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寅吉がやって来たのは次の日の夜だった。ウトウトしていたら枕元から声がする。
「尚子さんよ、話は聞いた」
あわてて飛び起きた。クロがちゃんと知らせてくれたのだ。寅吉がいつの間にか布団のすぐそばに座っていた。クロはその隣に慎ましやかに座っている。
「こんばんは。よくいらしてくださいました」
正座をして挨拶をしたら、クロがくすり、と笑った。
「そんなに固くならなくてもいいのよ」
「あ、はい。ありがとうございます」
この二匹の前だと、なんだか敬語になってしまう。猫とはいえ、二匹ともやっぱり大人の雰囲気がただよっている。野良猫として生きてきて夫婦になって、色々な経験をしているのだろうなあ、と思うと、つい、かしこまってしまうのだ。
「あの、ええと、そのう、皆さんに手術を受けて頂くことになるかもしれません」
「ああ、タマを抜く手術だな」
もごもごと口ごもっていたらトラが言ってくれた。助かった。やっぱりこの方々は賢い。
「本当は自然のまま、にしておきたいのですけれど。雑種の子猫は貰い手がなかなか見つからないんです」
「それにね、」
クロが初めて口を開いた。
「今時分は野良として生きるのは難しいんですよ。地域猫にせよ、飼い猫にせよ、去勢避妊手術は避けられないんです。私たちは繁殖力がありますからね。増えすぎると捕獲されて殺処分が待ってます。最近は終生家の中、っていう飼い方が主流だし。猫に盛りがつくと人間は困るのよ」
雄は所かまわずマーキングをする。発情期がくると、雄も雌も外に出してくれ、と腹から絞り出すような独特の大声で一晩中、鳴き続ける。雄は雌を取り合うためには流血戦も厭わない。とばっちりを受けると、雌猫だって大怪我をする。盛りがついた猫は野生動物になるのだ。
「外には出してもらえないのか?」
「ええ。排泄物をよそ様の家でしてはいけませんからね」
寅吉は驚いたらしく、目を剥いた。
「なんてぇ世の中だ。道理で最近仲間の姿を見なくなったはずだ」
「事故に遭う心配もあるでしょう。血統書のついた仲間は盗難にあう事もあるし。犬のようにリードを付けて散歩に連れて行ってもらえる猫もいますけど、ごく少数よ」
言いづらいことをクロがみんな説明してくれた。人間の都合で、特に都市部ではこんな飼い方をせざるを得ないのだ。本当に申し訳ない。
「こうやって自由に外に出られるのは、尚子さんのおかげなんですよ。子供たちにも、公園の砂場や人様の庭で粗相をしないよう、教えてありますしね」
そう言って、クロは自分の首輪を寅吉に見せた。
「むうぅ」
寅吉は考え込んでいる。その時だ。子猫たちが起きてきた。
「あ、父ちゃんだ!」
寅吉二号が真っ先に駆け寄ってきた。クロ(♀)も走り寄ってきた。クロ(♂)はもじもじと寅吉に挨拶をした。この子は三匹のなかで一番小さくて、シャイだ。二号はヤンチャ、クロ(♀)もお転婆で、クロ(♂)は猫レスリングでは負けてばかりいる。
「おう、元気だったか。久しぶりだ」
二匹がむしゃぶりついてきた。寅吉は鷹揚に二匹の相手をしながら、クロ(♂)をよんだ。
「ほら、お前もかかってこい。猫たるもの、身体を鍛えないといかんぞ。そうでないと、獲物も獲れねぇ。俺が相手をしてやる」
二号とクロ(♀)は興奮して、身体の毛が逆立っている。いつの間にか二匹でプロレスだ。クロ(♀)は二号に抱え込まれ後ろ足のキックを受けたが、果敢に応戦し、あっという間に上下が入れ替わった。
「そうだ。いいぞ。もっと思いきり蹴ってこい。そうだ、ほれ、油断するな」
