異世界でパクリと食べられちゃう小話集

能登原あめ

文字の大きさ
15 / 56

屑でごめん①[改稿版]※☆  私はどうしても婚約者のいる令息達とも身体を重ねなければならなかった。

しおりを挟む

* ビッチヒロイン、病み要素、無理矢理描写あります。モブとの絡み多数、ヒーローの登場は遅いです。
* 全六話。うちエンディングが三種類三話(メリバ、バッド、ハッピー)
* 胸糞注意です。痛いのが苦手な方もご注意下さい。シリアスしかありません。時系列がわかりづらくてすみません。ささやかな改稿となっております。



 




******


 二〇七年七月。


「お慕いしております……どうか、どうか、今夜だけ……お情けをください」
「ベッカ……しかし、私は……」

 侯爵令息の瞳が揺れる。
 だって彼には婚約者がいるから。

「わたくしだって、望まぬ相手のもとへと嫁ぐことになるのです……卒業まで待ってもらえないかも、しれません……だからっ、せめて、最初、くらいは……」

 彼に身体を押しつけて、潤んだ瞳でじっとみつめた。

「…………今夜だけ……君を恋人として扱っていいか?」
「はい……今夜のことは死ぬまで、二人だけの秘密です。……約束しましょう? 朝になったら、わたくしたちは今まで通り、オトモダチですわ……」

 彼の唇が躊躇いがちに重なる。
 少しカサついて、熱い。

「……ベッカ……好きだ」
「わたくしも……好きです」

 その後は無遠慮にぬるりと舌がすべりこみ、口内を蹂躙する。
 熱に浮かされたぎこちない動きも愛おしい。
 
「脱がせても?」
「…………はい」

 薄暗闇の中で、ドレスを脱がされそっとベッドに押し倒された。

「怖い……?」
「……少し、だけ……でも。やめないで……」

 私は以前の記憶がある。
 だから、私の身体は初めての痛みを覚えている。

「やさしく、する……」

 彼がそっとふくらみを握る。
 先端を指で弄んだ後、唇に含んだ。
 それから舌で弾き強く吸い上げる。

「んっっ……」

 彼が全身に唇を這わせ、脚のあわいに指をのばす。

「濡れにくい、かな……ちょっと我慢して」

 彼の唇が秘裂に触れた。
 唾液を落として塗り広げ、滑りをよくして花芯に触れる。

「恥ずかし、い……あっ……!」
「ここ、好き? もう少し」

 不器用そうに見えた彼も、閨事については学んでいたようで、蜜口にゆっくりと指を差し入れた。

 この後に快感が待っているとしても、今は違和感しか感じない。
 いや、初めてでそれを求めるのもおかしいか。

「力抜いて」

 花芯を優しく撫でながら、指を抜き差しして二本の指が難なく動くようになった。
 ちゅくちゅくと恥ずかしい音がする。
 彼が私の腰の下に枕を置き、膝の裏に手をかけた。

