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聖女の魔力と豊穣の秋
自己嫌悪のち開き直り ※フィオルド視点です 2
しおりを挟む私はやはり、リリィを食べてしまいたいと思っているのだろう。
醜悪だと思う。
けれど、己の醜悪さを認め、受け入れようと思えるほどに、リリィが愛しい。
「ぅん……っ、ぃっちゃう、ふぃおさま、あ、あぅ……いっちゃうから……もう、……っ」
親指の先で開かれた足の間から覗く愛らしい赤い芽をかりかりと引っ掻いて、ゆるんだ秘所に指を差し入れる。
柔らかい肉壁に包まれた指が、リリィのあたたかさを感じる。
うねり、収縮し、もっと奥まで誘い込むようにして指をきつく締め付けるその場所に、早く入りたいと思う。
けれどそれと同時に、リリィをもっと追い詰めたいと思う。
私の腕の中で蕩けるほどに、リリィは私を強く求めてくれる。
求められるほどに、満たされる。
自分のことなど、一度も好きだと思ったことはない。あの男の息子である私は、穢れた血が流れていると思えてならなかった。
どんなに取り繕っても、所詮は表面だけだ。本性は、本質は、隠すことなどできない。
その証拠に、――私のことを嫌っていると信じて疑わなかったのに、それでもリリィを、手放すことができなかった。
それなのに、リリィは私を求めてくれる。愛してくれる。
レイフィアのことで悩み、それでも私から離れたくないと思ってくれるほどに、私を。
リリィの悩みなど、愛らしいものだ。
私の心のうちを全てリリィに晒すことができるのなら、その昏く濁った執着に、怯えて逃げてしまうだろう。
それとも、リリィは――いつものように、受け入れてくれるのだろうか。
「気持ち良い? リリィ、また達したのか。お前の中は、私の指を咥え込んで離さないように、きつく締め付けて震えている」
「ふぃお、さま……っ、指、もうやだぁ……っ」
「それでは、終わりにしようか、リリィ。これ以上声を出したら、きっと気づかれる」
「っ、いじわる……っ、やだぁ……」
指を引き抜くと、リリィは大粒の涙をこぼした。
恥ずかしがり屋のリリィが理性を失い、私を欲しがるのを見ていると、心にあいた虚に慈雨が染み渡るように、仄暗い執着や、混沌とした欲が、空の器に満ちていく。
隠しても、隠しきれない獣欲も、リリィを喰らいつくしてしまいたいほどの独占欲も、全て私の一部。
「最後まで、してほしい?」
「うん……ふぃおさま、我慢、するから、声、がまんする……がんばる、から……っ」
「いい子だな、私のリリィ」
耳元でそっと囁くと、リリィは嬉しそうに微笑んだ。
――本当は、図書室に入った時に、皆にもう帰るように告げて、人払いをしてある。
調べ物があるから残りたい、私が鍵をするからと、司書から鍵を預かった。
だからここには、リリィと私。
それから、隠れて私たちをのぞいている、アニスとシリウスしかいない。
シリウスは――今までまるで表面だけを取りつくろっていた私を嘲るように、享楽的な行動を繰り返していた。
仲が悪いというわけではないが、何を考えているのかよくわからない弟だと思っていた。
その視線がリリィに向けられていたことも知っている。
誰にも興味がなさそうなシリウスが唯一視線で追っていたのが、リリィだった。
けれど、今はその興味の対象がアニスにうつったようだ。
このまま、アニスも――シリウスに食べられてしまえば良い。
アニスはリリィの友人だが、友人としての触れ合いさえも腹立たしいと思う。
リリィは私のもの。
私のような悪趣味で最低な男を好きだと言って受け入れてくれるリリィを、私はきつく抱きしめた。
◆◆◆◆
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