寅吉はさっと身をかわすと、爪をひっこめたまま、クロ(♂)を猫パンチで転がした。ひとしきり遊んだ子猫たちは、お腹をひくひくさせて息を切らせている。寅吉は流石に余裕だ。
「貴方がトラックに轢かれたのも、ケンカのせいでしょう?」
「う、まぁな」
そういうと、寅吉はうつむいた。寅吉はクロにちょっかいを出そうとした若い雄猫を追い払おうとした。夢中で後を追いかけて、島崎の目の前で事故にあったのだ。
寅吉はトラックにはねられた。即死だった。事故のことをを話すとき、島崎は目を伏せて唇を震わせていた。
「島崎さん、事故のこと、話してくれました」
「あいつには、申し訳ないことをした……」
今まで偉そうにしていた寅吉がうなだれた。そんな寅吉をクロは静かに見つめている。まったくしょうがない人なんだから、とでも言っているようだった。
「私は手術を受けようと思いますよ。ずっと、ここで暮らすために」
クロがきっぱりと言った。
「こいつらは?」
子猫たちは、キョトンとした顔をして、両親の顔を見比べている。
「私から説明しますわ」
そういうと、クロは子猫たちの方にむきなおった。
「これから大切な話をするから、よくおきき」
クロは静かな声で話し始めた。
「お前たちが大きくなったら、心の中から声が聞こえるの。この家を出て、外で生きろ。生き物としての義務を全うせねばならん、ってね」
「僕、嫌だよ。このお家で、ずっとみんなと一緒にいたい」
「そんな声、無視すればいいじゃないか。尚子の家にいたら、ご飯の美味しいし、あったかい寝床もある。外で前みたいな生活をするのはごめんだ」
寅吉二号が言った。
「そうよ、そうよ。そんな声、知らん顔してればいいじゃない。お腹が空くのも、雨とか雪に濡れて震えるのも、もういや」
「その声はね、とっても強い力があって、言うことを聞かないわけにはいかないの。父さんがトラックに轢かれたのも、その声のせいなのよ」
交尾をして子孫を残す。野生動物になった猫はその目的のために邁進するのだ。生半可なことでは抗えない。
「しゅじゅつ、を受ければ今まで通り、暮らせるの?」
「お母さんも、しゅじゅつ、するの?」
子猫たちが口々にクロにたずねた。
「ええ」
クロは微笑みながら答えた。
「しゅじゅつって、痛いの?」
「大丈夫。そうよね、尚子さん?」
クロが振り返った。
「もちろん、大丈夫。眠っている間に手術は終わるわ」
私もクロを見習って、にこりとして子猫たちに頷いてみせた。
「あと、マイクロチップを貴方たちにつけたいの。いいかしら?」
飼い主の住所、電話番号、名前といった情報の入ったマイクロチップをいれる。ごく小さなものだから、身体への負担はないそうだ。首輪は飼いネコだとすぐ分かって便利だが、猫用の首輪は、枝に引っかかったりしたときにすぐ外れるようになっている。そんなとき、迷子や事故にあったらどこの家の猫か分からなくなってしまう。保健所にいってしまったとしても、マイクロチップを装着していればすぐに自分の猫を見つけることができるのだ。
「チップの装着も、手術の時に済ませてしまえばいいわ」
私の説明を聞いていた四匹は、大きく頷いた。
「母さんみたいな、首輪がほしいな。私はピンクがいいの」
「僕も!」
「俺も!」
手術の話がすんなりと決まって、安心した。何があってもこの親子の自由と安全を守らないといけない。自分がこの四つの命を守るのだ、と思うと背筋が伸びるような心地がした。
明日は早速、子供たちの首輪を買いに行かないと。ピンクがいい、と言った彼女の顔を思い出すと口元が緩んでしまう。お転婆だけど、やっぱり女の子なのだ。
