総攻めなんて私には無理!

能登原あめ

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5 セス

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 仕事中に抜けてきたという彼は、オネェだった。
 緊張感ないし、選ばれないと思って遅れてくるし。
 仕事に一生懸命な男は好きだよ?
 あ、オネェか。

 貴族様相手に髪結い師をしているそうで、午後からは夜会に行く貴婦人の支度で忙しくなるみたい。
 美容師ともちょっと違うのかな。
 彼に決めた後、明日あらためて来るわねってあっさり帰った。

 女神様も5人の夫は体力的に大変だろうと考えてくれたのかなー?
 この時の私は多分もうキャパオーバーで、男同士で結婚すればいいということはすっぽり頭から抜けていた。
 






「アタシはセスよ。選んでくれてありがとう。ちょっと社交シーズン中は忙しいけど、なるべく顔を出すわね」
「あー、はい、よろしくです」

 あっさりした人だ。
 よかった、エロ回避要員として彼とは友情を築いていこう。

「うーん、あなたの髪の手入れもしてみたいわね。サラサラでいいけれど、もっともっとよくなるから」
「本当に? じゃあ、お願いします!」

 2つ年上のセス。
 なぜか、敬語になっちゃうのはなんでだろうか。

「うん、髪洗ってあげるわ」
「……えーと、お風呂で、ですか?」
「うん、恥ずかしがらなくていいから。アタシは女性相手に仕事してるのよ? 気にしないで」
「はぁ……」

 女同士と思えばいいのかな。
 友達同士でも温泉とか恥ずかしいと思う私にハードルが高い。
 でも、まぁ、セスに対しては攻めなくていいのかな?
 うん?
 でも彼を女性扱いするのだとしたらやっぱり私がたまには夜のおつきあいをしてあげないといけないのかな?
 そうじゃないと、セスがよそに彼氏作って浮気になるよね?
 この世界は浮気は合法なのかな……うーん、もっと親しくなったら訊こう。


 
 



「一緒に入ったほうが効率がいいわよね」
「……あ、はい」

 一緒に風呂とか、頷いちゃったけど。
 とりあえず、大きなタオルを身体にしっかり巻いて浴室に向かう。
 扉を開けるとほわんとフローラル系のいい香りがした。
 先に湯船に浸かっていたセスが手をひらひらさせて私を呼ぶ。

「あらあら、タオルなんて巻かなくてもいいのに。じゃあ、ここに座って。洗ってあげる」

 狭い空間に昨日知り合った人と裸のおつきあいに緊張する。
 タオルの胸元を落ちないようにもう一度押し込んでから座った。
 後ろで忍び笑いが聞こえた気がしたけどそれどころじゃない。
 恥ずかしい、なにこれ?
 タオルしか身を守るものがないんだよ?

「楽にしていて」

 浴槽から立ち上がったセスが私の背後に立つ。
 手櫛で髪をほぐして、頭皮のマッサージをしてくれる。

 気持ちいいな。
 さすが、髪結い師。
 ほっと息を吐くと首から肩にかけてまでマッサージしてくれる。

「リオナ、そのままじっとしていて」

 髪を濡らしてよく泡立てた石鹸で丁寧に洗ってくれる。
 ちょっとこれだけだとパサパサになってしまうんだけど、セス特製のオイル入りのトリートメントをして、タオルで巻いて浸透させている間に身体洗っちゃいなさいよって言われた。

「もぉっ、背中洗ってあげるから、タオルはずしちゃって!」

 しぶしぶとタオルを胸に押し当てて、背中をさらす。
 この浴室に鏡がなくてよかった。

「……背中、お願いします……でも恥ずかしいのであまりみないでください」
「わかったわよ」

 私も石鹸を泡立てて手早く身体を洗う。
 しばらく無言で無心になって洗っていたら、セスが頭のタオルを外した。

「そろそろ流していい?」
「あ、はい」

 勢いよく頭から流されてぎゅっと目をつぶる。
 意外と豪快だな。
 地肌を触る手は丁寧で優しいけど。
 人にやってもらうって気持ちいい。

「あぁ、ちょっと欲しくなっちゃったな」

 ほんの少し低い声が私の耳に届いた後、ガブリと首に噛みつかれた。

「ぎゃっ!」
「かわいくない声ねぇ。もっと色っぽく喘ぎなさいよ」

 いえ、結構です。
 恐る恐る振り返る。

「セス、さん? なにを?」
「味見?」
「セスさんは、男の人が好きな人でしょ、う?」

 ここに来て私の勘違い?

