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男友達とカラダから始めるつもりはないのだけど。[改稿版]*
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* ヒロインは少しサバサバ、彼氏はちょっとS寄り。やり返そうとして負け続けるヒロイン。大学生同士の話です。大きな改稿はありませんが少しエピソードを追加しました。全3話。
******
この感覚を忘れていた。
布団の中で感じる男の体温と回された腕の重み。
心地よくてうとうとする。
彼とは今夜初めて一緒に眠る。
たまたまこんなふうに近くにいるけれど、彼は友達。
「眠った?」
「…………」
「起きてるんだろ?」
黙ってほしい。
こういう、ちょっと親密な雰囲気はよくない。
彼の腕に額をこすりつけるようにして顔を隠す。
「……そういうことしてさ、眠ったフリするのずるい」
じゃあ、どうしろって言うの?
何事もなくこのまま朝を迎えたほうがいいのに。
「しずか……」
私の名前を呼んで髪を撫でる。
そんな仕草をするなんて、私の彼氏か。
それを心地よいと思う自分もいけない。
そもそも同じ布団に入ったのが間違いなんだけど。
なんで大丈夫だと思ったんだ、私。
「……オミくん、眠ろう」
「しずかは眠れるの?」
「うん」
彼は大学の研究室が一緒だし、最寄駅が同じだし、二人で近所のファミレスで時々ご飯食べるくらいには仲がいいと思う。
オミくんと呼ぶのは彼が一浪していて一つ年上だから。
今夜こうして一緒にいるのは、研究室の飲み会の後でオミくんが最終バスを逃したせい。
金曜の夜のタクシー待ちの列は長く、彼の帰り道は峠を越えなくちゃいけないけど、害獣注意の看板が立っているようなところだからまともな神経なら歩くことはしない。
ファミレスで時間を潰すことにしたって深夜に閉店してしまうし、この街に満喫も始発までやってるカラオケもない。
「……うち、来る?」
「いいの? 助かる」
私たちは下戸だし飲んでない。
これまではお互いに恋人がいたし、友達以上に意識することはなかった。
だからその延長で間違いの起こしようもない、そう思って駅から徒歩八分の私の家に招いたのだけど。
「お前さ……やっぱ女だな」
「お前とか言われたくない。……それに、なにそれ?」
髪を撫でていた手がずっと下に伸び、ぐっとお尻を掴んで引き寄せた。
「ほら。めっちゃ、反応してる」
気づいてたから身体を離していたのに。
「……そんなの、ただの生理現象でしょ」
「そうだけど、そうじゃない。……やっぱりお前のこと好きだなって」
「言ってる順番おかしいから。……あー、もう、起きる? それ……もう一回シャワー浴びたら?」
私は起き上がって電灯のリモコンに手を伸ばした。
明るさに目が慣れなくて何度も瞬く。
「しずか」
一緒に起き上がったオミくんが私の腰に腕を回す。
「オミくん……もしかしてお酒飲んだ?」
「飲んでない。でも飲んでおけばよかった。好きな子と同じ布団に入って手が出せないなんて」
振り返ろうとした私のまぶたに大きな熱い手がのせられる。
私の背中にオミくんの速い鼓動が伝わって、私の体温も上がっていく。
「今は見ないで」
この雰囲気はまずい。
オミくんの言う好きはこの雰囲気にのまれて言ってるだけで、友達の好きなんじゃないかと思う。
お互い付き合っている相手はいないし、初めてでもないからそういうことをできなくもないけれど、それをしたら二人の関係はこのままではいられない。
「オミくん、この間の女の子……つきあうんじゃないの?」
「彼氏の相談されただけ」
「……そう、なの?」
「しずかは?」
ようやく目を覆っていた手が外されて、顔だけ後ろに向けた。
知ってるくせに。
睨むように見つめる。
半年前までオミくんのバイト先の先輩とつきあっていた。
彼の働くカフェで先輩に声をかけられて。
三ヶ月ほどつきあった頃、お店で先輩の仕事が終わるのを待っていると、本命だという女にいきなり水をかけられた。
『この泥棒猫‼︎』
反射的に女の胸元を掴んで手が出た。
ぱぁん、っていい音が響いて店内が一瞬シン、とした。
あぁ、やっちゃった。
幼い頃から取っ組み合いの姉妹喧嘩に慣れていたから、あの頃のやらなきゃやられる精神がこんなところでも出たに違いない。
それで泥棒猫ってなに。
この状況なんなわけ?
