パンに乗せたバターのように、どろどろに蕩けていく。

「……欲しい、の……ふぃおるど、さま……っ、ほし、い……リリィの中に、ふぃおるどさまの、……を、入れて、くださ……っ」

 恥ずかしくて、その単語を口にすることはできなかったけれど、そのかわりに手を伸ばして、フィオルド様のスラックスの中で窮屈そうにしているご自身を撫でた。

 それは布越しでもわかるぐらいに熱くて、硬くて、撫でるとびくびくと脈打っていて、何か別の生き物のように感じられた。

「……あぁ、リリィ。良い子だ」

 どこか野生味を帯びた笑みを、フィオルド様は浮かべた。

 期待に、体が震える。

 苦しみも、悲しみも、不安も。全部私が受け止めて差し上げたい。
 私は、フィオルド様のことが好きだから。

 甘えるように手を伸ばすと、フィオルド様は私の体をぎゅっと抱きしめてくださった。

 抱きしめていただくと、安心する。愛されているのを感じることができる。

 快楽だけではなくて、フィオルド様が好きだから、求められたい。たくさん、満たして欲しい。
 




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