「男も嫌いじゃないけどね? 女が好きよ……きっと誤解してると思ったけど、もうこんなアタシを選んじゃったものね?」
「……そういうことするのも、女性とですか?」

 精神的に好きなのは女で、肉体的なことをするのは男って答えてくれないかな。

「どっちだと思う? 試してみたら?」

 そういう流れ⁉︎
 いや、いや、ちょっと風呂場で濡れ場は初心者にはつらい!

「とりあえず、少し暖まろうか」

 セスに抱えられて、背中を預けて湯船に沈む。
 このまま私が攻めないといけない流れ?
 メガネがない!
 あれがないと強気に攻められないのに!

「あの……よく見えないので、メガネ、とってきていいですか?」
「……どこをそんなにじっくりみたいのよ?」
「いえ、そういうわけでは……」

 変態じゃん、私!
 見たいナニかがあるわけじゃなくて。
 どうしたらいいの?

 お風呂で見たことのあるBLプレイ、えーと……洗いっこからの素股プレイ。
 いや無理でしょ。
 あとは、おもらしプレイ……無理、無理、無理!
 えーと、えーと、やばい、早くしないとのぼせちゃうよ。

「リオナ、なに考えてるの? アタシにゆだねてごらんなさい」

 後ろからすくい上げるように胸を包み、耳たぶを柔らかく食む。

「かわいい……ひと目見て気に入ったけど、選ばれるとは思わなかったわ。……最後まで責任とってちょうだいね?」

 私の脚の間にアレが当たる。
 これが解放されないと終わらないんだろうな。
 私は覚悟を決めると深呼吸して、一気に言った。

「じゃあ、私が挿れます!」
「…………へぇ、じゃあこっち向いて」

 ちょっと低い声で笑う。
 セスも整った顔立ちだけれど、女性的な柔らかい美しさを持っていて、お風呂で向かいあう彼はさらに色っぽい。
 
「いつでもどうぞ?」

 余裕そうな彼と違って、私は口から心臓が出そう。
 濁り湯でよかった。
 彼のアレに手を伸ばしてにぎり、脚の間に当てる。

「初めてだもの、ずっと目を見ていてよ。目線はずすのも、目を閉じるのもだめ」

 ちょっと泣きたくなる。
 どんな顔をしていいかわからないまま、少しずつ受け入れる。

 不慣れな上に湯船の中で、半分ほどアレを飲み込んだところで一気に体重を乗せた。
 見つめ合ったままでいることに耐えられなくなったから。

「……っ!」
「無茶、するわね……」
「……っはぁ、はぁ、はぁ……」

 ねっとりと唇が重なり舌を吸われる。

「セス?」

 私の中で彼が膨張した。
 ゴリゴリと奥に押しつけられて、思わず背中をそらす。

「イきそう? さっき目を閉じたからまだ我慢なさい」

 そう言いながら奥を攻める。
 私は連日の経験で快感がどういうものかおぼえてしまった。

「セス……それ、だめ……、イきそう……」
「仕方ないわね」

 そう言って私の腰を引き上げる。

「んっ……!」
「これじゃあ、私の上で踊ってもらえそうもないわね。今日はサービスよ」

 そう言って私の腰を引き寄せ、下から何度も強く突き上げた。
 私の身体はそれだけで絶頂に震える。

「~~~~っ!」
「……声も出ないくらい気持ちいいんだ? アタシが鍛えてあげるわ」
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