今日はクロ親子の手術をする日だ。四匹を一度に手術するのは無理なので、二匹ずつ、獣医に連れて行くことにした。はじめはクロとクロ(♂)。次の日が寅吉二号とクロ(♀)。クロが、先ずは母さんからね、と言って、甘えん坊のクロ(♂)が、お母さんと一緒じゃなきゃいやだ、と駄々をこねたので、こういう組み合わせになった。寅吉二号は頼もしく、俺が妹を守る、と宣言したが、小さな尻尾がピリピリと震えていた。寅吉二号だって、緊張して怖かったに違いない。
池をぐるり回った反対側に獣医がある。獣医師の池上は、びっくりするようなイケメンだ。サラサラで長めの黒髪を後ろで束ねている。ここで開業して、十年ほどになるそうだ。奥さんが会計その他を手伝っている。奥さんはくせっ毛でショートカット。いつも朗らかで、楽しいことを計画しているかのようにハシバミ色の眼がきらきらとしている。彼女がいるだけで、診察室の照明まで明るくなるような心地がする。沈鬱な顔で診察にきた飼い主も、帰る頃には表情が和らいでいる。佳子さんの話によると、先生には娘と息子がいるそうだ。診察室のデスクの片隅に家族写真が額に入れて飾ってあるのだが、両親によく似て、可愛らしい子供たちだった。
クロ親子は状況がよく分かっているので、診察中もじっと動かずに我慢している。クロ親子がもと野良だったと知っている池上は、しきりに感心している。お尻に体温計を差し込んだり、口の中をチェックしたりと、野良猫なら大暴れするだろうに、何をされてもクロは大人しい。母親を見習って、クロ(♂)もとてもいい子だ。
「大人しいですね。珍しいんですよ、ネコちゃんでここまでいいコなのは。状況が分かっているみたいですね」
「クロは賢い猫みたい。子猫たちもお行儀がいいし。親子を引き取って、あたり、でした」
飼い猫を褒められて、悪い気はしない。
「今日の夕方頃に、お迎えに来てください。その頃なら、麻酔もしっかり覚めていますから。なあに、二匹とも、健康ですから、心配はいりませんよ。大丈夫、おまかせください」
池上が笑顔で言った。人様の旦那さんなのだが、こんな笑顔を向けられたら誰だって心拍数があがる。佳子さんイチオシなのは先生のテクニックだけではないに違いない。
「尚子さんよ、話は聞いた」
あわてて飛び起きた。クロがちゃんと知らせてくれたのだ。寅吉がいつの間にか布団のすぐそばに座っていた。クロはその隣に慎ましやかに座っている。
「こんばんは。よくいらしてくださいました」
正座をして挨拶をしたら、クロがくすり、と笑った。
「そんなに固くならなくてもいいのよ」
「あ、はい。ありがとうございます」
この二匹の前だと、なんだか敬語になってしまう。猫とはいえ、二匹ともやっぱり大人の雰囲気がただよっている。野良猫として生きてきて夫婦になって、色々な経験をしているのだろうなあ、と思うと、つい、かしこまってしまうのだ。
「あの、ええと、そのう、皆さんに手術を受けて頂くことになるかもしれません」
「ああ、タマを抜く手術だな」
もごもごと口ごもっていたらトラが言ってくれた。助かった。やっぱりこの方々は賢い。
「本当は自然のまま、にしておきたいのですけれど。雑種の子猫は貰い手がなかなか見つからないんです」
「それにね、」
クロが初めて口を開いた。
「今時分は野良として生きるのは難しいんですよ。地域猫にせよ、飼い猫にせよ、去勢避妊手術は避けられないんです。私たちは繁殖力がありますからね。増えすぎると捕獲されて殺処分が待ってます。最近は終生家の中、っていう飼い方が主流だし。猫に盛りがつくと人間は困るのよ」
雄は所かまわずマーキングをする。発情期がくると、雄も雌も外に出してくれ、と腹から絞り出すような独特の大声で一晩中、鳴き続ける。雄は雌を取り合うためには流血戦も厭わない。とばっちりを受けると、雌猫だって大怪我をする。盛りがついた猫は野生動物になるのだ。
