二十九の星 -後漢光武帝戦記-

真崎 雅樹

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第八章 新たな単于

第四十八話

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 春が来た。追放された老人、子供、傷病者らの家族が、雪山や湿地の近くに現れた。愛する人たちが冬を越えていることを信じ、衣服と食糧を用意して山の麓、湖沼の畔に野営した。十日が過ぎ、二十日が過ぎ、三十日が過ぎた。追放された者たちは誰も帰らず、帰りを待ち続けていた者たちが一騎、二騎と去り始めた。高山の氷雪が融け、乾いた荒野に河川が出現した。子を連れた胡羚羊が河川の畔に群れた。生還を信じて待ち続けていた者たちの多くが、気持ちを整理して草原へ馬首を向けた。

 山の麓で野営を続けていたうんの前に、云の友人の女が現れた。ようやく気持ちを整理できたことを、云の友人は云に伝えた。これまで一緒に待ち続けてくれたことを、云の友人は云に感謝した。不意に目から涙を流し、健康な体に産んでやれていれば、と自らを責める言葉を口にした。あなたのせいではない、と云は友人の体を抱きしめた。

 山の嶺の向こうに陽が落ちた。生存者が見つけてくれることを期待し、云は乾燥させた家畜の糞に火を点けた。炎の傍に座り、胡琴ウードを掴んだ。生存者の耳に届くことを願い、胡琴を弾いた。云の後ろでは、人を乗せられる大きさに成長した鷲馬ヒポグリフが寝そべり、云の背中を見つめていた。少し離れた場所では、三頭の槖駝ラクダと七頭の羊が身を寄せ合い、暗闇に耳を澄ましていた。

 夜が更けた。手指を休ませるために、云は胡琴を置いた。馬乳酒の革袋に手を伸ばそうとした時、不意に鷲馬が体を起こした。鷲馬の緊張した面差しと、遅れて聞こえた羊たちの声で、暗闇に何か潜んでいることに云は気づいた。右手で矢を、左手で弓を取りながら誰何の声を発した。炎を背に暗闇へ弓を構えた。恐らくは狼であろうと思いながらも、もしかしたら、と矢を放つことを躊躇した。

 弦音が鳴り響いた。矢が風を切る音が暗闇を走り、一瞬の間を置いて狼の悲鳴らしきものが聞こえた。狼の気配が駆け去り、入れ替わるように馬蹄の音が近づいてきた。聞き覚えのある声を云は聞いた。

「云、無事か」

「叔父さま」

 火が、二の矢をつがえて馬を近づけてきた男、於粟置支侯おぞくちしこうかんを照らした。咸は顔を微笑ませて馬を下りた。

「射ることを躊躇していたな」

「もしかしたら人かも知れないと思いました。火を見つけて、近づいてきたのではないかと」

「気持ちはわかる。おれも、おまえがそこにいなければ矢を放てず、自らを危険に晒したかも知れない」

 咸は矢を矢箙へ戻した。咸の矢の鏃が鉄ではなく獣骨製であることに、云は気づいた。火の傍に腰を下ろした咸に云は訊ねた。

「南では、帝国の城塞を攻め落としたと聞きましたが、その後はどうですか?」

「いつも通りだ。攻め落としはしたが、すぐに放棄した」

 匈奴フンヌ軍は始建国しけんこく五年(西暦十三年)の再侵攻以降、騎兵の機動力を活かしてしん軍を翻弄し、大新だいしん帝国の辺境を荒らして局地的な勝利を積み重ねている。しかし、新軍よりも兵力が遥かに少なく、武器の原料である鉄も不足しているため、更なる攻勢を行うことが出来ずにいる。新軍の隙を衝いて城塞を奪取しても、防衛の負担が増すだけで有効に使えず、結局は放棄することを迫られている。

「戦えば戦うほどに、匈奴は費え、痩せ細る。何か手を打たなければ、我らは骨の鏃、石の径路刀アキナスで、帝国と戦うことになるだろう」

 風が火を掻くように吹いた。炎が倒れて小さくなり、辺りが暗闇に沈みかけた。風が弱まり、炎が大きさを取り戻した。炎に赤く照らされた地面の上に、云は腰を下ろした。弓を横に置き、胡琴を掴んで引き寄せた時、咸が顔を微笑ませた。

