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領地で新婚生活編
28 不思議な侍女がやって来た
しおりを挟む遠縁の子爵家の娘が、王城で勤める前に数年うちに勤めて箔をつけたいとやって来た。
母様からの手紙を持った彼女は十九歳で、僕達の一つ歳上。
六人姉妹の二番目で、家庭の事情というやつらしい。
礼儀作法に、教養、数カ国語習得している上に侍女としての知識も母様のもとで会得しているそうだからしばらくはアンジー付きとして身の回りを任せるように、と書いてあった。
アンジーとも気が合うようだし、愛しい妻の良さを最大限に引き出す髪型をあっという間に結い上げる。
メイクも着付けも早いし、そのあたりは今すでに満点をつけてもいいと思う。
ベッドでゆっくりしすぎた後でも、パパッと完璧なアンジーに仕上げるのだから。
しかし、彼女はなんだか不思議だ。
王族に仕えるなら、細やかな気遣いに心配りは大事だと思うけれど、先読みの先読みの先読みくらいしているのかもしれない。
「今夜の夕食はいらないから、代わりのものを用意しておいてくれる?」
執事なら軽めの軽食、果物にお酒、甘いデザート……そんなものが並ぶんだけど。
あいまいな言い方がいけなかったのかも?
「……ヴァル……?」
アンジーが戸惑った顔をしている。
おかしいな。
ベッドの上に置かれた数々の拘束具。
アンジーも指南書の四冊目でこれが何かわかっているに違いない。
「……片付けよう。誰か、勘違いしたのかな」
誰かってあの侍女しかいないけど。
「そうね……」
ふむ、なるほど。
実物はこうなっているのか。
これならアンジーを傷つけず、ベッドへ……いや、今は僕がちゃんとしまっておこう。うん。
来たるべき日に使うかも、しれないしな。
ちょっとまだ、早いかなって思うんだよな。
しかるべき日が、来たら。
用意された夜食もやっぱりおかしい。
ニンニクたっぷりのサーモンのクリーム煮、ニンニクとピーマンのポタージュ、チーズとくるみとオレンジのオリーブオイルのかかった……デザートみたいなサラダ。
山盛りのブルーベリーがデザート代わりかな。
料理長も菓子職人もみんな休み?
「今日は、いつもと違うのね……彼女の故郷の料理なのかしら」
アンジーがポツリと呟いていたけど、せっかくだからと二人で仲良く食べさせ合った。
で、も!
甘ーい雰囲気が皆無!
匂いが気になるからって深いキスも嫌がられて無念。
一緒に食べてるのに。
元気に目覚めた僕の俺をそのままに、アンジーを抱きしめて眠った。
翌日、侍女に尋ねると『精力のつく献立を私が用意させていただきました』と言った。
僕、そんなの必要ないんだけどー!
僕の俺、いつも元気いっぱいだしっ。
むしろ元気すぎて、困る……こともないけども!
なんてったって、アンジーの女神様は懐が深いし……ふふっ。
「若旦那様。……こちら、私の領地の特産品なのですが、よろしければ……」
「特産品?」
「はい。……お納めくださいませ」
渡されたものは。
ババンッ。
「……記録石……?」
音声と映像が記録できるという幻のアイテム?
なぜこんなものを……。
子爵家の領地は性産業が栄えているんだっけ?
すました顔で答える侍女、何者⁉︎
拘束具も用意していたし、普通の貴族令嬢じゃないっ。
「サイドテーブルに置くといいとのことです」
「……ありがとう、アメリア」
******
この侍女は作者ではありません(念のため)
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