「外には出してもらえないのか?」
「ええ。排泄物をよそ様の家でしてはいけませんからね」
寅吉は驚いたらしく、目を剥いた。
「なんてぇ世の中だ。道理で最近仲間の姿を見なくなったはずだ」
「事故に遭う心配もあるでしょう。血統書のついた仲間は盗難にあう事もあるし。犬のようにリードを付けて散歩に連れて行ってもらえる猫もいますけど、ごく少数よ」
言いづらいことをクロがみんな説明してくれた。人間の都合で、特に都市部ではこんな飼い方をせざるを得ないのだ。本当に申し訳ない。
「こうやって自由に外に出られるのは、尚子さんのおかげなんですよ。子供たちにも、公園の砂場や人様の庭で粗相をしないよう、教えてありますしね」
そう言って、クロは自分の首輪を寅吉に見せた。
「むうぅ」
寅吉は考え込んでいる。その時だ。子猫たちが起きてきた。
「あ、父ちゃんだ!」
寅吉二号が真っ先に駆け寄ってきた。クロ(♀)も走り寄ってきた。クロ(♂)はもじもじと寅吉に挨拶をした。この子は三匹のなかで一番小さくて、シャイだ。二号はヤンチャ、クロ(♀)もお転婆で、クロ(♂)は猫レスリングでは負けてばかりいる。
「おう、元気だったか。久しぶりだ」
二匹がむしゃぶりついてきた。寅吉は鷹揚に二匹の相手をしながら、クロ(♂)をよんだ。
「ほら、お前もかかってこい。猫たるもの、身体を鍛えないといかんぞ。そうでないと、獲物も獲れねぇ。俺が相手をしてやる」
二号とクロ(♀)は興奮して、身体の毛が逆立っている。いつの間にか二匹でプロレスだ。クロ(♀)は二号に抱え込まれ後ろ足のキックを受けたが、果敢に応戦し、あっという間に上下が入れ替わった。
「そうだ。いいぞ。もっと思いきり蹴ってこい。そうだ、ほれ、油断するな」
寅吉はさっと身をかわすと、爪をひっこめたまま、クロ(♂)を猫パンチで転がした。ひとしきり遊んだ子猫たちは、お腹をひくひくさせて息を切らせている。寅吉は流石に余裕だ。
「貴方がトラックに轢かれたのも、ケンカのせいでしょう?」
「う、まぁな」
そういうと、寅吉はうつむいた。寅吉はクロにちょっかいを出そうとした若い雄猫を追い払おうとした。夢中で後を追いかけて、島崎の目の前で事故にあったのだ。
寅吉はトラックにはねられた。即死だった。事故のことをを話すとき、島崎は目を伏せて唇を震わせていた。
「島崎さん、事故のこと、話してくれました」
「あいつには、申し訳ないことをした……」
今まで偉そうにしていた寅吉がうなだれた。そんな寅吉をクロは静かに見つめている。まったくしょうがない人なんだから、とでも言っているようだった。
「私は手術を受けようと思いますよ。ずっと、ここで暮らすために」
クロがきっぱりと言った。
「こいつらは?」
子猫たちは、キョトンとした顔をして、両親の顔を見比べている。
「私から説明しますわ」
そういうと、クロは子猫たちの方にむきなおった。
「これから大切な話をするから、よくおきき」
クロは静かな声で話し始めた。
「お前たちが大きくなったら、心の中から声が聞こえるの。この家を出て、外で生きろ。生き物としての義務を全うせねばならん、ってね」
「僕、嫌だよ。このお家で、ずっとみんなと一緒にいたい」
「そんな声、無視すればいいじゃないか。尚子の家にいたら、ご飯の美味しいし、あったかい寝床もある。外で前みたいな生活をするのはごめんだ」
寅吉二号が言った。
「そうよ、そうよ。そんな声、知らん顔してればいいじゃない。お腹が空くのも、雨とか雪に濡れて震えるのも、もういや」
