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番外編
アニスと野良猫 2
しおりを挟むあぁ、ベッドに寝そべっているのがシリウス様ではなくて、リリアンナならどんなに良かったかしら。
きっと高級な猫ちゃんみたいで可愛いわよね。
「ともかく、出て行って。私は男性の浮気に慣れているのよ。お父様だって、家にほとんど帰ってこないもの。だから、別になんともないわ」
「アニス」
不意に、シリウス様が真剣な声で私を呼んだ。
シリウス様が私に指を向けると、私の手足に蔦のようなものが絡まる。
黒い蔦のようなものは私の体を宙に浮かせて、それからベッドへとふわりと私の体を沈めた。
浮遊感に、目が白黒する。
痛みはないけれど、私の両手と両足はベッドの端にくくりつけられていた。
「俺が浮気をすると思っている? 俺の父や、君の父のように? それに、アニス。強がりな君も愛らしいけれど、素直になった方が良いよ。浮気をされるのが怖いって。……素直になるまで、俺がお仕置きしてあげる」
「や、やだ……っ」
シリウス様は唇を赤い舌で舐めると、優しい笑みを浮かべた。
ぞくりとした恐怖が背筋を這う。
私の薄手の寝衣の開いた首筋を、シリウス様の指先が辿った。
「兄上は、氷魔法が得意だけれど……俺は植物を操ることができる。水と植物。まさに、命の源という感じだよね。セントマリアとマリアテレジアの血による魔力なのだろうね。俺には兄上ほどの才能はないのだけれど」
歌うように言いながら、シリウス様は私の寝衣の前に並んだボタンをぷつぷつと外していく。
服を選ぶことが苦手な私は、服装も髪型もイヴに全て任せている。
イブが選んでくれた下着は、大人っぽいレースのものが多い。
私に似合うと言ってくれるので、いつも素直に着ている。服装にこだわりはあまりない。
服も、化粧もにも装飾品にもあまり関心がない私が好きなものは、愛猫と、それから、猫全般と、最近ではリリアンナぐらいだ。
昔はお母様のことをも慕っていたけれど――今は、わからない。
「アニス、君の白い肌に黒いレースの下着は良く生えるね。でも、何も纏っていない方がずっと綺麗だよ」
「うるさいわよ、変態!」
何を考えているのか良く分からないシリウス様を、私は怒鳴りつけた。
なんだか良く分からないけれど、ベッドに私を縛るような男は変態なのよ。どう考えても。
「生意気だね、……俺に、従順になって。俺のだけの物になって、アニス」
シリウス様は私の胸を覆っている下着をずりさげた。
大き目の胸が下着からふるりと顔を出して、露わになる。
薄桃色の胸の先端を、シリウス様の指がきゅっと摘まんだ。
「ゃ、だぁ……っ、やめて……」
「今日は、声を出して良いよ。兄上もリリアンナもいないから。あのときは、我慢出来て偉かったね、アニス。きっと兄上は気づいていただろうけれど、リリアンナに知られずに良かったね」
「最低……!」
「誰が、最低なのかな。きっと兄上は、リリアンナに触れるアニスのことも、快く思っていないんだよ。だから、あんな風に見せつける。自分の物だって」
「殿下は、立派な方よ……シリウス様とは違うわよ」
まるで心の中を見透かされているかのような羞恥心に、体中が熱くなった。
シリウス様は私の胸を遊ぶようにして揉んでいる。
シリウス様の手の中で弾力のあるゼリー菓子のようにぷるぷると形を変える私の胸が、まるで自分のものではないみたいだった。
抵抗しようにも、拘束されているせいで身じろぐことしかできない。
「君は男が苦手で、清らかさばかりを追い求めている。まるで俺の兄上と同じ。けれど硬い殻の奥はこんなにも柔らかくて、愛して欲しいと震えている」
「っ、ゃ、あぁ……っ」
「リリアンナに思慕に似た気持ちを抱いて執着しているのは、逃げるためだろう。信用できない男から、それと、自分を嫌って捨てるかもしれない母親から」
「ちがう……っ、ちがう、……っ、ゃ、嫌、いやぁ……っ」
揉みしだいていた胸に、シリウス様の唇が落ちる。
手のひらで刷られてじんじんする胸の頂きを生温く湿った舌でぬらりと包まれて、体の奥がきゅんと疼いた。
嫌なのに、どうして気持ち良くなってしまうの。
わからない。
シリウス様の長い黒髪が、肌にあたってくすぐったい。
じくじく疼く胸の先端を舌でちろちろ舐めたり押しつぶしたりしながら、シリウス様は片方の手で私の脇腹や腸骨を優しく撫でた。
「ん、んぅ……ゃ、あう、う……」
「アニス、可愛いね。アニスの胸、大きくて柔らかくて、すごく美味しそう」
「やだぁ、うるさい、変態……っ」
「君が清らかだと尊敬する兄上も、君が愛らしいと可愛がるリリアンナも、こうやって、ぐちゃぐちゃで、どろどろで、気持ち良いことをしているんだよ? 怖がることはないよ」
「やだってば……っ、シリウス様、だめ、きゃ、ああ、あ、ぁ……っ」
私の胸から唇を離したシリウス様は、私の拘束されて大きく開いた足の狭間に顔を埋める。
指でぐい、とショーツをずらして、露わになった秘所へと唇を寄せた。
吐息がその場所に触れたと思ったら、舌先でぐり、と花弁の狭間から顔を出している赤い突起を押し込まれる。
「ん、……可愛いね、アニス、嫌だって言っている割に、もうこんなに濡らして。気持ち良いこと、好き?」
「やだ、ちがう、ちが……っ、あ、あ、ぃや、あ……っ、そこ、だめ……」
「悪い子だね、アニス。嘘つきには、もっとお仕置きしてあげないと」
シリウス様は甘ったるい声でそう言ったあと、むき出しになった花の芽を容赦なく舐り始める。
性急な刺激に知らず腰が浮いて、私は嫌々と首を振った。
触れられるたびに強い快楽が体を駆け巡って、頭が痺れるようにぼんやりして、何も考えられなくなってしまう。
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