じろりと男を見るとうろたえて今にも逃げ出しそうな様子に一気に冷める。
二股かけるとか、最低。
オミくんが私にタオルをかけてくれて間に入ってくれなかったら好きだったはずの男にも手をあげてたかも。
いや、一発くらいよかったんじゃない?
ヒステリックに喚き立てて暴れる本命の女とやらを彼氏だった男が連れ出したから、そのまま連絡先を消去した。
それからすぐどうでもいい男がバイトを辞めたと聞いたけどあのカフェには今後行くつもりはない。
というより恥ずかしくて入れない。
「あいつのこと、まだ好き?」
「そんなことあるわけない」
ただ、恋愛が面倒くさくなっただけ。
オミくんの腕にぎゅっと力がこもる。
あの日もこの腕が守ってくれて、オミくんも男だったんだなって意識した。
意識はしたけど、それ以上の気持ちに育たないようフタをしたのに。
あの時はオミくんに彼女……いたんだっけ?
多分いたのかな、近づかないようにしようと思ったくらいだし。
「しずか、俺のこと考えて」
「……今、考えてる」
私の肩に頭を乗せる。
柔らかな髪がくすぐったい。
「なに、それ」
「いやだって、この状況だったら考えるでしょ」
「……今好きな奴いる?」
「…………いない、かな」
「なにその間。俺のこと好きだって、言って」
「……オミくん、自意識過剰」
「そうだったら、いいなって」
時々二人の間を流れる空気が恋人みたいだって思ったことはある。
彼が優しい目でみつめて笑うから。
もしかして私もそんな顔してたのかな。
つき合っているんだよねって何人かに言われたこともあるくらいで。
どうだろうって面倒くさくて笑ってごまかしていたけど。
「オミくん。あの、さ……」
「……やっぱいい、言わないで」
そう言って私の首筋に口づけを落とす。
「んっ……」
思わず漏らした私の声に、オミくんが静かに笑う。
ほんの少し鼻から抜けるような笑い方がいつもエロいと思っていた。
「しずか、かわいい」
オミくんが、いつもより低い声でささやく。
そのまま耳たぶを食まれて腰がむずむずした。
「オミくん、やめよ?」
「やっぱり、耳、弱いな」
もしかして、これまでわざと耳元で話してきた?
思わず眉を寄せる。
「オミくん?」
「……しずか、このタイミングでいうのもおかしいけど、つき合って」
「うん、おかしいね」
「おかしいのは認める。それで、今うんて言ったね。よかった」
「おかしい、に同意しただけ」
「オレのこと嫌い?」
「嫌いじゃない」
「それならオレの彼女になって」
このやりとりはなんだろう。
「私は今の関係が心地よくて好き」
「俺も。そのまま友達から恋人にスライドするだけだから。変わらないよ」
「そうかな……だって」
セックスしたいんだよね?
「だって、なに?」
「私は友達とはしないけど、恋人とはそういうことするよね?」
「俺はしずかと恋人になってそういうことがしたい。友達とはしないよ」
「……それって、いま?」
「だめ?」
「デート三回してからとか」
「うん、何度もご飯食べに行ったよね。あと映画も」
「そう、だった……?」
ファミレスもファーストフードも友達として何度も行ってるけど、デートした記憶は一度もない。
映画だって話のノリでいきなりコメディを観に行くことになって、帰りにラーメン食べて解散したし、やっぱりデートじゃない。
「どこか行きたいところあるの? いいよ? どこでも……だけど今はキスさせて」
顎クイだ、って思った瞬間唇が重なった。
私たちは見つめ合っていて、彼がふっと笑って唇を啄んだ。
「なんで固まってるの?」
「現実味がないから」
「そう? ああ、確かに夢みたいかも。本物のしずかに触れてる」
「……オミくん、言ってて恥ずかしくない?」
そうかな、って言ってからまた私の唇に触れる。
嫌じゃない。
だから拒めない。
それがわかったのか私の口内に舌が忍び込んだ。
「んんっ……! オミ、くん!」
角度を変えながら深く、思いがけないところまで触れてくる。
キスってこんなだった?
