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二.マジノ・ダンケルク
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翌日の土曜。休日出勤して夕方早めに会社からアパートに帰ってみると……まだ居た。しかもTVを見ながら、冷蔵庫から缶ビール出して勝手に飲んでやがる……
「ねえ、五十嵐さん。今日の朝言ったよね。あなたの準備が出来たら出てってくれって。女の子は朝の支度が大変なんだーとか言ってさんざん騒ぐから、鍵は下の郵便ポストでいいよーって預けたはずなんだけど?」
しかしデガラシは悪びれずに言う。
「まあ、堅い事言いなさんなって。でも田中君、定時帰りだとしてもずいぶん早くない? あっ、それから……そこの棚にあった焼き鳥の缶詰も頂戴したから!」
「あっ、それは俺の非常用おつまみ……はあ。まあいいです。ですが、今日は泊めませんからね。それ飲んだら出てって下さい!」
「えー。そこを何とかもう一声! ほらー。このへんならちょっと触ってもいいからさー。君のあこがれのダンケちゃんのおっぱいだよー」
そう言いながら、それほど大きくはない胸を前に突き出してくる。
「ふざけるな! どこがダンケちゃんだ! 全然似てないし……それにダンケちゃんならそんな事はしない!!」
「そんなに怒鳴らなくても……あれはアニメだし、かなり美化されちゃってるけど、私は正真正銘、本物のマジノ・ダンケルク!」
「まったく口から出まかせを……証拠はあるんですか? あー、あのインチキ魔法以外に」
「いや、証拠と言われてもねー。戸籍は多分、五十嵐かえでだし……そうだな。マジノ・リベルテの秘話とかじゃだめかな?」
「何を適当な。どうせブルーレイで覚えた知識とかでしょ!?」
「いやいやいや。本当の秘話。例えば……マジノ・アルデンヌは黒い半透けレースのパンティーしか履かないとか……」
「えっ!? マジ?」しまった! 思わず喰いついてしまった!!
「ふふふー。やっぱり男の子だねえ……マジノ・ノルマンディのネタもあるよ!」
「い、いや。俺、推しはダンケルクだから……」
「だからー。昔話でよければなんぼでもお話してあげるからさー。いっしょに飲も!!」そういいながら、デガラシは冷蔵庫から缶ビールを二本取り出し、一本を「ホイッ」と俺に押し付け、もう一本の口をプシュッと開け、おいしそうに一口飲んだ。
◇◇◇
「そんでね。さっきも言ったけど……アルデはもともと家がお金持ちで、めっちゃおしゃれなのよー。魔法少女ってさ。変身するとスカートの中があのフリフリで満たされてぱんつ見えないじゃん。なのに万一見えたら大変-って言って、いっつも超高級なやつを履いてた訳」
「へえー。でもアルデって、そんな感じですよね。インテリお嬢様キャラだし……だけど変身の時って、下着も飛び散るんじゃ?」
「いやいや。なぜか一度飛び散ってまた元に戻る! 衣装は替わるのにね。
そんな事、アニメじゃわかんないよね!」
結局、二人で缶ビールを何本空けたのか……冷蔵庫には結構入れてあったはずなんだが。話がマジノネタだった事もあり、俺も気分が良くなってきて、デガラシとすっかり話し込んでいた。
「そんでね。それと対象的に、ノルマは男兄弟が多くてさ。たまに男物のぱんつじゃね見たいなの履いてるの! 多分ああいうトランクスっぽいのが好きなんだよね。でも、私は普通のシマパンが好きかなー」
「はははは、ほんとだったらすげえ裏話っすね。でもマジノの三人って、そんなぱんつ見せあうくらいの仲なんですね」
「そりゃそうよ。最初はたまたまいっしょの中学だって事で知り合ったけど、あのハンザキに騙されて魔法少女になってさ。変身する度に着てるもんが一度はじけて、またくっつく過程を何度見たか……もう、お互いの体形も下着の好みもバレバレなのよ! 毛が生えるのだってアルデが一番早かったし……」
「はははは……でもハンザキって? そんなのアニメにいましたっけ?」
「ああ、さすがにそのまんまはグロいんで、アニメでは丸っちい妖精みたいな恰好してたけど、モノホンは白いオオサンショウウオみたいな奴なのよ。こう体長が80cmくらいあって、ヌチャッ、ヌチャッって歩くの。ノルマンディがもともと西の方出身で、ハンザキだって言ってた。あっちでは、オオサンショウウオをそう呼ぶんだって」
「ああ。妖精のクリムポンかな……そっか。あれがオオサンショウウオ……でも、何でそんなものが魔法少女を?」
「よくわかんない。なんか魔王が出現すると連動してあれも出てくるみたいよ。
でさ、田中君。もうビールが無いんだけど……それにお腹もすいた。おつまみももっとない?」
「あー、しょうがないなー。そんじゃ、明日は休みだし、秘蔵のやつ出しちゃおうかなー」俺はもうかなり酔っぱらっていて、ほとんど反射的に押し入れから一升瓶を取り出し、その脇に置いてあった乾きモノのツマミもテーブルに並べた。
そして……あれ? 俺、寝落ちしてた?