「その声はね、とっても強い力があって、言うことを聞かないわけにはいかないの。父さんがトラックに轢かれたのも、その声のせいなのよ」
交尾をして子孫を残す。野生動物になった猫はその目的のために邁進するのだ。生半可なことでは抗えない。
「しゅじゅつ、を受ければ今まで通り、暮らせるの?」
「お母さんも、しゅじゅつ、するの?」
子猫たちが口々にクロにたずねた。
「ええ」
クロは微笑みながら答えた。
「しゅじゅつって、痛いの?」
「大丈夫。そうよね、尚子さん?」
クロが振り返った。
「もちろん、大丈夫。眠っている間に手術は終わるわ」
私もクロを見習って、にこりとして子猫たちに頷いてみせた。
「あと、マイクロチップを貴方たちにつけたいの。いいかしら?」
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「チップの装着も、手術の時に済ませてしまえばいいわ」
私の説明を聞いていた四匹は、大きく頷いた。
「母さんみたいな、首輪がほしいな。私はピンクがいいの」
「僕も!」
「俺も!」
手術の話がすんなりと決まって、安心した。何があってもこの親子の自由と安全を守らないといけない。自分がこの四つの命を守るのだ、と思うと背筋が伸びるような心地がした。
明日は早速、子供たちの首輪を買いに行かないと。ピンクがいい、と言った彼女の顔を思い出すと口元が緩んでしまう。お転婆だけど、やっぱり女の子なのだ。
今日はクロ親子の手術をする日だ。四匹を一度に手術するのは無理なので、二匹ずつ、獣医に連れて行くことにした。はじめはクロとクロ(♂)。次の日が寅吉二号とクロ(♀)。クロが、先ずは母さんからね、と言って、甘えん坊のクロ(♂)が、お母さんと一緒じゃなきゃいやだ、と駄々をこねたので、こういう組み合わせになった。寅吉二号は頼もしく、俺が妹を守る、と宣言したが、小さな尻尾がピリピリと震えていた。寅吉二号だって、緊張して怖かったに違いない。
池をぐるり回った反対側に獣医がある。獣医師の池上は、びっくりするようなイケメンだ。サラサラで長めの黒髪を後ろで束ねている。ここで開業して、十年ほどになるそうだ。奥さんが会計その他を手伝っている。奥さんはくせっ毛でショートカット。いつも朗らかで、楽しいことを計画しているかのようにハシバミ色の眼がきらきらとしている。彼女がいるだけで、診察室の照明まで明るくなるような心地がする。沈鬱な顔で診察にきた飼い主も、帰る頃には表情が和らいでいる。佳子さんの話によると、先生には娘と息子がいるそうだ。診察室のデスクの片隅に家族写真が額に入れて飾ってあるのだが、両親によく似て、可愛らしい子供たちだった。
クロ親子は状況がよく分かっているので、診察中もじっと動かずに我慢している。クロ親子がもと野良だったと知っている池上は、しきりに感心している。お尻に体温計を差し込んだり、口の中をチェックしたりと、野良猫なら大暴れするだろうに、何をされてもクロは大人しい。母親を見習って、クロ(♂)もとてもいい子だ。
「大人しいですね。珍しいんですよ、ネコちゃんでここまでいいコなのは。状況が分かっているみたいですね」
「クロは賢い猫みたい。子猫たちもお行儀がいいし。親子を引き取って、あたり、でした」
飼い猫を褒められて、悪い気はしない。
「今日の夕方頃に、お迎えに来てください。その頃なら、麻酔もしっかり覚めていますから。なあに、二匹とも、健康ですから、心配はいりませんよ。大丈夫、おまかせください」
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