「あの……わたくし、今夜のために避妊薬を飲んでまいりました。……あとでもう一粒、目の前で飲みますから……」

 最後まで言う前に熱っぽい口づけを落とされて、甘い息が漏れる。

「あぁ、ベッカ……ッ、君を本当の妻にできたなら!」
「……はい……わたくしも」

 蜜口に彼の陰茎が押し当てられ、ぐぐっと先端が押し込められる。

「っ、はぁっ……」
「……すまないっ……!」

 半分ほど腰を進めた後、私の脚を胸に押しつけるようにして一気に貫いた。

「……っ‼︎」

 あまりの痛みに声が出ない。
 涙が溢れる私のまなじりに彼が唇を寄せた。

「愛しい人……」

 彼は優しい。
 こんな私を本当に恋人のように扱ってくれるのだから。

「……初めてが、あなたで、よかった……」

 何度も唇を啄まれて、私の身体も緩む。

「動いても、いい?」
「はい……お好きなように……」

 ぎこちない動きを繰り返した後、私の中に精を吐き出す。

「……ありがとう……」

 
 私の髪を撫でる手が優しいから、彼の腕に包まれたまま、うとうとする。
 とうとう彼と寝てしまったけれど、後悔はなかった。

 学園の卒業まであと半年と少し。








 二〇七年九月。


 朝早くに迎えに来てくれたのは、騎士団長令息。
 
「今日は二人きりで嬉しい。……さあ乗って」

 横座りする私の後ろに彼がまたがる。

「お嬢様、気をつけていってらっしゃいませ」
「ええ、彼と一緒だから大丈夫よ」
「……暗くなる前に戻る」

 彼は饒舌ではないけれど、とても頼りがいがある。

 向かったのは彼の領地の端に位置する森で、ほどよく木々が生い茂り、近くに小さな川が流れていた。

「とても素敵なところで育ったんですね」
「……あぁ、この辺りは俺の庭のようなものだ……人が来ないからのんびりできる」
「……すごく、落ち着く場所だわ」
 
 彼が嫡男ではないからと、見下すような伯爵家の次女と婚約している。
 彼女の姉は公爵家に嫁いだから、なおさら比べてしまうのかもしれないけど、聞くに耐えない暴言の数々に私は彼を慰めた。

「あなたはとても強い方ですのね。身体だけではなく、心も。ちゃんと、見ている方はいらっしゃると思うのです」
「……あなたも、ですか?」

 私はそれに微笑んだだけ。
 彼は能力も高く、努力を怠らない。
 それに奢ったところもなく、そんな姿は周りから好ましく映る。

 騎士団長になる日も来るかもしれない。
 婚約者は見る目がないと思う。
 誠実な方だから、恋に浮かれることはなくとも愛を育んでいくことはできるはずだし、きっと幸せな家庭を築けるだろうに。

「……あなたもわたくしも、望んだ相手と結婚できませんが……相手との関係をよくする努力はしてみるべきだと思っております」
「ベッカ……」

 彼が何かを諦めたようにギュッと拳を握る。

「……でも、こうして二人きりでいると、このまま歳を重ねていけたらどんなに幸せだろうか、と……そんなふうに考えてしまうのです」
「ベッカ……俺と……」

 私は彼の唇に指を当てる。

「その先を言ってはダメです。……この先どんなことがあっても、生きていけるようにあなたとの思い出をくださいませんか?」
「それは……」
「わたくしの婚約相手は、確定はしてませんが、父の友人の後添えを望まれております……」
 
 父が融資を受けているやり手の男爵で、私に来た釣書の中で一番の資産家だから他は断ってしまったと聞く。

「それはまた……父親ほど歳が離れているのか?」

 眉を潜めて考え込む彼の頬に手を伸ばす。

「だから……あなたに初めての相手になってほしいのです。そのくらいの意趣返し、いいでしょう?」

 あなたが相手だと一生言いませんから、あなたも秘密にすると約束してください、と彼を見つめて微笑んだ。

「ベッカ……騎士の見習いではあるが……誓わせてほしい。今日のことは二人だけの秘密だ。だから……」
「はい、あなたが、すき……」
「ベッカ‼︎」

 性急に唇を重ねられ、口の周りが唾液でベタベタになる。
 そのまま荒々しく胸を揉まれ、ブランケットの上に押し倒された。
 彼はスカートをまくり上げると脚のあわいに無骨な指を這わせる。

 下着の合わせ目が裂ける音がしたと思うと、彼の指がじかにあわいに触れた。
 震える私に彼がなだめるように声をかける。

「……ベッカに触れていると思うと、今すぐ爆発してしまいそうだ」

 そう言って彼は陰茎を私の蜜口に当てる。
 本当に性急。

「いい?」
「…………はい」
 
 震える私に口づけを落とす。
 それから彼が腰を前後させながら解していない狭い隘路を拡げていく。
 彼の唸り声を聞きながら、痛みと共に私は彼の全てを受け入れた。
 声は我慢できても、涙まで止めることができない。

