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番外編
フランシスside
しおりを挟む冬の間、のんびり新婚旅行を満喫して、学生時代を過ごした港町まで戻って来た。
旅行中は家族経営の、シチューが有名な宿で温かいもてなしを受けたり、ものすごく美味しい燻製肉を食べて、マミがどうにかしてアミさんに送りたいと郵便屋さんを訪ねたり……結局、ゴリラ獣人の職人さんのもとでカリカリに水分の抜けた燻製肉を直接売ってもらって送ることができた。
おしゃべりな奥さんが丁寧に包んでくれて、新婚だと言うと俺達にバナナケーキを焼いてくれた。
旅先で出会った人達との交流も楽しかった。
そんな夢のような毎日も、終わりが見えて思わずため息をつく。
「……フランシス?どうしたの?」
ユミが俺の顔をのぞき込む。
「旅行が終わりだと思うとなんだか、寂しくて」
「そうだね……ただ、しばらくこの町でゆっくりするでしょ?……少し、遠回りしてもあみちゃんは怒らないと思うの」
魔術が発達しているからか郵便はものすごく早いんだね、とマミが驚いていた。
一か所にしばらくとどまることをアミさんに伝えると、すぐに宿屋に手紙が届き、近況や体の具合も教えてくれたから。
もちろん、俺の両親にも連絡しているから、外から見たアミさんの様子も教えてもらっていた。
梅の木も送ってもらうように頼んだし、珍しい野菜や花の種も手に入れた。
まだしばらくゆっくりして来たら、と言うみんなの言葉に甘えて、あと少しだけ二人きりで過ごすつもり。
「そうだね、まだ終わりじゃない。……ユミを連れて行きたい場所がたくさんあるんだ」
そう言うと、にっこり笑ってユミが手を繋ぐ。
「楽しみだな。フランシスのおすすめはどこも素敵だったもの」
三年ほど学校に通うために住んでいたこの町だけれど、いい思い出半分、嫌な思い出も半分。
町の女の子達の狡猾さにとにかく驚いた。
ある女の子に誘われて一緒に図書館に行った翌日、その子はクラスで除け者にされた。
俺が話しかけるともう話しかけないでと言われてそのうち学校へ来なくなった。
その後、似たようなことが何度かあって、クラスの中心的な女の子達が俺に張り付くようになって、その子達の仕業だとわかった。
にこにこしながら裏で、口汚く罵る様子に驚き呆れ、注意すれば、涙を見せて弱々しく謝る。
その頃には俺をよく思わない男にもいろんな女に手を出して味見して捨てるのはやめろ、とかわけのわからない絡まれ方をされて色々なことにうんざりした。
仲のいい友人から、お前が笑いかけると女子が勘違いするんだって言われて、それからは女の子に笑いかけず、話さず静かに日々過ごしたのだけど。
そもそも村育ちで、年の近い女の子は三人だけ。
男女関係なく、何も考えず遊んでいた。
一人はすぐに家が隣同士で婚約した。
残り二人は姉妹で、妹のほうと一緒に野原を駆けて遊ぶことはあったものの、病弱な姉がよい医療を受けるために家族で引っ越してしまった。
町とは人の距離感や人間関係が全く違う。
勉強も楽しく、港町は見所も多くて刺激的ではあったけど、やっぱり生まれた土地が好きだと気づくことになった。
それに、村に戻ったおかげでユミと出会えて、お互い想い合って結婚までできた。
倒れているのを発見した時から、庇護欲をかき立てられ、それから可愛いなと見ているうちにどんどん好きになった。
幼い見た目に反して、複雑な女の子。
港町の外見だけ飾り立てた中身のない女の子とは全然違っていて、一緒にいると居心地が良くて、もっと知りたくて近づきたくて。
それが今では俺のお嫁さん。
昼間は清純な雰囲気なのに、夜は快楽に弱くて素直。
俺が欲しいってまっすぐに求められるとたまらない気持ちになって、俺のものだって刻みつけたくなる。
俺の下で乱れる彼女に、どんどん煽られ熱くなって長い時間身体をつなげることになるのだけど、最終的に二人とも満足しているから、いいのかな。
乗船中、部屋の中でイチャイチャしていたら、船酔いもせず時間が過ぎ去って、あっという間に降りることになった。
ふらつく俺達に、船員が『ずっと海の上だったから脚がふらついてるぞ。陸ではもっと気をつけろよ!』って笑われたけれど、ユミは真っ赤になっていて可愛かった。
俺達の足腰に力が入らないのは違う理由だって言えないから。
そんなこと考えていたら早く宿屋に行きたくなったけれど。
「この先に街で一番大きい本屋があるんだ。そこだけ寄ろう」
ユミがキラキラした目で店内を見回す。
彼女はどんな外国語でも読めるから、本屋はすごく楽しい場所らしい。
