現世に馴染めなかった雪女は異世界転生でリミットブレイク

ざとういち

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雪女、初めての友達。

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翌日、私は鈴子ちゃんがふんわりと指定した時間に、彼女と出会った路地へ向かうのであった。

私は緊張していた。本当に来てくれるのだろうかと…。

「おっ!来た来た!
 雪ちゃん元気ー?」

彼女は昔からそう呼んでいたかのように私のことを雪ちゃんと呼ぶ…。

「は、はい…。元気です…。」

「なんかテンション低くない!?
 もっとアゲて行こうよー!」

「ほら!私からプレゼントあげるから!」

そう言うと彼女は何やら大きな袋からガサガサと何かを取り出した。

「じゃーん!どうこれ!?
 可愛くね?」

彼女は服を広げて見せていた。
ワンピースと彼女は呼んでいた。

「これノリで買ったは良いけど
 似合わなくてどうしようかと
 思ってたんだよねー!
 売るのもめんどくさいし!」

「捨てるのもあれだから
 雪ちゃんにあげるよ!」

「ほ、ほんとに良いの…?」

「いいって、いいって!
 そのかっこじゃ目立つじゃん!
 イメチェンよ!イメチェン!」

「あそこに公衆トイレあるから、
 さっそく着替えて来なよ!」

「う、うん…。」

私は言われるがまま白装束からワンピースに着替えた。サイズはぴったりだし、体が軽くて着心地も良かった。

私が公衆トイレから彼女の元へと戻ると…。

「うわっ!?かわいー!!
 超美少女じゃん!!
 雪ちゃんマジヤバイね!?」

「あ、ありがとう…!」

「笑顔もかわいー!
 雪ちゃん笑った方が良いって!」

「んじゃ、行こっか?」

「い…行くってどこへ…?」

「決まってんじゃん!
 遊びにだよー!」

そう言うと彼女は私の腕を掴んで街へと連れ出した。

私と鈴子ちゃんはゲーセンという場所でゲーム?で遊んだり、プリクラ?を撮ったり、ハンバーガーショップとやらでハンバーガーという物を食べるのであった。
私は物を食べなくても生きていけるので、物を食べること自体がほとんど初めてで、終始衝撃を受けていた…。

「さすがにそんなお金持ってないから
 あんま遊べなくてごめんねー!」

「そ、そんな…!ここまで
 いろいろしてもらっているのに…。」

そう。鈴子ちゃんはあまりにも私に親切すぎるのだ。それがずっと引っ掛かっていた。

「…なんでここまで良くしてくれるの?」

私は恐る恐る彼女に尋ねた。

「あ…。えと、うーん…。」

終始明るい彼女が初めて見せる曇った表情。何か訳があるようだった。話しづらいなら話さなくても…と私は思ったが、彼女は口を開いた。

「友達と喧嘩…?してて…。」

「私のことがウザいんだって…。
 まいっちゃうよね。ほんと…。」

「だから寂しくてさ…!
 雪ちゃんで紛らわしちゃったの!
 ごめんね…!」

「…ううん。」

鈴子ちゃんは人間なのに、私と同じ気持ちを味わっているようであった…。

「お…お金は無理に
 使わなくて良いから…!」

「鈴子ちゃんが寂しいなら、
 私がずっとそばにいるよ…!?」

「雪ちゃん…!あんた…
 マジヤバイね…!」

鈴子ちゃんは涙目になって私を見つめていた…。
私たちは友達…。私は鈴子ちゃんと2人でいられるなら、それで良いと思った…。
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