王昭君おうしょうくんが、生き返ったのかと思った」

「え?」

「おまえが胡琴を弾いている様が遠目に見えた時、王昭君がいると思った。あの人も、よく胡琴を弾いていた」

 胡琴は絲綢の路シルクロードの西部、メソポタミア地方で生まれたとされる撥弦楽器で、半球形の胴に棹が付いており、棹の先端から胴に張られた十本前後の弦を、鳥の羽軸の撥で弾いて演奏する。王昭君は単于ぜんうに嫁いだ時、漢帝国から琴を持参していたが、大型の楽器である琴は遊牧民の移動生活に適しておらず、琴に触れられない日が長く続いた。そのことを単于は不憫に思い、馬上でも演奏可能な胡琴を王昭君へ贈り、琴の代替として用いるよう勧めた。当時、胡琴は西方から伝来したばかりの珍しい楽器で、その音色を知る匈奴人は限られていたが、王昭君が馬上で胡琴を弾く姿が単于の周辺で評判となり、我も我もと女たちが競うように胡琴を弾き始めた結果、遊牧民の楽器といえば胡琴、と誰もが思うほどに匈奴単于国に定着した。

「今でも、目を閉じれば思い出す。胡琴を弾く、あの人の姿を。あの人が奏でる胡琴の音が、耳の奥に蘇る」

「わたしもです」

「帝国から帰ってからだな、おまえが胡琴を弾くようになったのは」

「帝国にいた時、母の故郷へ行きました。見たこともない大きな船に乗り、見たこともない大きな川を渡りました。母を知る老人たちから、母の話を聞きました。母が弾いていた曲が、母の故郷の歌であることを知りました」

 胡琴の弦を、云は羽軸の撥で弾いた。夫の須卜当しゅぼくとうにしか話したことがない、生前の王昭君の記憶を、云は咸に話した。王昭君は単于国の公用語を僅かしか話せず、云と話す時でさえ通訳を間に入れていた。幼い云が王昭君を見上げて何か話すと、王昭君は通訳の方に顔を向けた。通訳から云の言葉を聞き、云への言葉を通訳に話した。その間、王昭君の目が云に向けられることはなく、まるで自分が母に無視されているように云は感じた。通訳の口から聞く母の言葉は、母の言葉ではないように聞こえた。

「わたしは、母が好きではありませんでした」

 流れるように、云は胡琴を弾く手を動かし続けた。

「母を好きになれるよう、努力もしませんでした。わたしと母の間には、目には見えない長城のようなものがありました。でも、草原を離れて帝国へ、母の祖国へ行くことで、ほんの少しかも知れないけれど、見えない長城を崩せたような気がします」

 胡琴を弾く云の手を、火が照らした。咸の手が、乾燥させた家畜の糞を火に足した。揺らめく炎を瞳に映しながら昔語りを重ねた。重ねる内に、東の空が白み始めた。咸が弓を取り、腰を上げた。

「ここには、いつまで留まるつもりだ?」

「わたしが最後の一人になるまで、留まるつもりです。わたしは、匈奴の単于の娘ですから。匈奴の民の悲しみに、寄り添いたいと思うのです」

「そうか」

 咸は微笑んだ。馬に乗り、云に背を向けた。云は胡琴を置いて立ち上がり、数秒、逡巡した後、咸に呼びかけた。

とうのこと、聞きました」

 帝国に捕らえられていた咸の次男、登が帝都で処刑されたことである。

「登は勇者でした。登の魂は、冒頓ぼくとつ単于の御許に召されたはずです。どうか、気を落とさないでください」

「心配するな」

 咸は云を顧みた。

「おれは、大丈夫だ」

 無数の刀痕が刻まれた顔を、咸は柔らかく笑ませた。その笑顔が、云を帝国へ呼び寄せた老婦人、王政君おうせいくんの晩年のそれを、なぜか云に思い出させた。風が鳴り、火が揺れ、云の髪が揺れ、咸の顔が前へ戻された。咸の馬が脚を前に進めた。咸の頭上では、未だ星が銀の砂のように輝いていた。砂粒のように小さくなる咸の背を、云は目を大きくして見つめた。

