異世界で再会した姉はおばあちゃんで、私はそこで恋に落ちた

能登原あめ

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20 (終) S

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 この世界に来て、日が沈む前にお風呂に入るのは初めてかも。
 いつもはフランシスが一番にさっと入って、次にあみちゃんが入って、私が最後にのんびり入るから。

 私好みに少しぬるめで嬉しい。
 この後のことをぼんやり考える。
 日本にいたから知識はある。
 あみちゃんに渡されたのが、ベビードールのようなもので。
 上から羽織るものもあるから、一見パジャマに……見えなくもない。

 夏でも露出をしないこの村の感覚に慣れたのか、それを着てフランシスの前に出るのが、少し恥ずかしい。
 あみちゃんがいないのが心許ないけど、いたらいたで恥ずかしかったと思う。

「今夜から、ずっと一緒に眠るんだよね」

 私の部屋の方がわずかに広いけど、フランシスの部屋のベッドの方が大きいし、一番端の部屋だからこれから二人の寝室はそこになる。
 
「どきどきしちゃうな……」






 
 例のベビードールを見たフランシスが黙って風呂場へ駆け込んだ。
 私に寝室で待っているように言ってから。
 一応透けてないと思うけど、真っ白でレースがついていかにも……そう、いかにも初めての夜っぽい?
 もしかしたら、この村ではこういうのを着るのが風習なのかな。
 
 今夜から二人の寝室の、そのベッドにちょこんと座った。
 フランシスが来るまで何をしていたらいいんだろう……そう考えるまもなく、髪からしずくのたれるフランシスがやってきた。

 フランシスの緊張が伝わって私もますます緊張してしまう。
 私は彼にベッドに座るよう促して、手に持っていたタオルで髪をふいてあげる。

「フランシス、大好き。……そんなに慌てなくても、私は逃げないのに」
「……うん、それでも」

 こうしていると、なんだか同い年なんだなぁって嬉しくなって笑った。

「ユミ、余裕あるね……」
「ないよ、だって、初めてだから。……でも、フランシスだから怖くないよ。すごく緊張してるけど」

 私は抱きしめられて、ポスンと彼をまたぐように腿の上に座った。

「えっ!?」

 さすがにちょっと恥ずかしい。
 着ているものも薄いし、脚を開いて座ってしまったこの状況も。
 もちろん、ぎゅうっと抱きしめられているから、動くこともできなくて。

 お互いにお風呂上がりで体温が上がっているのに、ぴたりとくっついたら私の胸はフランシスに押しつぶされているし、彼の硬い腿にあたる自分のお尻が気になる。
 もぞもぞする私に、ほんの少し低い声でフランシスが言う。

「ユミ、どうしたの?」
「その……恥ずかしくて。あの……大好きだよ?」
「俺も、大好き」

 向かいあったまま、お互いの唇が重なる。
 柔らかくて温かくてますます大好きだって思う。
 
「幸せ……」

 胸がいっぱいで。
 私は両腕を彼の首に絡めて彼の首元に唇を寄せる。
 ピクリと身を震わせたフランシスに名前を呼ばれて、顔をあげれば何度も唇を啄まれて。
 髪を撫でる手が後頭部を押さえてより深く重なった。

 キスするたびになぜか泣きたくなるのはなんでだろう。
 
「大好き、……フラン、シス」

 肩から羽織りをはずされて、彼がゴクリと唾を飲む音が聞こえた。

「ユミ、かわいい……どうしよう。……これ、また着てほしい」

 薄物の上から大きな手で身体をなぞられて、ぴくりと震える。

「フランシス、が、着て欲しい、なら……っでも、恥ずかしいっ……」
「うん、恥ずかしがる姿も、可愛いんだけど……」

 私をそっとベッドに寝かせ、腕の中に閉じ込める。

「ユミを全部ちょうだい」

 私が頷くと好きだと言いながら唇が重なる。
 彼の舌に口内を探られるのも、彼の指が私の身体に触れるのも、すべてが気持ち良くて、全てが嬉しくて、全て差し出したくなる。
 身体が熱くてたまらない。

「フランシス……どう、しよ……あつ、くて……」
「……かわいい、ユミ、……」

 いつの間にかお互いに何も身につけず抱き合って、触れ合って、肌にかかる吐息がくすぐったいと思うのにそれさえも私を刺激して、彼が欲しいと思わせる。

「なんとか、して……んっ……」

 経験がないのに、彼を感じたいと、早く早くと身体が彼を求めた。
 私の伸ばした手をつかんで、そっとキスしてからぎゅっと握る。

「痛かったら、言って」
 
 とうとう彼が私を押し開いた時でさえ、嬉し涙が流れて、ただただ愛しい。

「んっ……はぁ、……フラン、シス……」

 私の奥深くに触れることができるただ一人の人。
 フランシスの切羽詰まったような、それでいて愛おしそうに見つめられるだけで痛みも弱まっていく気がする。

「愛してる」

 彼の言葉に私の身体は素直に反応し、熱くなった彼に揺さぶられた。
 
「私も……愛してる」

 彼の熱を体内で受け止め、落ちてくる身体を抱きしめる。
 こんなふうにお互いの愛情を見せて、深める行為に私はきっと溺れていくのだろう。
 その相手がフランシスで本当によかった。
 
「もっとしたいな……」
「ユミ……」








 翌朝、本当に玄関の前に色々な食材が置いてあって、明け方眠った私たちはなんだかちょっと恥ずかしい思いをした。  


 その日の夕方に戻ってきたあみちゃんは、向こうで塩むすび講座をしてきたらしく、おかずももらってきた。
 玄関前にあった食材で私とフランシスが用意した料理と一緒にそれらを並べたから食卓がますます賑やかになって二度目のお祝いみたい。

 食事中にあみちゃんは、二人の新居を建てたらいいと言ったけど、私もフランシスも反対してこのまま三人で暮らしたいと言った。
 そのうち私が使っていた部屋を子ども部屋にすればいいと思うし、もっとたくさん増えたら、増築すればいいんじゃないかな。

 私がそう言うとあみちゃんは笑って、フランシスはほんの少し赤くなっていた。
 
 家族が増える日もそう遠くないはず、そうなってほしいと私は平らなお腹に手を当ててそう願った。
 







               終








 * * * * *

 
 お読みいただきありがとうございます。
 
 梅仕事の季節になりました!
 楽しいのでぜひ。
 
 最後までおつきあいくださりありがとうございました。

 

 
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