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恋人つなぎと終点と。③ *
しおりを挟むつき合い初めて二週間、週末もデートの約束をしていたけど、生理がやってきた。
薬が効きにくいのか、いつも結構重い。
当日に悪いけど体調悪いから行けないって言ったら、渉さんがうちに来たいと言う。
看病するって張り切るからしかたなく私は打ち明けた。
「るみと一緒にいたいだけなんだ。俺のこと気にしなくていいから、遠慮しないで欲しいもの言って」
「鍋焼きうどん……コンビニとかで売ってるやつ食べたいです」
「他は?」
「ホットミルク……牛乳が飲みたいです」
「わかった。駅着いたら連絡するから。部屋片づけようとか考えるなよ?」
「……はい」
部屋は片づけるけどね。
渉さんは大荷物でやって来た。
「るみ、まず部屋に入れて」
プライベートで会うのはやっぱり違う。
ドキドキしちゃうけど、いつか見慣れるようになるのかな。
ぼんやり見てると玄関で荷物を下ろした渉さんに抱きしめられた。
「……体調どう? 横になっていて」
「はい……大丈夫です。どうぞ」
さっきまでふぅふぅ言いながら目立つところは片づけた。
「るみっぽい。かわいいね」
白い家具に、子どもっぽくならないように少しずつ色味を考えて集めたピンクの小物はお気に入り。
男の人には居心地がどうかわからないけど。
小さい部屋だからベッドに腰かけてもらった。
「るみも」
なぜか膝の上に誘導されて横座りになる。
それから温かい手がそっとお腹に当てられた。
「無理しないで。うちの母親がさ、よくそれで寝込んだ人で。男どもはこの痛みがわからないんだから、優しくしなさいって」
そう言いながら私の手の甲に口づけする。
これって夢かな?
そっとベッドに寝かされて、私はぼんやり渉さんを見つめた。
「抱かれたいの?」
「違います!」
「冗談。そんなに見つめられると、やばいけど」
覆いかぶさって抱きしめられる。
冗談、って言ったよね⁉︎
「休んで」
私のおでこにキスして起き上がった。
夢なの?
お腹空いたらうどんを作ってくれて、食べてうとうとしてたら後ろからそっとハグ。
ホットミルクに蜂蜜が少し入って、ほんのり甘くて嬉しい。
いつもより、痛みが軽いかも。
幸せだとそうなのかもしれない。
「るみ、来週末は楽しみにしてるから」
んん⁉︎
渉さんのお願いで金曜の夜からお泊りに行くことになった。
先週お世話になったし、異論はない。
というより今日は朝から楽しみだった。
一度家に帰って身支度を整えていたら、スマホが鳴る。
「車で迎えに行くから家で待っていて」
渉さんが始発駅に住んでいるのも、安い家賃で広い部屋に住めることと、駐車場がついているかららしい。
冗談なのか本気なのか、部屋はあるから引っ越しておいでって言われた。
通勤時間は増えるけど、確実に朝座れるのはいいかもしれない。そんなことを考える私は気が早すぎる。だめだめ、落ち着こう。
スマホが鳴って、下で待っているって表示が出る。
私が部屋を出るとわざわざ車から降りて荷物を持ってくれた。
渉さん、優し過ぎる。
「るみ、疲れてる? 何か食べて帰る?」
「家で簡単に食べれるもの持ってきたからまっすぐ帰りませんか?」
「いいね。それは楽しみだ」
私が助手席に乗ると、しっかりと唇を合わせてきた。どこにいるかも忘れて応えてしまう。
身体が蕩けそう。
忘れていた熱がよみがえった。
「ずっと、お預けだったからね」
玄関で靴を脱いだ瞬間、寝室に向かって持ち上げられた。
唇が重なり、同時に舌が口内を這いまわり、溢れた唾液があごを伝う。
性急だけど、嬉しい。
「渉さんっ……ごはん、は?」
「あとで」
ウエストから服を引き出され滑り込んだ手が背中に回り、ホックをはずして脇腹から胸を撫で回す。