 酷く、酷く嫌な予感がした。

 云の不安を察したように、鷲馬が身を起こした。鋭い眼差しを咸の背中へ向けながら、云の隣に並んだ。云は鷲馬の貌を見上げた。行こう、と鷲馬に言われている気がした。行こう、と頷き、鷲馬の背に手を置いた。鷲馬の背に跨り、気取られないよう距離を置いて咸を尾けた。

 風が咸の肩の上を過ぎ、次いで云の髪の横を過ぎた。咸の馬が地に蹄の跡を刻み、鷲馬が爪の跡と蹄の跡を刻んだ。咸は云に尾行されていることに気づかず、馬を前へ前へと進めた。胡鼠マーモットが地面の穴から頭を出し、すぐに穴の奥へ隠れた。胡鼠の巣穴の前を咸の馬が過ぎ、幾分か時を置いて鷲馬が過ぎた。雪解け水の川が前方に見えてきた。川に前を遮られ、咸の馬が脚を止めた。咸は馬から下り、労わるように数度、馬の首を軽く叩いた。川の方へ体を向き直らせ、足を進めた。氷雪のように冷たい川の中に、足を踏み入れた。ざぶ、ざぶ、と水を踏み、前へ進んだ。膝が水に浸かり、腰が川面の下に沈んだ。咸が何をしようとしているのか、云は気づいた。

「叔父さま」

 云は鷲馬を走らせた。咸は云に気づき、振り返りながら矢箙から矢を抜いた。

「来るな」

 鷲馬の上の云を狙い、咸は弓を構えた。

「来るな、云」

「叔父さま」

 云は川の際で鷲馬を止めた。

「いけません、叔父さま」

「死ぬべきだった」

 咸の両目から涙が溢れ出た。

「帝国に捕らえられた時、おれは死ぬべきだった。おれが死んでいれば、じょと登は死なずに済んだ」

「違います。それは違います」

「おれが、助と登を死なせたんだ」

 吼えるような慟哭が、咸の口から噴き出た。息子たちのために顔に刻みつけた傷が、裂けて開いて血を噴いた。

「おれは、酷い過ちを犯した。その過ちの全てを正すことは、もう不可能だ。しかし、ほんの少しなら、過ちを正すことが出来る。今こそ、過ちを正す時だ」

「叔父さま、聞いて。お願いだから、わたしの話を聞いて」

「最後に――」

 構えていた弓を、咸は横に投げ捨てた。

「最後に、よいものが見られた。王昭君に、再び会えた」

「叔父さま」

「ありがとう、云。あの人の分まで、幸せに生きろ」

「叔父さま、やめて」

「さらばだ」

 腰に帯びていた径路刀を、咸は抜いた。東の地平から滲み出るように朝陽が昇り、澄んだ光が大地の上に射し込んだ。咸の手に握られている径路刀が、陽の光を受けて輝いた。

 雪融け水の川の上流の方で、きら、と光が瞬いた。

 光に気づき、云は弾かれたように川の上流を見た。咸も光に気づき、反射的に川の上流に目を凝らした。きら、とまた光が瞬いた。云の目が大きく見開かれた。

「生きてた」

 まるで意思があるかのように、きら、きら、と光は繰り返し瞬いた。

「生きてた」

 あの光が、自分たちが何十日も待ち続けていた光であることを、云は直感した。命の選別に漏れ、化外の地へ追放された者たちが、冬を越えて草原へ帰還した。それを報せる光であると直感した。

