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「もう全部、見てる」
今さら脱がされることに羞恥を覚えた私に、彼はゆったりと構えていて。
これが年の差なのかと思う。
そっと触れる手があまりにも優しいから、壊れ物じゃないのにって呟くと。
「乱暴にしたら壊れるだろう?」
体だけじゃなくて心ごとすごく大事にされている気がして、包み込まれるような温かさを感じる。
彼が愛おしい。
眠っている時間が長くて、実際にはそれほど顔を合わせていないし、そんなふうに思うのもおかしいってわかっているけど。
依存なんかじゃない。
恋に落ちてしまったのだと、思う。
「たくさん、愛してくれませんか?」
思わずそう発して、その言葉を取り消そうとした私に、彼は優しく唇に触れて微笑んだ。
「もちろん。最初からそのつもりだった」
その言葉が私の胸に響く。
どうして最初からこの人に出会えなかったんだろう。
それがすごく残念で、涙が溢れる。
それともやっぱり長い夢を見ているのかも。
「……どうした?」
「嬉しくて。夢みたいで……その、あなたともっと早く会いたかった」
涙を拭われて、そっと抱きしめられた。
「今がそのタイミングなのだろう。もし十年前だったら私は結婚していたし、今より子どもだったから、こんなに優しくしたいと思わなかったと思う。夢じゃないよ。……ありきたりなことしか言えなくて恥ずかしくなるな」
彼に触れられたところが全部熱くて、キスもただ甘くて、私は熱に浮かされて彼に触れた。
お互いを確かめるだけの行為に私は溺れていく。
この人のことが好きだ。
「お願い」
彼の熱い陰茎に貫かれて、私は心から震えた。
彼が短く息を吐いて私の反応を確かめながら揺さぶる。
「……っ、……あぁっ……!」
「……まだ、イくな……」
こんなふうに感じるのが久しぶりすぎて快感に打ち震える。
そんな私の体を引っ張り起こして膝に抱え、宝物のように抱きしめてくれるけれど、体は解放を求めて熱くて熱くてたまらない。
私は小さく喘ぎながら彼の体にしがみついた。
「……まだ、イきたくないんだ。……ゆっくり楽しみたい」
「うん……かわりに、キス、して」
これまで男性に甘えたことなどなかったのに、彼にはためらわずに言える。
ぐっと抱きしめられて、身の奥深くまで彼を受け入れて、舌と舌を絡め合った。
「……っ、そんな、に……締めない、で、くれ……」
「……んっ、だっ、て……!」
私を煽るようなキスをするから、気持ちが良くてたまらない。
お腹の中が熱くて彼のものを離すまいと絞り込む。
私の中に好きな人がいて、そうならないわけないのに。
「あんまり、可愛いこと、されると……持たないん、だが」
欲を浮かべる彼の瞳に気持ちが高ぶる。
「いい、よ……全部出して?」
初めて見る切羽詰まった表情に、思わず笑ってしまう。
「……この世界では……、伴侶以外に吐精したら、男は去勢されるんだ」
「それ……すごいね……」
「だから、本当に、私でいいんだね?」
「はい。あなたがいい」
最終確認して、私は彼にぎゅっと抱きついた。
耳元で低い笑い声が響く。
「それ……私を逃さないと、いうこと?」
「うん。あなた以外、いや」
再び私の背中がシーツにつき、上からのぞき込むように見つめられた。
「そんなに、脚を絡ませられたら、動けないのだが……」
「だって……」
やっぱり嫌だって拒まれたら辛い。
私の不安が伝わったのか、唇が重なる。
「君を私の妻にしたい。それに、そんなに心配なら次は私の上に乗ればいい」
にやりと笑って奥に押しつけるように小刻みに動く。
「んんっ……」
「離さないから。……ずっと二人で過ごそう」
二人の繋がりに指を這わせ、揺さぶられるうちに水音が大きくなる。
ほどなく絶頂に追い上げられて私の体が激しく震えた。
酸素を求めてのけぞり喘ぐ私の首元に彼が強く吸いつく。
思いがけない彼の独占欲を見せられて、なぜか私の心が満たされていく。
彼は力の抜けた私の脚を抱え込み、上から深く突き込んだ。
「ああぁーーっ!」
「中で、出すから」
力強い抽挿に私は翻弄される。
思考力を奪われ、彼からされることをすべて受け入れた。
あまりに長い時間揺さぶられて、彼が吐精した時には半分意識がなくて。
「大事にするから、何も心配しなくていい」
彼の言葉に私は意識を手放した。
目が覚めると私の隣で彼が眠っていた。
体のあちこちが何だか痛くて、あれは夢ではなかったのだと思い出して顔が熱くなる。
いつもあんな感じだとしたら、私の身が持たない。
お互い久しぶりだから、盛り上がっただけだと、思いたい。
多分、きっとそう。
「もう、起きたのか?まだ休んでいていいよ」
「うん、ありがとう……」
自分のかすれた声に驚いていると、彼が申し訳なさそうに謝った。
「すまない。久しぶりだったのもあるが、あまりに可愛くて……」
恥ずかしいけれど嬉しいから、大丈夫と答えて彼の胸に顔を埋めた。
「役所は明日でもいいか?……もう少し君を愛させて欲しい」
「本当に?」
驚く私の髪を撫でながら、今はもう少し休もうと彼がささやいた。
これが長い夢でありませんように。
お互いが一つになったらいいのにと思いながら、しっかり抱きついて私は目を閉じた。
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