舌が絡むキスだってその先だって経験はあるけど、こんなふうに熱くとろけてしまうような、頭の中が空っぽになるキスは知らない。
「オミ、くんっ……、んぁ……はぁ、っ……」
「しずか……抱きしめたい……」
「んっ……」
ぼんやりした頭で私は彼に向き直り首に腕を巻きつけた。
自分が今なにをしているか、わかってはいる。
よくないことだって、流されてるなって思うけど、やめる気はなくて。
「しずか、かわいい。……ずっと……ずっと触れたいと思っていた」
背骨を撫でる指先がその先を予感させて彼にぎゅっとしがみついた。
「オミくん……電気、消そう」
彼がリモコンに手を伸ばして常夜灯に切り替えた。
「さっきは真っ暗だった……」
「真っ暗だと、しずかのかわいいところが見えない」
かわいいところってなに。
どこを指してるんだろう。
「エアコン、つけよ」
「いらない」
熱くなるから、って言われて思わず口ごもる。
「そうやって戸惑ったり、恥ずかしがったりした顔とか、全部見たい」
「……オミくんて……本当に私のこと好き……?」
「しずかのこと、本気で好きだよ。だからさ、いっぱい触れたい。……でも、嫌われたくないから」
そんなふうに言われて。
私もこれ以上ごまかすことができない。
「オミくん…………私さ、友達ならずっと一緒にいられると思ったから、このままがいいと思った。だって恋人になったら、いつか別れることになるかもしれないし、そうなったら一人ですごく泣いちゃいそうだし辛いと思う」
「それ……」
彼の唇に手を当てる。
「私、オミくんが好き、だよ」
手のひらに湿った感触を感じて、驚く私の手首を握ってもう一度唇を当てた。
「……恋人になったらもっと一緒にいられるし、もっと近づける」
「うん……そう、か。そうだね。……いいよ、オミくん。……今から恋人ね」
抱きしめられて、唇が重なって。
お互いのTシャツを脱がせあって、なんだか笑ってしまうのは照れ隠し。
薄暗いからちゃんと見えないと思ってもこんな時にそれっぽい下着じゃないのが少し残念で。
「しずか、笑ってられるのも今のうち」
「だって、さっきまで友達だよ……」
かぶりタイプのナイトブラを上に押し上げられて、下からすくい上げるように包み込む。
揺らすように揉まれて先端の周りに彼が指を這わせた。
「ここもかわいい」
親指の腹で弾くように先端に触れるから、一気に身体が熱くなってじんわりと汗が滲む。
「全部食べさせて」
そのまま後ろにゆっくり倒れた。
オミくんがのしかかって、ふくらみを口に含む。じっくりと舌が這い回り、先端を押し込んだかと思うと吸い上げたり弾いたりするから、お腹の奥が切なく、重たくなる。
下着が濡れてる。
気づかれる前に自分で脱ぎたい。
こんなふうになる自分を知らない。
「オミくん……もう、いいから……今度は、私がするから」
彼は濡れて立ち上がった先端を指で弄びながら私を見つめる。
「それは……嬉しいけど、今されたら一舐めでイく」
「……それでもいいよ。考えたら、私ゴム持ってない」
「俺は持ってる」
オミくんがふくらみの先端に歯を立てた。
「いっ……‼︎」
そのあとは慰めるように舌を動かす。
その行為を何度も繰り返すから、涙が浮かぶ。
「それやだ」
ふっ、と少し鼻から抜ける笑い方をしてからもう一度歯を立てて、ていねいに舐めた。
「オミ、くんっ、それ、やめてっ」
「うん、わかった」
お腹の中が熱い。
ほっとする私のパジャマのウエストに手をかけて下着ごと一気にはぎ取った。
「待って!」
「何を待つの?」
私の脚の間に身を置き、手を這わせる。
彼の指が私の中へ遠慮なく侵入した。
「ぅんっ……」
「よかった……濡れてる」
内壁を探るように指を動かすから、はしたなく水音が響いてますます熱がたまっていく。
彼の指は男の人にしては細くて長い。
きれいな手だと思っていたけど、今その指に翻弄されていた。
「待って!」
奥まで指を埋めたまま私の顔をのぞき込んだ。
「どうして?」
そのまま、ゆっくりと唇が落ちてくる。
「何を待ってほしいの?」
唇が触れる直前にそう言って笑うから、どうしたらいいかわからなくなった。
