あの日あの雨さえ降らなければ

すみ

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プロローグ

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 歩道橋の上で、神崎秋夜を待ち伏せしていた。

 私と秋夜は、まだ出会ってすらいない。それでも私は、被っていた帽子のつばを、目線ギリギリまでさげた。できれば左目の眼帯を見られたくない。
 面識はなくとも、ちょっとした特徴で彼の印象に残るわけにはいかなかった。

 分厚い雲が上空に留まり、今にも降り出しそうだ。私たちの始まりになる“硝子のお姫様”は、鞄の中にしまってある。
 
 あと少し。あとほんの少しで、また秋夜に会える。

 そう思うと、覚悟を決めた心臓が、締め付けられるように痛んだ。

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