気が付くと、一升瓶は空になっていて、出したツマミもすでに全滅していた。
ありゃ、もうこんな時間か……風呂も行きそびれちまったな……などと考えながら頭をあげたら、目の前にデガラシの尻があった。どうやらこいつも寝落ちしたらしい。
「まいったな……結局、泊めちまった。でもこいつの話、面白かったな。まあ、かなりコアなマジノファンなのは間違いない。こいつが二次創作とかやったらウケるかもな」などと言いつつ、ついデガラシのぱんつの方に眼がいってしまう。
「いかんいかん。こんな盗み見る様なマネは男らしくない……って、あー!? ぱんつ!」俺が大きな声を出したせいで、デガラシが気が付いた様だ。
「なによー。何騒いでんの? 見る位は別にいいわよ……」
「そうじゃねえ! お前、なんで俺のぱんつ履いてるんだ!?」
「あー。これ? そりゃ、私のは三日前から履きっぱなしだったから、洗って窓の外に干してあるわ。ブラとTシャツはまだ我慢出来るけど、さすがにぱんつは……ちょっとくらい貸してくれてもいいでしょ? ちゃんと洗って返すからさ。それとも洗わない方がいい?」
なんか一気に酔いが醒めたのか、頭が痛くなったので流しで水を飲んだ。
「あー私にも水、頂戴」
デガラシが足元に這い寄ってくるので、仕方なく水を入れたコップを渡した。
「ふはー。蘇る……」デガラシが俺の足元で女の子座りしながら水を一気飲みした。
「あのさデガラシ……」
「はい? デガラシ?」
「あ、いやごめん。五十嵐なんだけど、なんか魔法少女の出がらし見たいな感じがしてて」
「はは…‥それいいかも。私は確かに出がらしだわ」
「ここまで話こんじゃったら、まあ、友達という事でいいんだけど……いつまでここにいるつもり?」
「それなんだけどさ。田中は私の熱心な信者みたいだし……手伝ってくれないかな?」
「手伝う? 何を?」
「私さ。魔王倒して魔法少女卒業してからずっと心が満たされていないの。何が足りないのかはよく分からないんだけど、人として大事なものが欠落しちゃってる様な気がしててね。それを探そうと思ってるんだ。だから、それを手伝ってくれる人を探していたの」
「……それって、自分探しって事? 魔王倒して燃え尽き症候群とかになってた?」
「まあ、そんなところかも。ある奴のアドバイスで、中卒で手にスキルの無い私でも風俗なら稼げるって言われて……まあ確かに最初は、デリヘルで処女ってさ。なんか貴重がられていたんだけど、二十歳過ぎたころから何か変に気味悪がられる様になってさ。ある日、突然指入れようとしてきた酔っ払いの指をへし折ってやったのよ。それでクビ! それで、それまで貯めたお金が五百万円位あったんだけど、これだけあれば一生海見ながら暮らせるよって、またある奴に言われて沖縄に移住したんだけど……」
「ちょっと待った! あんたに風俗や沖縄移住を勧めた奴って一体?」
「うん……ハンザキ」
うわー。マスコット妖精、じゃないオオサンショウウオ……かなり闇深くねえか?
「そっか。それでいよいよお金が無くなって、こっちに舞い戻ってきたと?」
「うーん。お金が無かったのはもう数年前からよ。でも海で魚獲ったりしてなんとか暮らせていたの。それでずっと海見ながら考えてた。私の人生ってずっとこんななのかなーって」
「ちなみに、両親とか親戚とかは?」
「そんなのいないよ。それは魔法少女になる前からそうだった」
「ああ、そうなんだ。まあそれじゃそのへんの事情は深くは聞かないよ。でもそっか。あんたはあんたなりに悩んで苦労してきたって訳だ……わかった。それじゃこうしよう。俺も普通に仕事があるサラリーマンだから、あんたの自分探しをいつも手伝ってやるのは難しいと思う。だけど、あんたが自分でなんとかするってんなら、当面、ここにいてもいいよ。しかし……タダ飯はダメだ。金も何とかして自分で稼げ!」
「えー。でもありがと。助かる……アルバイトは蒲田とか川崎でいいかな?」
「あのー。俺の夢が壊れるんで、風俗はやめてね。別に家賃まで寄こせとは言わんので、自分の食費位ならコンビニでもファミレスでも、バイトで稼げるでしょ」
「わかった。田中がそう言うならそうする」おっ、なんか意外と素直だな。
「でも、お金なくて、よく東京に来られたな」
「ああ。最初は泳ごうかと思ったんだけど、奄美に着く前にお腹空いちゃったんで、考え直して旅客機の車輪にへばりついて羽田まで来たんだ!」
マジかよ。まったくどこまでが本当でどっからがホラなのか……
「それで……自分探しの当面の方針はなんかあるの?」
「うん。昔の仲間に会ってみようかなって思って。
こっちに出て来た理由もそれが大きいかな」
「仲間って……アルデンヌとノルマンディ?」