そのまま軽く二度三度と唇に触れながら、埋め込まれた指が襞を擦り、探る。
脚の間に意識を奪われていると、口内に舌が滑り込んで縮こまった私の舌を探し出す。
絡んでなぞられ、甘噛みされて。
それから脚の間に指が増やされた。
拡げられる感覚に身体が震え、脚に力が入る。
ふいにクリトリスに指を押しつけられて声を漏らして達した。
「……ぁ――……っ」
「……イったの……?」
唇を離したオミくんがゆっくりと指を動かしながら愉しそうに絶頂の余韻を引き延ばす。初めての相手とは、そう簡単にイくことはないのに。
「しずか、ちょっと待ってて」
オミくんて普段淡々としてるのに。
なんだか、ものすごく意外。
ぼんやりしていると、パッケージを破る音が聞こえた。
「大丈夫?」
彼が私をのぞきこんで頬を撫でる。
「うん……」
口づけを落としてから私の脚を抱えてゆっくりと熱をこすりつけた。
「あっ……」
馴染ませるようにゆっくりと私の中へと進む。
かり首が入ると勢いがついて、ずんと奥まで突き込んだ。
「……っ、どうしよう……」
私が漏らした言葉に、眉間にシワを寄せた彼が尋ねる。
「……なにが?」
「…………気持ち良くて。……すごく、いい……」
彼の昂まりが私の中でわずかに動く。
奥に押しつけるように腰を突き出した彼に腕を伸ばして抱きついた。
「オミくん、ちょっと待って。……抱きしめて」
なんだろう。
こんなに満たされた気持ちになるなんて。
ふっと息を吐いてオミくんが私を包むように抱きしめる。
「オミくん、私、かなりオミくんのこと、好きみたい」
「俺も好き。……このタイミングで言われると、ちょっと、すぐイきそうになるけど」
「それでもいいよ」
「俺が嫌だよ」
オミくんは大きく深呼吸をしてから、私の中からギリギリまで引き抜いて最奥まで一息で突く。
「あぁ!」
奥を穿たれてすぐに身体は快感をひろってしまう。
「あぁ、困ったな。……そんなに締めつけられると、気持ち良すぎて、もたない。……もう一回してもいい?」
「んっ」
「じゃあ、さきイって」
二人の繋がる先に指が触れる。
「オミくんっ!」
私が感じる浅いところばかり突いてくるから一気に絶頂へと向かう。
「やっ、あぁっ……」
目の前が白んで震える私の奥深くを遠慮なく穿つ。
収縮する内壁を遠慮なく突き込むから声が抑えられない。
「あっ、んんっ、オミ、く、んっ……」
「……っ、……これ。はまりそっ……」
膜越しに欲望を吐き出した後、私をきつく抱きしめた。
「しずか、好きだよ」
そう言って見つめるから、私もだって笑った。
頬を撫でてから彼が身を起こし、彼自身が抜ける感覚に息を漏らす。
それを聞いてかわいいって笑われて恥ずかしい。
なんだろう、これ。
さっきまでは普通に友達で、今はオミくんが彼氏で、甘くて。
「全然おさまらないんだけど」
「……オミくん、元気だね」
新しいゴムに替えて当たり前のように私の中に滑り込む。
さっきもう一回って言ってたけど、こんなにすぐとは思わなかった。
「ごめん……しずかと繋がっていたい」
私を抱きしめたまま、くるりと反転する。
彼を受け入れたまま上に乗せられて、戸惑いつつも胸に耳を当てた。
「こんなふうになると思わなかったな……」
私の呟きに背中を撫でていた手が髪をかき上げる。
「俺は、あの日……しずかがほしいって思ったけどね」
「あの日?」
「あー、ほら……、うちの店で水かけられた時」
意味がわからない。
人生初の修羅場のこと?
「あの女がしずかに水かけた後さ、すぐに反撃したでしょ。いい音立ててさ。……あれ、すごく予想外で……あの時の気の強い目に惹かれた」
「……へんなの……。反撃しないで震えたほうが可愛げがあると思うけど」
私にはそんな芸当できないけどね。
「それじゃ、しずかじゃない。あの強い目に見つめられたいって、すごく思った……」
「……意外とMなの?」
「どうかな? そのうちわかるんじゃない?」
そう言って下からゆっくり突き上げる。
やっぱり彼がMなんてことない。
多分、私の気の強い面を引き出してへし折りたいんじゃないかと思うから。
「私、Mじゃないよ?」
「うん、知ってる。そこがいいから」
まさか彼は気づいてる?