「生きてた」

 云は川の上流へ鷲馬を向けた。朝陽に向けて径路刀を掲げ、下流へ歩を進める何者かの許へ、鷲馬を駆けさせた。

「生きてた。生きてた。生きてた」

「生きてた」

 咸も呟いた。新たな涙が、傷痕から噴き出た血を洗うように、咸の頬を流れ落ちた。両腕を振り、無我夢中で云の後を追いかけた。

「生きてた。生きてた。生きてた」

「生きてた」

 きら、きら、と朝陽を反射する径路刀の許に、云は駆けつけた。径路刀を掲げていたのは十歳を過ぎたくらいの少年で、五歳になるかならないかくらいの子供を背負い、産まれたばかりの仔馬のように歩いていた。云が鷲馬から下りると、仔馬のような少年は安堵したように気を失い、云の方へ倒れ込んだ。云は少年の体を抱き止め、抱きしめた。少年の背に負われていた子供の体も、諸共に抱き止め、抱きしめた。咸が朝陽を背に駆けつけてきた。仔馬のような少年の体を云から受け取り、両腕で抱え上げた。

「頑張れ」

 仔馬のような少年を励ましながら、咸は駆け出した。

「あの子供は、必ず助ける。だから、おまえも生きるんだ」

 朝陽の白く清らかな光が、血と涙で濡れた咸の顔と、少年が掴んで離さない径路刀を照らした。

「生きるんだ。生きるんだ。生きるんだ」

 咸の足が川の水を踏んだ。踏み散らされた水が陽を反射し、きらきらと咸の周りで煌めいた。

「生きろ」

 数日が過ぎた。化外の地から生還した者が保護されたことを知り、雪山の周辺で家族を待ち続けていた者たちが、次から次へと云の許に駆けつけた。家族のために用意していた物資を、今は目の前の命を救うことが先決だから、と躊躇うことなく云に提供した。更に数日が過ぎ、仔馬のような少年が死んだ。死の間際、雪山で行動を共にしていた数人の最期を、少年は云に伝えた。餓えた雪豹に素手で立ち向かい、共に断崖から転げ落ちた老人がいた。寒さで胸を病み、己の径路刀を少年に託した隻腕の戦士がいた。最後に、強く健やかな体に生まれることが出来ず、そのせいで迷惑をかけたことを、少年は母に詫びた。

 少年が死んだ日の夜、云は火の近くに座り込んでいる咸を見つけた。咸の顔には真新しい創傷があり、涙のように血が流れ出ていた。云が咸の近くに腰を下ろすと、少年に背負われていた子供の容態を、咸は云に訊ねた。容態が落ち着いたこと、今は他の者が看ていることを、云は咸に伝えた。そうか、と咸は微笑み、火の方へ目を戻した。

「また、死に損ねた」

 咸の顎の先から、ぽた、と血が滴り落ちた。乾燥させた家畜の糞を、云は小さくなりかけていた火に足した。

「あの時は、死ぬよりも大事なことがありましたから」

「そうだな」

「集まった人たちの中に、あの子供の家族はいませんでした」

「そうか」

「叔父さま」

「うん?」

「あの子の家族を、一緒に見つけましょう。それから、あの少年の遺族も。この径路刀も――」

 少年が隻腕の戦士から託された径路刀を、云は取り出した。

「――持ち主の遺族へ届けなければなりません」

「どれも、死ぬよりも大事なことだな」

「そうです」

「ずるいな、云は」

「そうかな」

「いつぞやの蘢城ろうじょう祭の時もそうだった。おれのことを嫌いになるぞと脅かして、おれを動揺させた」

「そういえば、そんなこともありましたね」

「云はずるいと、助も登も怒っていた。でも、そんな云のことが――」

 そんな云のことが、助も登も大好きだった。

 夜が明けた。少年の遺髪と径路刀を胸に、咸は先に発つ準備をした。朝の陽と風を頬で受けながら馬に乗り、彼方の空へ目を向けた。空も、風も、陽も、大地も、大地の上を走る胡鼠も、この世のものとは思えないほど美しく見えた。馬を走らせようとした時、鷲獅子の旗を翻して駆けてくる騎兵を見つけた。騎兵は朝の清しい景色の中を走り抜け、咸の馬の前に至ると、一つの重大な出来事を咸に報せた。

 烏珠留うしゅりゅう単于が、死んだ。
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