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猫背半透明

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牢獄番と金髪の魔女

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暗く湿った牢獄の中に、艶やかな喘ぎがこだまする。

不揃いな石の絨毯を舐めるように這う生ぬるい風が、松明の炎をぬらぬらと揺らす。

その光が壁に映し出した影は規則的な動きを繰り返し、その度に官能的な声を上げた。

犬のように這いつくばり犯されているのは、昨夜騎士団によって捕らえられた魔女だ。
明日この国の大衆の眼前で火あぶりの刑に処せられることになっている。
柔らかな金髪を短く切りそろえた端正な顔立ちの女で、体の線は細いが、出ている所は出ている、上玉だった。

魔女の尻肉を鷲掴みにして欲望を打ち付けているのは牢獄番の男。
眼鏡をかけた癖っ毛の小柄な男で、一見博識そうに見えるが、おおよそ騎士として必要な教養を何一つ習得していない。
騎士団長と裏の取引を行っていた父のコネを存分に使い騎士団に入団した男。

地下牢。そこは今まで投獄された者達と、戦による負傷や病などで前線を退き、番人にされた歴代の者達の無念が渦巻く、暗く血生臭い忌むべき場所。
日が沈むと、誰もここには近づかない。

「本当に役得だよな。ここには何のしがらみも無い」

男はこの場所での仕事を、自分の天職だと思っている。
男は生まれつき他者を傷つけるのが好きだった。
弱い者を虐げるのは当然のことだが、自分より身分や力が上の者に対しては周到に立ち回り、失脚させることにも至上の喜びを見出していた。
その才能を活かせば、騎士団の中でもそれなりの地位まで上り詰めることが出来たようなものの、男はそれをしなかった。
規則に縛られず、持って生まれた嗜虐心を存分に満たせる場所を探した。
その結果、この地下牢の番人という役職に巡り合ったのだ。

「たまにさ、夢なんじゃないかって思うんだ」

ぶつぶつと呟きながら、男が陶器のような魔女の身体に指を這わせる。
眼下でうねる魔女の肉体が、幻想ではないことを確かめるように。

「ところで、そんなに良いのか?騎士の風上にも置けない俺のような屑に犯されるのが?」

「な、何を馬鹿なことを・・・っ・・・」

魔女が体をひねり男を睨む。剃刀のように鋭くなった深紅の瞳。そこに松明の炎が映り込み、魔女がさも激昂しているように見せるが、男にはそれが仮初のものだと分かっていた。

「あんた、嘘ついてるよ?」

「嘘などでは・・・ありま・・せん!」

「ほお、そうかい。じゃあこのやらしい音は何だ?何故鳴っている?俺はさっきから、一寸たりとも腰を動かしてないんだけどな?」

「えっ・・・・・・」

魔女の目が大きく見開らかれた。
瞳はみるみる羞恥の色に染まり、顔を背けて口ごもる。
しかし、静寂は訪れない。
以前、響き続ける肉と肉のぶつかる音。
魔女は相変わらず尻を前後に揺すっている。
止めなきゃ、止めなきゃ、止めなきゃ・・・・・・。

全くの無意識だった。
欲望をぶつけていたのは男の方ではなく、自分の方だったのだ。
それを男に指摘されるまで気づけなかった悔しさと、怒り。
歯を食いしばり、両の手に力を込めて、魔女はようやく動きを止めた。
しかし、貪っていた快楽が断たれた損失感と、それを再び求める疼きが、魔女の身体を艶めかしく波打たせた。

「よく止めたな。えらいえらい。」

男が魔女の耳元で嘲る。
耳の背中を男が舐め上げると、魔女は荒い息を吐いて震えた。

「でも、辛いだろう?さっきまであんなに夢中になっていたんだからな」

男が魔女の乳房を手の平で包み込む。隆起した先端を淡い力でさすると、泣き声にも似た喘ぎが漏れた。
それと同時に、中がくっと狭くなる。

「ここは、ありとあらゆる邪悪の吹き溜まり。ありとあらゆる善から目を背けられ、迫害された物が閉じ込められる場所。だぁれも俺達のことなんか見ちゃいないぜ?」

「悔しいよな?情けないよな?次から次へと認めたくない感情が溢れてくるだろ?そんなのはさ、ここに吐き出して捨てていけば良いんだよ。ここには誰の声も届かない。ここには誰の心も届かない。その逆も然り、ここから外へも何も届かない。だからさ、解放しちまえよ。全部」