私が打たれ弱いSだということに。
「じゃあ、今度は私が動くね」
身体を起こそうとした私をがっちり抱きしめて何度も何度も下から突き上げる。
「ぁっ! オミくんっ、待って!」
ふっと笑って唇を塞がれた。
私が気持ち良くなって力が抜けるまで、穿ち続けるから泣きたくないのに涙が流れ落ちる。
だから、ようやく解放されてオミくんを睨んだ。
「しずか……そんなふうに見られるといつまでも終われなくなるんだけど」
「……オミくんのばか」
次は絶対、負けないから。
******
この感覚を忘れていた。
布団の中で感じる男の体温と回された腕の重み。
心地よくてうとうとする。
彼とは今夜初めて一緒に眠る。
たまたまこんなふうに近くにいるけれど、彼は友達。
「眠った?」
「…………」
「起きてるんだろ?」
黙ってほしい。
こういう、ちょっと親密な雰囲気はよくない。
彼の腕に額をこすりつけるようにして顔を隠す。
「……そういうことしてさ、眠ったフリするのずるい」
じゃあ、どうしろって言うの?
何事もなくこのまま朝を迎えたほうがいいのに。
「しずか……」
私の名前を呼んで髪を撫でる。
そんな仕草をするなんて、私の彼氏か。
それを心地よいと思う自分もいけない。
そもそも同じ布団に入ったのが間違いなんだけど。
なんで大丈夫だと思ったんだ、私。
「……オミくん、眠ろう」
「しずかは眠れるの?」
「うん」
彼は大学の研究室が一緒だし、最寄駅が同じだし、二人で近所のファミレスで時々ご飯食べるくらいには仲がいいと思う。
オミくんと呼ぶのは彼が一浪していて一つ年上だから。
今夜こうして一緒にいるのは、研究室の飲み会の後でオミくんが最終バスを逃したせい。
金曜の夜のタクシー待ちの列は長く、彼の帰り道は峠を越えなくちゃいけないけど、害獣注意の看板が立っているようなところだからまともな神経なら歩くことはしない。
ファミレスで時間を潰すことにしたって深夜に閉店してしまうし、この街に満喫も始発までやってるカラオケもない。
「……うち、来る?」
「いいの? 助かる」
私たちは下戸だし飲んでない。
これまではお互いに恋人がいたし、友達以上に意識することはなかった。
だからその延長で間違いの起こしようもない、そう思って駅から徒歩八分の私の家に招いたのだけど。
「お前さ……やっぱ女だな」
「お前とか言われたくない。……それに、なにそれ?」
髪を撫でていた手がずっと下に伸び、ぐっとお尻を掴んで引き寄せた。
「ほら。めっちゃ、反応してる」
気づいてたから身体を離していたのに。
「……そんなの、ただの生理現象でしょ」
「そうだけど、そうじゃない。……やっぱりお前のこと好きだなって」
「言ってる順番おかしいから。……あー、もう、起きる? それ……もう一回シャワー浴びたら?」
私は起き上がって電灯のリモコンに手を伸ばした。
明るさに目が慣れなくて何度も瞬く。
「しずか」
一緒に起き上がったオミくんが私の腰に腕を回す。
「オミくん……もしかしてお酒飲んだ?」
「飲んでない。でも飲んでおけばよかった。好きな子と同じ布団に入って手が出せないなんて」
振り返ろうとした私のまぶたに大きな熱い手がのせられる。
私の背中にオミくんの速い鼓動が伝わって、私の体温も上がっていく。
「今は見ないで」
この雰囲気はまずい。
オミくんの言う好きはこの雰囲気にのまれて言ってるだけで、友達の好きなんじゃないかと思う。
お互い付き合っている相手はいないし、初めてでもないからそういうことをできなくもないけれど、それをしたら二人の関係はこのままではいられない。
「オミくん、この間の女の子……つきあうんじゃないの?」
「彼氏の相談されただけ」
「……そう、なの?」
「しずかは?」
ようやく目を覆っていた手が外されて、顔だけ後ろに向けた。
知ってるくせに。
睨むように見つめる。
半年前までオミくんのバイト先の先輩とつきあっていた。
彼の働くカフェで先輩に声をかけられて。
三ヶ月ほどつきあった頃、お店で先輩の仕事が終わるのを待っていると、本命だという女にいきなり水をかけられた。
『この泥棒猫‼︎』
反射的に女の胸元を掴んで手が出た。
ぱぁん、っていい音が響いて店内が一瞬シン、とした。
あぁ、やっちゃった。
幼い頃から取っ組み合いの姉妹喧嘩に慣れていたから、あの頃のやらなきゃやられる精神がこんなところでも出たに違いない。
それで泥棒猫ってなに。
この状況なんなわけ?
じろりと男を見るとうろたえて今にも逃げ出しそうな様子に一気に冷める。
二股かけるとか、最低。
オミくんが私にタオルをかけてくれて間に入ってくれなかったら好きだったはずの男にも手をあげてたかも。
いや、一発くらいよかったんじゃない?