「るみ、足抜いて」
下着ごと下ろされたパンツから足を抜くとむき出しのお尻に手を這わせた。
私も彼の服に手を伸ばす。
そうして寝室になだれ込んで。
「うん、濡れてるね」
脚の付け根に回された指が触れた時、くちゅりと音がした。
恥ずかしさに顔が赤くなる。
「言わないで」
お互いすべてを脱ぎ捨ててベッドに倒れ込んだ。
滑り込んだ細い指が私をますます蕩けさせる。
はしたなく音が鳴り、私の口からも吐息が漏れた。
彼の唇が私の胸の先端を甘噛みした時、体が浮いて。
「んっ……! はぁっ……」
「かわいい」
胸の先端を口に含みながら、指を増やして私が声を漏らす場所ばかり狙って刺激する。
渉さんは脚の付け根の突起に親指を当てて優しく撫でた。
思いがけない優しい動きに混乱していたら、胸の先端をきゅっと噛まれて内壁にある彼の指を奥へと引き込んでしまう。
渉さんが息を漏らすように笑った。
「一回るみがイってから、と思ったけど、ごめん」
避妊具をつけると私の両脚を肩にかけた。
馴染ませながらずぶすぶと挿入する。
彼の長大なアレが、熱の溜まった私の身体をより熱くさせる。
「渉、さんっ」
「もっと、名前呼んで」
「渉さん、んんっ⁉︎」
こつんと奥まで貫かれて目の前が真っ白になった。
とんとんと軽めに奥を突かれて、絶頂を迎えて喘ぐ。
息を吸おうと口を開けたところで唇が重なり、渉さんは口内と、体の中を思うままに探る。
「わ、たる……さんっ、もうっ」
「その呼び方、そそられる」
「え?」
「もっと呼べって」
私が口をつぐむと、抱き起こして腿に乗せられた。
「るみに名前呼ばれるの好きなんだ。もっと、呼んで」
私のお尻を掴んでぐっと腰に押しつけた。
「んっ、あっ、やっ……わたる、さんっ」
「可愛い。もっと入っちゃうね。俺のが、ほら。ここに……ある。るみの中をこうやって……」
下腹を押さえてその存在を私にも知らしめる。さらに下から突き上げながら話し続けた。
「いっぱい溢れてくる。想像して? ぐちゃぐちゃにされるのを」
「わ、たるさんっ、もぅ、はずかし」
私は彼の首に腕を巻きつけすがりつく。
すると、深く深く突き上げられて彼の体に胸がこすられてたまらなくなった。
「わた、る、さん、激しっ」
彼の荒い息が耳をくすぐり私はまた達する。
スピードを早めた彼が膜越しに欲望を放ち、頭を押さえられて荒く唇を奪われた。
「……まだ終わらないよ」
吐き出したはずの彼自身が力を取り戻すのを感じた。
私をひょいっと持ち上げて抜いて、目の前で新しいゴムをつけかえた。
ふむ、なるほど。
そうやるのね、と。
「るみ、挿れて」
にっこりと笑う渉さんの顔をまじまじと見た。
「…………」
「ほら、きて」
「その、自分から挿れたことがなくて」
「……それなら手伝うよ」
戸惑う私の腰を掴む。
ちゅっと音を立てて私を勇気づけるように口づけた。
「るみ、こっちみて」
私が顔を上げると間近に色っぽい笑顔。
「肩に手を置いて……そう、次は腰上げて」
言われた通りにすると、密着するから渉さんの髪からいい匂いがして耳の辺りに顔を擦り寄せた。柔らかい髪が顔に当たってちょっとくすぐったい。
そんなことを思っていると、ぬちゃりと音を立てて脚のあわいにアレが当たる。
渉さんがアレを支えてくれているみたい。
「そのままゆっくり、腰を下ろして」
丸い先端を飲み込むと後は楽に、楽に……ならなかった。
腰を上下にさせていると、くびれたところが私の気持ちいい場所を刺激して、声が漏れそう。
これ以上醜態をさらしたくない。
思い切って一気に受け入れた。
「うーーっっ」
「……っ! 無理しすぎ」
私の体をきつく抱きしめて、渉さんが大きく息を吐いた。
優しく背中を撫でてくれる。
「すっごい締めつけ。イくかと思った」
