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1 俺は勇者
しおりを挟む* 勇者は性別関係なく行為に及びます。胸糞、地雷ご注意ください。二話目から読むことも可能です。
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最初、WEB小説の読み過ぎて、夢を見ているのだと思った。
異世界転移したらしい俺は、欲しい能力を持っている相手と寝ると、その相手の能力を奪えるという力を手にしているらしい。
いつ目が覚めるんだ?
そう思いながらも、二十歳の俺は欲望に勝てなかった。
女の子と寝るのは初めてで、今まで知らなくてもったいないことをしたと思う。
そもそも日本でそんなチャンスはなかったから仕方ない。
女の子も演技とは思えないくらい喜んでくれたから、多分タガが外れたんだ。
たくさんの女の子と寝て、色々な能力を得た。
そうなると欲しい能力を持っている男にも手を出すことをためらわなくなったし、やればやるほど力がみなぎって、自信もつく。
見た目も変わる。
向こうからやって来なくても、自分から半ば強制的に行為に及ぶことだって日常茶飯事。
嫌がった相手も、俺の手によって快楽を得たし、最終的に合意に至った。
能力が奪われたことも、その能力を持っていたことも忘れてしまうことができたから、罵られることもない。
これがいわゆるチートなのか、と俺はどんどん強くなって、ますます思い上がっていった。
そうして数え切れないほど相手にして、俺はこの世界で一番有名で強い男になった。
だから、百年ぶりに目覚めたという魔王を倒して欲しいと、国王に頼まれた時も不安に思うなんてありえない。
実際に子供を相手にするくらい簡単に倒してしまった。
あまりにもあっけなくて、俺はその場で魔王の力も取り込んでいる。
それに気づいた国王は、俺に爵位を与えて可愛い王女を降嫁させての結婚の話を持ちかけてきた。
俺を取り込みたいのは分かったけれど、縛られるのは嫌だと言って断った。
すでに一夫一妻制の国に、俺はハーレムを持っていたし、たった一人に縛られるなんていくらプリンセスで可愛くたって嫌だ。
だから俺は国を出て旅に出た。
俺に怖いものなんて何もないし、国王は残念がったけど、それ以上踏み込んでこなかった。
ただ協力関係だけは保つことになったけど。
そんな俺はどの国へ行っても勇者として崇められた。
金も女も何もかも困ることはない。
順風満帆とはこういうことか。
日本での生活も、家族のことも忘れた。母が苦労して俺を育ててくれたことも。
志望していた国公立の大学に落ちて、奨学金をとってバイトと私大をひたすら往復する日々。
のん気に遊んでいる子達を横目に、資格をとっていい仕事に就いてやると、ストレスを抱えながら過ごしていた日々なんて思い出したくない。
今のほうがずいぶん楽だ。
母は俺がいなくなって泣くかもしれないけど、俺にかかる金のことを考えなくて済むんだから生活が楽になるはずだと言い聞かせる。
俺が生きがいだとも言っていたけど、母は父と別れてからいつも疲れていた。
小さくて薄暗いアパートに独り、俺の帰りをもう待たなくていいんだ。
朝早いんだから、先に寝ていればいいのに。
母は俺を忘れて幸せになればいいと思う。
これも一つの親孝行だ。
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