ヒステリックに喚き立てて暴れる本命の女とやらを彼氏だった男が連れ出したから、そのまま連絡先を消去した。
それからすぐどうでもいい男がバイトを辞めたと聞いたけどあのカフェには今後行くつもりはない。
というより恥ずかしくて入れない。
「あいつのこと、まだ好き?」
「そんなことあるわけない」
ただ、恋愛が面倒くさくなっただけ。
オミくんの腕にぎゅっと力がこもる。
あの日もこの腕が守ってくれて、オミくんも男だったんだなって意識した。
意識はしたけど、それ以上の気持ちに育たないようフタをしたのに。
あの時はオミくんに彼女……いたんだっけ?
多分いたのかな、近づかないようにしようと思ったくらいだし。
「しずか、俺のこと考えて」
「……今、考えてる」
私の肩に頭を乗せる。
柔らかな髪がくすぐったい。
「なに、それ」
「いやだって、この状況だったら考えるでしょ」
「……今好きな奴いる?」
「…………いない、かな」
「なにその間。俺のこと好きだって、言って」
「……オミくん、自意識過剰」
「そうだったら、いいなって」
時々二人の間を流れる空気が恋人みたいだって思ったことはある。
彼が優しい目でみつめて笑うから。
もしかして私もそんな顔してたのかな。
つき合っているんだよねって何人かに言われたこともあるくらいで。
どうだろうって面倒くさくて笑ってごまかしていたけど。
「オミくん。あの、さ……」
「……やっぱいい、言わないで」
そう言って私の首筋に口づけを落とす。
「んっ……」
思わず漏らした私の声に、オミくんが静かに笑う。
ほんの少し鼻から抜けるような笑い方がいつもエロいと思っていた。
「しずか、かわいい」
オミくんが、いつもより低い声でささやく。
そのまま耳たぶを食まれて腰がむずむずした。
「オミくん、やめよ?」
「やっぱり、耳、弱いな」
もしかして、これまでわざと耳元で話してきた?
思わず眉を寄せる。
「オミくん?」
「……しずか、このタイミングでいうのもおかしいけど、つき合って」
「うん、おかしいね」
「おかしいのは認める。それで、今うんて言ったね。よかった」
「おかしい、に同意しただけ」
「オレのこと嫌い?」
「嫌いじゃない」
「それならオレの彼女になって」
このやりとりはなんだろう。
「私は今の関係が心地よくて好き」
「俺も。そのまま友達から恋人にスライドするだけだから。変わらないよ」
「そうかな……だって」
セックスしたいんだよね?
「だって、なに?」
「私は友達とはしないけど、恋人とはそういうことするよね?」
「俺はしずかと恋人になってそういうことがしたい。友達とはしないよ」
「……それって、いま?」
「だめ?」
「デート三回してからとか」
「うん、何度もご飯食べに行ったよね。あと映画も」
「そう、だった……?」
ファミレスもファーストフードも友達として何度も行ってるけど、デートした記憶は一度もない。
映画だって話のノリでいきなりコメディを観に行くことになって、帰りにラーメン食べて解散したし、やっぱりデートじゃない。
「どこか行きたいところあるの? いいよ? どこでも……だけど今はキスさせて」
顎クイだ、って思った瞬間唇が重なった。
私たちは見つめ合っていて、彼がふっと笑って唇を啄んだ。
「なんで固まってるの?」
「現実味がないから」
「そう? ああ、確かに夢みたいかも。本物のしずかに触れてる」
「……オミくん、言ってて恥ずかしくない?」
そうかな、って言ってからまた私の唇に触れる。
嫌じゃない。
だから拒めない。
それがわかったのか私の口内に舌が忍び込んだ。
「んんっ……! オミ、くん!」
角度を変えながら深く、思いがけないところまで触れてくる。
キスってこんなだった?