「泣かせてすまない……だが、ベッカの初めてを俺のものにできて嬉しいと、思う」
「はい……」
「泣くな……」

 彼の指が私の涙を拭う。
 
「このまま、俺のものにしてしまいたいな」

 彼は腰を引くとためらいなく奥まで打ちつけ、大きく揺さぶる。

「……あぁっ……! いッ……‼︎」

 痛みに意識が朦朧とする。
 そのまま彼が私の中に精を吐き出し、孕めばいいのに、と呟いた。
 私はそんな彼を抱きしめながらほっと息を吐いた。








 二〇七年一一月。


 気さくな子爵家令息は、貿易が盛んな海に面した領地で育った。
 隣に大きな侯爵領があって、そのおこぼれをもらっているんだと笑う。
 友好国に囲まれているから、物々しい雰囲気もなく明るく活気に溢れ、ここに住んだら楽しく刺激的なのだろうと思う。

 そんな彼は無邪気に見えて狡猾な面もあって、それも好ましい。
 それこそ人間らしいもの。

「ベッカ、本当に欲しいものはないの?」

 港町を案内してもらいながら、私達はお忍びデートを楽しんでいる。
 彼にも一つ年下の可愛い婚約者がいるから。

「ええ。案外、必要なものって少ないのです……身体は一つしかありませんもの」
「……ははっ、そういうところがさぁ、逆になんでも与えたくなっちゃうんだよね」

「……そうでしょうか? それなら、わたくしは甘いデザート、いえ、珍しいお菓子など嬉しいです。王都でもなかなか手に入らないでしょう?」
「……ここでも、やっぱり、消えモノかぁ。ま、いっか。……ベッカ、いい店があるんだ。ついて来て」

 彼が私の手を取り小走りに駆け出した。

「待って!」
「いやだよ! 早く連れて行きたいんだ‼︎」

 彼は十ハ歳になったばかりで私より一つ年下だからか、可愛いさを前面に出してくる。
 私もそれが嫌じゃない。

「ほらっ! 急いでっ。……ね、とろけるように熱くて甘い、それでいて冷たいデザートを食べさせてあげるから」

 彼の無邪気でない側面が現れる。
 にやりと笑ってみせるけど、仄暗い瞳。
 なぜ彼が歪んでしまったのかはわからないけれど。

「そう……お腹いっぱい食べさせてくださる?」







「……いっ……あぁっっ……っ!」

 ティールームの個室に入るとすぐに私はソファの上に身体を押しつけられ、スカートをまくられた。

 そのまま彼が私の中に押し挿った。
 準備も何もなく、彼は何もかも小柄だとはいえそれは暴力に近い。

「あれ……? 僕の見込み違い? ベッカ、初めて、だったんだね。……はぁっ、こんなにっ、キツくて、……血が、流れているねっ」

 彼は何度か腰を打ちつけて私の中で精を放つ。

 望みのものは得たけれど。
 いきなり無理やり行為に及ばれたのは初めてで。

 ヒリヒリするのに、吐き出したはずの彼がゆるゆると腰を動かす。

「熱くとろけてもらおうと思ったのにな」
「ひどい……いくらなんでも……婚約者に、なんて言ったらいいか……」
「ベッカ、婚約が整ったの? それは悪かったね、大丈夫! 僕言わないから。僕も婚約者がいるからね!」
「……今日のことは忘れます。代わりにあなたはわたくしに二度と近づかないで」

 私が睨むと彼はサッと青ざめた。

「いやだっ! だって、いろんな男とデートしているからっ! ベッカが思わせぶりな行動とるからだよっ‼︎」
「そう……。だけど、こんなことされて許されると思う?」
「……それなら僕が責任取る! 結婚してよ、ベッカ」
「ごめんなさい……お互いにそれはできないでしょう?」
「そんな……それなら絶対に言わないからそばに居させて! もし破ったら船乗りになってもいい。それかこの店の権利を譲るよ! ここは僕に任されているから……」
「では、一筆書いて頂戴」

 一瞬ぽかんとした彼だけど、そのせいで萎えたらしく私から離れる。
 それからテーブルの隅にあった紙にサラサラと書きつけた。

「あなたの署名と、日付。それから、指切って母印押して」

 私の顔を見て、彼は何も言わずに血判を押した。
 私は男爵家の生まれだし、これがあるからといって彼は信用ならないけれど、ないよりはマシだから。
 
 





 






しおりを挟む
感想 75

あなたにおすすめの小説

借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる

しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。 いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに…… しかしそこに現れたのは幼馴染で……?