異国でたまたま手にした冒険小説が、翻訳されたもので、俺達の国の作家だとわかったから最新巻を求めに来た。
「フランシス……どうしよう、続きが五冊もあるわ……!」
「せっかくだから全部買って行こう?」
「でも……買いすぎじゃない?」
本が五冊ともなるとそれなりの金額になるから、ユミが気にして小声で言う。
「そんなことないよ。ユミにもっとおねだりしてほしいくらい」
「……これ、買ったらフランシスも読む?」
「うん、もちろん」
「ありがとう!……大好き」
最後は俺の耳元に唇を寄せて言う。
嬉しいしくすぐったいし、顔が緩む。
「いらっしゃいませ…………フランシス、久しぶりだな」
横から声をかけられて、視線を向けた。
「あぁ、久しぶり。…………紹介するよ、彼女は俺の妻のユミ。……ユミ、彼は友人のボビー」
「はじめまして……」
俺の影から顔を出してペコリと頭を下げる様子は小動物みたいで可愛い。
そっと腰を抱き寄せると、ほっとしたように息を吐く。
ボビーは眼鏡ときっちりした姿のせいか普段の顔も気難しそうにみえるのかも。
「……はじめまして。それから……結婚おめでとうございます」
「はい、ありがとうございます……あの、私、奥の方、見てきていいですか?」
「もちろんどうぞ。困ったら声かけてくださいね」
ユミが気を利かせたのか俺を見上げてから離れていく。
後ろ姿を眺めていると、ボビーが笑い声を漏らした。
彼はこの本屋の跡継ぎだけど、さらに上の学校に通っているから会えるとは思わなかった。
会えたらいいなと思っていたけど。
「今日は店に出ていたんだ?」
「ちょうど試験が終わった後でね。……タイミングよかったな、フランシスが結婚したって話、数カ月前に訊かれたけど、答えられなかったぞ」
「それは、悪かった。新婚旅行で浮かれて、慌ただしく船に乗ったんだ。それで、今日戻ってきたから顔を出した。……お前宛てに手紙書いてきたけど直接会えてよかった」
「……まぁ、お前らしいな。……それにしても顔崩れすぎだぞ。誰かと思った」
思わず頬を撫でる。
「入学したての頃だってそんなに笑ってなかったのに」
「……新婚だから」
「……そう、だろうな。……お前狙いの女どもが入る隙はないね。今度来たら広めておくよ」
「…………ほどほどによろしく。それで、これ会計して。まだ宿を決めてないんだ」
本を結婚祝いにもらった上に、彼の姉が嫁いだという最近新しくした宿を紹介された。
「素敵……ここってなかなか泊まれないんじゃない?」
こじんまりした宿ではあるけど、女性好みの可愛らしい内装に、バルコニーから海と灯台が見える。
「そうなのかも?……ボビーのお姉さんがここに嫁いだんだって。それで、きっといい部屋に通してくれたのかな」
「そう……フランシスのおかげね」
にっこり笑うマミが愛しい。
「そうでもないけど、結婚祝いの一つかも」
「そう、なんだかたくさん祝ってもらっちゃったね。ね……何冊か絵本買って帰ろうか?」
マミがお腹に手を当てて俺をのぞき込む。
その仕草に心臓が跳ねる。
「もしかしたら……もしかしたらだけどね?……そろそろ準備してもいいのかも……まだ気が早いかもしれないけど」
俺はぎゅっとマミを抱きしめる。
「うん、準備しておこう……いつでも迎えられるように」
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いえいえ、maroさまのコメントはいつもおもしろくて楽しいです〜😊
フランシスの、盗んだバイクで走らない様子をあげてみました🌟
今小話追加週間なので糖度の高いものばかり書いてます〜❤️
日々過ぎるのが早いですよね❗️
ありがとうございます〜🤗
退会済ユーザのコメントです
最後までありがとうございます!
お疲れ様でした‼︎
フランシスはそんなイメージですか😆
私の中では女の子がやたら寄ってきて面倒的なイメージでいましたけども。
フランシスsideはそのうち追加したい気はするんですけど、とりあえず今はここまでです♪
ブライアンイケオジと言ってもらえてよかったです、歳の差書くことがなかったので!
このヒロインはR15にしておくのが惜しい、と番外編であんな感じに(*´艸`*)
やっぱりハッピーエンドがいいですね☆
退会済ユーザのコメントです
わ〜お疲れ様です🤗
ありがたい、嬉しいですが一気読みはきっとお疲れになっただろうと!
じれじれっぽいのは1作しか書いてません…私には難しいですねぇ(*´-`)
18だからベビードールあってもいいかなぁと(*´艸`*)
こんな村あったら、なんか、うん…すごいと思います😆
感想ありがとうございました〜🤗