男の囁きが、じんわりと耳に溶けていく。
危険だ。この男の言葉をこれ以上聞いていてはいけない。と魔女は思った。
ただの落ちこぼれの牢獄番だとみくびっていたが、そうではなかった。
この男の声には、魔力が宿っている。
人の弱みに付け込み精神をゆるゆると溶かし、破滅へと誘う恐ろしい魔法。

「お願い・・・もう、やめて・・・」

それが理解できたところで、いまさら魔女にできることはなかった。

ただ涙をこぼしながら男に懇願することしかできない。

「何を、どこに、どうするのをやめてほしいのか、具体的に言われなきゃわかんねえよ?」

男が上体を起こし、魔女の腰に手を添える。

「やめて・・・これ以外なら何でもするから、最後まで、人でいさせて・・・これ以上続けられたらおかしくなる・・・私は、獣になんてなりたくない」

むせび泣きながら魔女が絞り出した言葉は、男の嗜虐心に薪をくべただけだった。
やだね、と言った後、男が膨れ上がった物を根元まで突き入れた。

「あっ!ああああああ!」

先ほどまでとはまるで質の違う快感が、魔女の身体を突き抜けた。
頭の中がビリビリと痺れ、男が物を突き入れる度に松明の炎が雷光のように輝いて見える。

「あっ!・・・あうっ!・・・くはあ・・・」

女の声が聞こえる。
だらしなく、汚れた、知性のかけらもない醜い喘ぎ。
誰の声だ?誰の声だ?誰の声だ?

「もっとだ、抑えるな。吐き出せ」

乾いた音が獄内に響いた。尻を叩かれた魔女が、ほとんど吐息のような悲鳴を上げる。
抽送の速度が、だんだんと増していく。
それに呼応するかのように魔女の声も大きくなっていく。

「そう、良い声だ」

不意に男が物を引き抜いた。
魔女の体が冷たい石畳に横たわる。
快楽の余韻が、魔女の体をびくびくと震わせている。
魔女が虚ろな瞳で男の顔を見る。

「そんな顔するなよ。終わりじゃないよ。今更おあずけは俺もしんどいしな」

男は魔女の身体を仰向けに寝かせると両膝をぐっと持ち上げて、再び魔女の秘部に突き入れた。
魔女の身体は何の迷いもなく男を招き入れ、その奥で男の物を強く抱きしめる。

突く度に弾む豊満な胸。
快感でくしゃくしゃになった顔。
赤く上気した身体。
それら全てをここから一望できる。
後ろから犯していたのは正解だった。
初めからこんな物を見せつけられたら、これほど長くは楽しめなかった。
自分の中から込み上げてくる終わりの予感を噛み締めながら、男はそう思った。

腰の振れ幅が大きくなり、
男の口からも荒い息が漏れ始める。
男は身体をぴったりと重ねると、だらしなく開いた魔女の口に舌をねじ込んだ。
絡み合う舌と舌。
混ざり合う唾液と喘ぎ。
むせかえるような空気が獄内を埋め尽くしていく。

「あああ・・・・・・くる、何?・・・何これえ・・・」

魔女が爪を男の背中に食い込ませ、これ以上は重ならない身体を更に強く抱き寄せる。

男は腰の動きを更に加速させる。
魔女の恥部からは二人の体液が混ざりあったものが滴り、水たまりを作っていた。

「あああああ!イク・・・イク!っイクウウゥ!」

魔女の体が大きく跳ね、中が絞るように締まったのと同時に男も絶頂を迎えた。

魔女は光を失った虚ろな瞳で天井を見つめている。いや、もしかしたら意識を失っているのかもしれない。

男は吐液を最後の最後まで魔女の中に注ぎ切ってから、名残惜しそうに物を引き抜いた。



「醜き魔女に、裁きの炎を」

魔女のくくりつけられた十字架に、火が放たれる。
耳をつんざく魔女の叫びは、その国の城壁を超え、近隣の森の中までも響き渡ったと言う。
しかし、暗く湿った地下牢には、魔女の悲鳴は微塵も届かなかった。
男は、処刑を見に行かなかった。
群衆に分け隔てなく配られる悲鳴などに価値は無いと思ったからだ。
男は昨晩手に入れた。自分だけが聞けたであろう魔女の叫びを、喘ぎを。
それらを思い出しながら、男は次の獲物を待つ。

地下牢に、男の鼻歌だけが響く。
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