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

魚人族のバーに行ってワンナイトラブしたら番いにされて種付けされました

ノルジャン
恋愛
人族のスーシャは人魚のルシュールカを助けたことで仲良くなり、魚人の集うバーへ連れて行ってもらう。そこでルシュールカの幼馴染で鮫魚人のアグーラと出会い、一夜を共にすることになって…。ちょっとオラついたサメ魚人に激しく求められちゃうお話。ムーンライトノベルズにも投稿中。

狼隊長さんは、私のやわはだのトリコになりました。

汐瀬うに
恋愛
目が覚めたら、そこは獣人たちの国だった。 元看護師の百合は、この世界では珍しい“ヒト”として、狐の婆さんが仕切る風呂屋で働くことになる。 与えられた仕事は、獣人のお客を湯に通し、その体を洗ってもてなすこと。 本来ならこの先にあるはずの行為まで求められてもおかしくないのに、百合の素肌で背中を撫でられた獣人たちは、皆ふわふわの毛皮を揺らして眠りに落ちてしまうのだった。 人間の肌は、獣人にとって子犬の毛並みのようなもの――そう気づいた時には、百合は「眠りを売る“やわはだ嬢”」として静かな人気者になっていた。 そんな百合の元へある日、一つの依頼が舞い込む。 「眠れない狼隊長を、あんたの手で眠らせてやってほしい」 戦場の静けさに怯え、目を閉じれば仲間の最期がよみがえる狼隊長ライガ。 誰よりも強くあろうとする男の震えに触れた百合は、自分もまた失った人を忘れられずにいることを思い出す。 やわらかな人肌と、眠れない心。 静けさを怖がるふたりが、湯気の向こうで少しずつ寄り添っていく、獣人×ヒトの異世界恋愛譚。 [こちらは以前あげていた「やわはだの、お風呂やさん」の改稿ver.になります]

ヤンデレにデレてみた

果桃しろくろ
恋愛
母が、ヤンデレな義父と再婚した。 もれなく、ヤンデレな義弟がついてきた。

私は5歳で4人の許嫁になりました【完結】

Lynx🐈‍⬛
恋愛
 ナターシャは公爵家の令嬢として産まれ、5歳の誕生日に、顔も名前も知らない、爵位も不明な男の許嫁にさせられた。  それからというものの、公爵令嬢として恥ずかしくないように育てられる。  14歳になった頃、お行儀見習いと称し、王宮に上がる事になったナターシャは、そこで4人の皇子と出会う。 皇太子リュカリオン【リュカ】、第二皇子トーマス、第三皇子タイタス、第四皇子コリン。 この4人の誰かと結婚をする事になったナターシャは誰と結婚するのか………。 ※Hシーンは終盤しかありません。 ※この話は4部作で予定しています。 【私が欲しいのはこの皇子】 【誰が叔父様の側室になんてなるもんか!】 【放浪の花嫁】 本編は99話迄です。 番外編1話アリ。 ※全ての話を公開後、【私を奪いに来るんじゃない!】を一気公開する予定です。

ハイスぺ幼馴染の執着過剰愛~30までに相手がいなかったら、結婚しようと言ったから~

cheeery
恋愛
パイロットのエリート幼馴染とワケあって同棲することになった私。 同棲はかれこれもう7年目。 お互いにいい人がいたら解消しようと約束しているのだけど……。 合コンは撃沈。連絡さえ来ない始末。 焦るものの、幼なじみ隼人との生活は、なんの不満もなく……っというよりも、至極の生活だった。 何かあったら話も聞いてくれるし、なぐさめてくれる。 美味しい料理に、髪を乾かしてくれたり、買い物に連れ出してくれたり……しかも家賃はいらないと受け取ってもくれない。 私……こんなに甘えっぱなしでいいのかな? そしてわたしの30歳の誕生日。 「美羽、お誕生日おめでとう。結婚しようか」 「なに言ってるの?」 優しかったはずの隼人が豹変。 「30になってお互いに相手がいなかったら、結婚しようって美羽が言ったんだよね?」 彼の秘密を知ったら、もう逃げることは出来ない。 「絶対に逃がさないよ?」

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

処理中です...