舌が絡むキスだってその先だって経験はあるけど、こんなふうに熱くとろけてしまうような、頭の中が空っぽになるキスは知らない。
「オミ、くんっ……、んぁ……はぁ、っ……」
「しずか……抱きしめたい……」
「んっ……」
ぼんやりした頭で私は彼に向き直り首に腕を巻きつけた。
自分が今なにをしているか、わかってはいる。
よくないことだって、流されてるなって思うけど、やめる気はなくて。
「しずか、かわいい。……ずっと……ずっと触れたいと思っていた」
背骨を撫でる指先がその先を予感させて彼にぎゅっとしがみついた。
「オミくん……電気、消そう」
彼がリモコンに手を伸ばして常夜灯に切り替えた。
「さっきは真っ暗だった……」
「真っ暗だと、しずかのかわいいところが見えない」
かわいいところってなに。
どこを指してるんだろう。
「エアコン、つけよ」
「いらない」
熱くなるから、って言われて思わず口ごもる。
「そうやって戸惑ったり、恥ずかしがったりした顔とか、全部見たい」
「……オミくんて……本当に私のこと好き……?」
「しずかのこと、本気で好きだよ。だからさ、いっぱい触れたい。……でも、嫌われたくないから」
そんなふうに言われて。
私もこれ以上ごまかすことができない。
「オミくん…………私さ、友達ならずっと一緒にいられると思ったから、このままがいいと思った。だって恋人になったら、いつか別れることになるかもしれないし、そうなったら一人ですごく泣いちゃいそうだし辛いと思う」
「それ……」
彼の唇に手を当てる。
「私、オミくんが好き、だよ」
手のひらに湿った感触を感じて、驚く私の手首を握ってもう一度唇を当てた。
「……恋人になったらもっと一緒にいられるし、もっと近づける」
「うん……そう、か。そうだね。……いいよ、オミくん。……今から恋人ね」
抱きしめられて、唇が重なって。
お互いのTシャツを脱がせあって、なんだか笑ってしまうのは照れ隠し。
薄暗いからちゃんと見えないと思ってもこんな時にそれっぽい下着じゃないのが少し残念で。
「しずか、笑ってられるのも今のうち」
「だって、さっきまで友達だよ……」
かぶりタイプのナイトブラを上に押し上げられて、下からすくい上げるように包み込む。
揺らすように揉まれて先端の周りに彼が指を這わせた。
「ここもかわいい」
親指の腹で弾くように先端に触れるから、一気に身体が熱くなってじんわりと汗が滲む。
「全部食べさせて」
そのまま後ろにゆっくり倒れた。
オミくんがのしかかって、ふくらみを口に含む。じっくりと舌が這い回り、先端を押し込んだかと思うと吸い上げたり弾いたりするから、お腹の奥が切なく、重たくなる。
下着が濡れてる。
気づかれる前に自分で脱ぎたい。
こんなふうになる自分を知らない。
「オミくん……もう、いいから……今度は、私がするから」
彼は濡れて立ち上がった先端を指で弄びながら私を見つめる。
「それは……嬉しいけど、今されたら一舐めでイく」
「……それでもいいよ。考えたら、私ゴム持ってない」
「俺は持ってる」
オミくんがふくらみの先端に歯を立てた。
「いっ……‼︎」
そのあとは慰めるように舌を動かす。
その行為を何度も繰り返すから、涙が浮かぶ。
「それやだ」
ふっ、と少し鼻から抜ける笑い方をしてからもう一度歯を立てて、ていねいに舐めた。
「オミ、くんっ、それ、やめてっ」
「うん、わかった」
お腹の中が熱い。
ほっとする私のパジャマのウエストに手をかけて下着ごと一気にはぎ取った。
「待って!」
「何を待つの?」
私の脚の間に身を置き、手を這わせる。
彼の指が私の中へ遠慮なく侵入した。
「ぅんっ……」
「よかった……濡れてる」
内壁を探るように指を動かすから、はしたなく水音が響いてますます熱がたまっていく。
彼の指は男の人にしては細くて長い。
きれいな手だと思っていたけど、今その指に翻弄されていた。
「待って!」
奥まで指を埋めたまま私の顔をのぞき込んだ。
「どうして?」
そのまま、ゆっくりと唇が落ちてくる。
「何を待ってほしいの?」
唇が触れる直前にそう言って笑うから、どうしたらいいかわからなくなった。
そのまま軽く二度三度と唇に触れながら、埋め込まれた指が襞を擦り、探る。
脚の間に意識を奪われていると、口内に舌が滑り込んで縮こまった私の舌を探し出す。
絡んでなぞられ、甘噛みされて。
それから脚の間に指が増やされた。
拡げられる感覚に身体が震え、脚に力が入る。
ふいにクリトリスに指を押しつけられて声を漏らして達した。