「私の中に渉さんが刺さっているみたい」
言い方がおかしかったのか、吹き出した渉さんのものが私の中でピクピクと動いた。
私は思わず彼の肩を甘噛みする。
「……っ! ごめん、かわいい、大好き」
そう言ってひとしきり笑ってから、息を吐いてキリッとした顔を見せる。ずるい。
「るみ、機嫌直せよ」
むくれる私の唇を強引に奪い、髪に差し入れられた細い指が首筋をなぞり体が震えた。
時々ぐりぐりと下から押しつける。
「んん……っ」
次第に二人の間からはしたない音があがって、私は身体から力が抜けた。
渉さんは少しだけ私の体を離して胸の先端に吸いつく。
子宮がうずいて、きゅっと内壁を締めてしまった。
「……るみって、感じやすいよな」
そう言いながら口に含んだ先端を舌で転がす。
もう片方の胸はすくい上げるように優しく包んでやわやわと揉む。
指の間に先端が挟まれて、私は思わず背を逸らした。
「わからないっ……」
腰に回されていた腕が力強く私を支える。
より密着するようお尻を掴んで、もっと深くつながろうとして。
気持ち良すぎる。
やっぱり私、快楽堕ちしちゃうんじゃない?
このままじゃ、私。
「会社に……行け、なくなる……」
「……どうして?」
くりくりと胸の先端を刺激しながら訊いてくる。
「だって……気持ち、良すぎてっ……」
「それ……いけないことか?」
「ベッドから、出れなく、なる、からぁっ」
「あー、もー、かわいすぎ」
下から突き上げながら、時々胸への愛撫も忘れない。
「大丈夫。月曜は、一緒に、会社に向かおう、ね」
「……んっ!」
彼の家から通勤、一回やってみたかった。
「もう、おしゃべり終わり」
仰向けに倒された私へ、狙いを定めた抽挿に変わる。
さっきまでの甘やかでゆるやかな時間が過ぎ去り、渉さんの思うままに私は声を上げ、体を震わせた。
「わたるさん……激しいっ」
「るみが、かわいいのが、悪い」
生理的にあふれた涙を舐めとられ、唇が重なった。
上顎を舌でなぞられ腰が跳ねる。
そのまま絶頂に追い上げられて、まもなく彼も欲望を吐き出した。
「るみ、大好き」
「……はい、私も好き」
「嬉しい」
渉さんは私を胸の中に抱きこんで、満足気に息を吐いた。
そうして幸せな時間を分かち合って、時々唇を合わせて抱きしめて……お腹空いて起きた。
「キーマカレー持ってきたの」
渉さんが落ち着いた午前零時を過ぎた頃、私達はようやく食事をとることになった。
キーマは短時間で作れるし、アレンジもしやすいからたっぷりある。
ご飯もちょっと硬めに炊いて、いっぱい。
それとポテトサラダ。
私の定番はドライマンゴーとベーコンを入れるのがポイント。
それはもはやポテトサラダじゃない、とか言われたけどマヨネーズで和えてるからポテトサラダと呼んでいいんだ。
「やった! 嬉しいな!」
年上なのに喜ぶ姿がかわいくみえる。
「何したらいい? 皿出そうか?」
「うん、お願いします。温めるだけだから」
運動したからお腹すいたよね。
渉さんは性欲も旺盛だけど、食欲も旺盛みたい。だって、さっきまで――。
「るみ……思い出してる?」
渉さんに声をかけられて、私は慌てて止まっていた手を動かした。
「そういう態度とると、またベッドに戻ることになるんだけど?」
「そういう?」
「顔が赤い、目が潤んでる、もじもじしてる」
「もじもじしてません!」
後ろから抱きしめられて首筋にキスを受けた。
「先にカレー食べよう」
「先に?」
「うん、先に。あとですることはいっぱいあるからね」
にっこり笑う渉さんの顔は壮絶に色っぽくて。
キーマカレーもポテトサラダもおいしいってたくさん食べた後、私のこともおいしいって食べ尽くした!
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