異世界で再会した姉はおばあちゃんで、私はそこで恋に落ちた

能登原あめ

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番外編

古書がつないだ物語 4(終)

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 深く重ね合わせた口づけについていくのが精一杯で、彼が私の服を脱がしていくことに恥ずかしさを感じる間もない。  
 素肌に触れる彼の優しさと熱っぽさに翻弄され、ただ息を漏らす。

「……きれいだ」

 大きな手で胸を包まれ、それから口に含まれると心臓が激しく打って止まってしまうんじゃないかと思う。
 好きな人に触れられて嬉しいのに。

「……っ、……!」
「自分で身体に触れなかったのか?」
「触らない……だって、こんな気持ちになるなんて、知らないから……」
「そうか」

 なぜか嬉しそうに笑った。

「じゃあ、きっとこの先も気に入る」

 そう言って彼が私の下肢へと向かい、太ももに挟まれるよう位置取り、そっと内ももに口づける。

「やっ……!待って……!」

 恥ずかしさに逃れようと脚を閉じることもできない。
 彼は脚のあわいを撫でさすり、私の体内にそっと指を差し入れた。

「濡れていて、よかった……ここに、私を受け入れて欲しい」

 恥ずかしくなるような聞きなれない音がする。
 それに、触れられたことのない場所を刺激されて思わず声を漏らした。

「……たくさん濡れて、感じてくれたら私は嬉しい。声、我慢しないで」
「でも……恥ず、かしい……」

 その恥ずかしがるところもたまらないんだって、言われたらもうどうしていいかわからない。

 いつのまにか指を増やされて、違和感を感じるたびに唇でなだめられる。
 身体が熱くて汗ばみ、刺激を受けるたびにびくびく震えた。

 もう声を我慢することもできなくて、彼はその様子を満足げに見ながら、指を動かし続ける。
 
「ブライ、アン、さんっ……!」

 ふいに脚の間に強く吸いつかれて、目の前が真っ白になった。
 そのまま荒く息を吐く私の額に口づけしてから身を起こし、服を脱ぐ。

 私だけ裸だったんだって恥ずかしく思いながら古傷の残る彼の身体を見た。
 皮膚の色の変わったところやひきつれて縫い合わされた彼の年月を重ねた身体に、彼が生きていてよかったと、愛おしさしか感じない。
 早く触れてみたい、そう思って。
 
「あなたのすべてが、好きです」

 私の言葉にはにかんだ笑みを見せる。

「そんなあみが、好きだよ」

 私の膝裏に手をかけ、さっきまで指で触れていた場所に固くてつるりとしたものが触れた。
 私が恥ずかしくて視線を逸らしていた部分が。

「痛かったら言って」

 頷いて見せたけど、痛いなんて言って水を差したくない。
 日記にだって勃たないって書いてあったのに、こうして今私に反応してくれている。

「あなたを、ください」

 初めては相当痛いものだと思っていたせいか、さっきまで彼が丁寧にほぐしてくれたせいなのか、案外痛みを感じない。
 すべてを受け入れた時、なによりも嬉しくて、彼に抱きついた。

「……痛むか?」
「ううん、痛くない。……優しくしてくれたから……」

 彼がほっとしたような顔をして、口づけを落とす。
 そのまま自然と舌を絡める口づけに変わり、受け入れたままのブライアンさんがぴくりと動いた。

「んぁ……っ、……んんっ……!」

 ギリギリまで引き抜き、再度押し込む。
 ゆっくりと何度も何度も全体を満遍なく擦られてまた体温が上がった。

「気持ちいい、な……こんな風に、感じることができるのは、あみのおかげだよ」

 それから彼に揺さぶられて何度も絶頂に押し上げられた後、覆いかぶさるように背後から私を翻弄するから、悲しくないのに涙が溢れ、声がかすれた。

「……‼︎」

 そんな私の顔を見た彼が息を呑み腰を強く打ちつけ、私の奥深くで果てる。

「……あみ、好きだよ。…………私を受け入れてくれてありがとう……」
「……私も、大好きです……幸せすぎて……私のほうこそ、ありがとう……」

 涙の後をたどるように口づけが落とされる。
 その後、満足そうにため息を吐く彼を抱きしめて幸せを味わった。

「…………私ばかりこんなに幸せでいいのかな……」

 彼が髪を撫でるのを心地よく感じながらポツリと漏らす。

「私も幸せだよ…………妹さんが、心配?」
「……うん……もし一人ぼっちでいたらと思うと……」
「……安易に彼女が今幸せだと気休めを言うことはできない。だが、あみの妹ならいい子なのだろう?……今はここから彼女が幸せであるように祈ることしかできないけれど、もしも私の日記を手にしているのならいつの日か連絡を取れる日が来るかもしれない」
「そう、だね……ブライアンさんならその方法を見つけることができるかな。もう、帰りたいとは思わない……でもこっちで元気にしてる、幸せだって伝えたい」
 






 それから、ブライアンさんが仕事の引き継ぎをするのに半年ほどかけた後、私たちは誰も知らないところに住まいを構えることに決めた。
 彼は有名すぎるから、今のままでは気が抜けないのだと言う。

 新婚旅行を兼ねた住まい探しは、とても楽しい日々となった。
 ただ、私にとっての初めての航海は、台風との遭遇で二度と船に乗りたくないと思うようになってしまったけど。
 ブライアンさんもそう感じたみたい。
 馬車を乗り継いで色々な国を見て歩き、半年が過ぎた頃。

「ブライアンさん……私、この辺り、好きです……どうですか?」

 一面の田んぼをみて、ワクワクした。
 宿屋もない小さな村だけど、ただの旅人の私たちに優しい。

「しばらく滞在してみよう」

 村長さんが自宅に一泊させてくれて、翌日村長の息子さんが空き家を案内してくれた。

 その家は一月ほど前まで持ち主の子ども夫婦が住んでいたけど、街へと出て行ったらしく、家が傷むから使ってくれると嬉しい、と快く貸し出してくれた。

 この村の人はジロジロみて詮索することもないし、次からお金取るからねって、惜しげもなく野菜やら卵やら米を分けてくれた。
 いつまで滞在するかわからない私たちなのに、それらは一週間では食べ切れないくらいの量で。

「なんだか……変わった村だけど、温かいところだね、あみ」
「本当だね。でもお米もあって、私の生まれた世界に似てる食べ物がいっぱいなの。すごく……親近感がわく」
「気に入った?」
「うん。ブライアンさんは?」
「私のことを誰も知らないこの村を気に入らないわけないさ」

 食材を食べ尽くす頃には、この村の役場で村民になって、ようやく彼の本当の奥さんになった。
 それから季節が二回りした頃、村の外れに二人の希望を詰め込んだ新居を構えた。

 夜になると辺りは真っ暗で、お互いしか感じ取ることができない。

「ブライアンさん、私すごく幸せ。あなたと出会えてよかった。だからこれからもずっとそばに置いてください」
「あみ、愛してるよ。あみは私の光だ」
「ブライアンさん、愛しています」

 彼の日記によって縁を結ぶことになった私たちはこれからの日々をこの村で大切に過ごす。

「一日も長く生きないとね」
「はい、そうして……」

 私は彼の胸に耳を押し当てた。
 


 




               終






 * * * * *


 お読みいただきありがとうございます。

 ブライアンsideは近日中公開予定です。
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