「……ぁ――……っ」
「……イったの……?」
唇を離したオミくんがゆっくりと指を動かしながら愉しそうに絶頂の余韻を引き延ばす。初めての相手とは、そう簡単にイくことはないのに。
「しずか、ちょっと待ってて」
オミくんて普段淡々としてるのに。
なんだか、ものすごく意外。
ぼんやりしていると、パッケージを破る音が聞こえた。
「大丈夫?」
彼が私をのぞきこんで頬を撫でる。
「うん……」
口づけを落としてから私の脚を抱えてゆっくりと熱をこすりつけた。
「あっ……」
馴染ませるようにゆっくりと私の中へと進む。
かり首が入ると勢いがついて、ずんと奥まで突き込んだ。
「……っ、どうしよう……」
私が漏らした言葉に、眉間にシワを寄せた彼が尋ねる。
「……なにが?」
「…………気持ち良くて。……すごく、いい……」
彼の昂まりが私の中でわずかに動く。
奥に押しつけるように腰を突き出した彼に腕を伸ばして抱きついた。
「オミくん、ちょっと待って。……抱きしめて」
なんだろう。
こんなに満たされた気持ちになるなんて。
ふっと息を吐いてオミくんが私を包むように抱きしめる。
「オミくん、私、かなりオミくんのこと、好きみたい」
「俺も好き。……このタイミングで言われると、ちょっと、すぐイきそうになるけど」
「それでもいいよ」
「俺が嫌だよ」
オミくんは大きく深呼吸をしてから、私の中からギリギリまで引き抜いて最奥まで一息で突く。
「あぁ!」
奥を穿たれてすぐに身体は快感をひろってしまう。
「あぁ、困ったな。……そんなに締めつけられると、気持ち良すぎて、もたない。……もう一回してもいい?」
「んっ」
「じゃあ、さきイって」
二人の繋がる先に指が触れる。
「オミくんっ!」
私が感じる浅いところばかり突いてくるから一気に絶頂へと向かう。
「やっ、あぁっ……」
目の前が白んで震える私の奥深くを遠慮なく穿つ。
収縮する内壁を遠慮なく突き込むから声が抑えられない。
「あっ、んんっ、オミ、く、んっ……」
「……っ、……これ。はまりそっ……」
膜越しに欲望を吐き出した後、私をきつく抱きしめた。
「しずか、好きだよ」
そう言って見つめるから、私もだって笑った。
頬を撫でてから彼が身を起こし、彼自身が抜ける感覚に息を漏らす。
それを聞いてかわいいって笑われて恥ずかしい。
なんだろう、これ。
さっきまでは普通に友達で、今はオミくんが彼氏で、甘くて。
「全然おさまらないんだけど」
「……オミくん、元気だね」
新しいゴムに替えて当たり前のように私の中に滑り込む。
さっきもう一回って言ってたけど、こんなにすぐとは思わなかった。
「ごめん……しずかと繋がっていたい」
私を抱きしめたまま、くるりと反転する。
彼を受け入れたまま上に乗せられて、戸惑いつつも胸に耳を当てた。
「こんなふうになると思わなかったな……」
私の呟きに背中を撫でていた手が髪をかき上げる。
「俺は、あの日……しずかがほしいって思ったけどね」
「あの日?」
「あー、ほら……、うちの店で水かけられた時」
意味がわからない。
人生初の修羅場のこと?
「あの女がしずかに水かけた後さ、すぐに反撃したでしょ。いい音立ててさ。……あれ、すごく予想外で……あの時の気の強い目に惹かれた」
「……へんなの……。反撃しないで震えたほうが可愛げがあると思うけど」
私にはそんな芸当できないけどね。
「それじゃ、しずかじゃない。あの強い目に見つめられたいって、すごく思った……」
「……意外とMなの?」
「どうかな? そのうちわかるんじゃない?」
そう言って下からゆっくり突き上げる。
やっぱり彼がMなんてことない。
多分、私の気の強い面を引き出してへし折りたいんじゃないかと思うから。
「私、Mじゃないよ?」
「うん、知ってる。そこがいいから」
まさか彼は気づいてる?
私が打たれ弱いSだということに。
「じゃあ、今度は私が動くね」
身体を起こそうとした私をがっちり抱きしめて何度も何度も下から突き上げる。
「ぁっ! オミくんっ、待って!」
ふっと笑って唇を塞がれた。
私が気持ち良くなって力が抜けるまで、穿ち続けるから泣きたくないのに涙が流れ落ちる。
だから、ようやく解放されてオミくんを睨んだ。
「しずか……そんなふうに見られるといつまでも終われなくなるんだけど」
「……オミくんのばか」
次は絶対、負けないから。
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