元男爵令嬢、鉱山へ行く?

能登原あめ

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3 異世界でお持ち帰りかよ。

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 パチパチと木の爆ぜる音で意識が浮上した。

 冷たかった足を両手で包み、温まると反対の足も同様に包んで温めてくれる。
 大きな手が私の全身を温めようとするように撫でさすった。
 それが気持ち良くてため息を漏らすと、遠慮がちだった手が大胆に大きく動く。

 時折羽のように優しく落とされるのは、唇?
 くすぐったくて身を震わせると、わざと音を立てて何度も同じ行為を繰り返した。

「大丈夫。そのままでいて」

 落ち着いた声でささやかれて、すんなり頷く。
 言うことを聞いてしまうのは、私がこの人を知ってるからかもしれない。

 でも、本当に知ってる人?
 そっと目を開けると、私を見つめるアイスブルーの瞳。

「……誰?」
「わからない?」

 誰だろう。
 この瞳は知っている気がする。
 膝を抱えて、洞窟の隅に座っていたはずなのに、なんでこうなっているんだっけ?

「多分、知ってる。けど、名前、出てこないな……」

 私がそうつぶやくと、ほんの少し息を漏らして笑った。

「よかった。まるっきり忘れられていたら、どうやって思い出させようかって、思っていた」

 とりあえず、知り合いではあるらしい。

「助けてくれて、ありがとう……?」

 そういうと、ニコッと笑って、

「うん、見つけることができて本当によかった。でも、このままじゃまだ寒いでしょ? あっためてあげるね」

 唇が重なりぬるりと舌が口内に割り込んできた。

「んんっ」

 そのまま彼の手がある意図をもって、動く。

 あれ?
 私食べられちゃう?
 
 身体が冷えた時の定番は風呂じゃないっけ?
 だって、冷えてたし、汚れていたし。

「風呂でだいぶ温まったし、傷の手当てもしたよ。でも、こうしたほうがもっと温まるし、回復も早まるから」

 まるで私の声が聞こえたみたいに彼が答えて、再び深く唇が重なる。

 私、ファーストキスなんだけど。
 本物の、貴族の令嬢にいきなりこれしたら気絶すんじゃないの?
 前世では一通り経験しているけど、それはそれ。

 考え事するなと言うように、彼の手が私の胸の先端を摘む。

「んうっ……」

 そのまま、しばらく揉みしだいた後、身体のラインをなぞるようにゆっくりと下がった。
 
「ぁっ、…………めっ」

 声を出したことでより深く口内をなぶられ、彼の腕を止めようとした手は力が入らない。
 上顎を執拗に舐められて腰のあたりがゾクゾクした。
 
 この人のキス、困る。
 だって。前世でも恋人以外と寝たことのない私だけど、このまま進めちゃっていいかなって思っちゃってるから。
 まずいなぁ。
 
 知り合いっぽいけど、初めてをこんなふうにしていいものだろうか。
 せめて名前くらい確認して、それからにしたい。
 とりあえず、目を開けて観察することにした。

 熱っぽい。
 私を熱く見つめる瞳と出会う。

 わからない。
 この瞳の色は、犬のルディしか浮かばない。
 だけど、目の前にいるのは人だし、そんなはずがあるわけない。



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