「そう。それに……あと、カルカチュアの幹部とかにも会ってみたい」
カルカチュアというのは、魔王を擁していた悪の組織だな。
はは。実在しているなら俺も会ってみたい……
「そっか。それじゃ俺、明日は休みなんで、取り合えずいっしょに買い物行こうな。おまえのぱんつ買いに……金は少しなら貸してやるから、後で返してくれ」
「あー。ご奉仕で返すのは? 手でも口でも……」
「それは……なし!」
「ねえ、五十嵐さん。今日の朝言ったよね。あなたの準備が出来たら出てってくれって。女の子は朝の支度が大変なんだーとか言ってさんざん騒ぐから、鍵は下の郵便ポストでいいよーって預けたはずなんだけど?」
しかしデガラシは悪びれずに言う。
「まあ、堅い事言いなさんなって。でも田中君、定時帰りだとしてもずいぶん早くない? あっ、それから……そこの棚にあった焼き鳥の缶詰も頂戴したから!」
「あっ、それは俺の非常用おつまみ……はあ。まあいいです。ですが、今日は泊めませんからね。それ飲んだら出てって下さい!」
「えー。そこを何とかもう一声! ほらー。このへんならちょっと触ってもいいからさー。君のあこがれのダンケちゃんのおっぱいだよー」
そう言いながら、それほど大きくはない胸を前に突き出してくる。
「ふざけるな! どこがダンケちゃんだ! 全然似てないし……それにダンケちゃんならそんな事はしない!!」
「そんなに怒鳴らなくても……あれはアニメだし、かなり美化されちゃってるけど、私は正真正銘、本物のマジノ・ダンケルク!」
「まったく口から出まかせを……証拠はあるんですか? あー、あのインチキ魔法以外に」
「いや、証拠と言われてもねー。戸籍は多分、五十嵐かえでだし……そうだな。マジノ・リベルテの秘話とかじゃだめかな?」
「何を適当な。どうせブルーレイで覚えた知識とかでしょ!?」
「いやいやいや。本当の秘話。例えば……マジノ・アルデンヌは黒い半透けレースのパンティーしか履かないとか……」
「えっ!? マジ?」しまった! 思わず喰いついてしまった!!
「ふふふー。やっぱり男の子だねえ……マジノ・ノルマンディのネタもあるよ!」
「い、いや。俺、推しはダンケルクだから……」
「だからー。昔話でよければなんぼでもお話してあげるからさー。いっしょに飲も!!」そういいながら、デガラシは冷蔵庫から缶ビールを二本取り出し、一本を「ホイッ」と俺に押し付け、もう一本の口をプシュッと開け、おいしそうに一口飲んだ。
◇◇◇
「そんでね。さっきも言ったけど……アルデはもともと家がお金持ちで、めっちゃおしゃれなのよー。魔法少女ってさ。変身するとスカートの中があのフリフリで満たされてぱんつ見えないじゃん。なのに万一見えたら大変-って言って、いっつも超高級なやつを履いてた訳」
「へえー。でもアルデって、そんな感じですよね。インテリお嬢様キャラだし……だけど変身の時って、下着も飛び散るんじゃ?」
「いやいや。なぜか一度飛び散ってまた元に戻る! 衣装は替わるのにね。
そんな事、アニメじゃわかんないよね!」
結局、二人で缶ビールを何本空けたのか……冷蔵庫には結構入れてあったはずなんだが。話がマジノネタだった事もあり、俺も気分が良くなってきて、デガラシとすっかり話し込んでいた。
「そんでね。それと対象的に、ノルマは男兄弟が多くてさ。たまに男物のぱんつじゃね見たいなの履いてるの! 多分ああいうトランクスっぽいのが好きなんだよね。でも、私は普通のシマパンが好きかなー」
「はははは、ほんとだったらすげえ裏話っすね。でもマジノの三人って、そんなぱんつ見せあうくらいの仲なんですね」
「そりゃそうよ。最初はたまたまいっしょの中学だって事で知り合ったけど、あのハンザキに騙されて魔法少女になってさ。変身する度に着てるもんが一度はじけて、またくっつく過程を何度見たか……もう、お互いの体形も下着の好みもバレバレなのよ! 毛が生えるのだってアルデが一番早かったし……」
「はははは……でもハンザキって? そんなのアニメにいましたっけ?」
「ああ、さすがにそのまんまはグロいんで、アニメでは丸っちい妖精みたいな恰好してたけど、モノホンは白いオオサンショウウオみたいな奴なのよ。こう体長が80cmくらいあって、ヌチャッ、ヌチャッって歩くの。ノルマンディがもともと西の方出身で、ハンザキだって言ってた。あっちでは、オオサンショウウオをそう呼ぶんだって」
「ああ。妖精のクリムポンかな……そっか。あれがオオサンショウウオ……でも、何でそんなものが魔法少女を?」
「よくわかんない。なんか魔王が出現すると連動してあれも出てくるみたいよ。
でさ、田中君。もうビールが無いんだけど……それにお腹もすいた。おつまみももっとない?」
「あー、しょうがないなー。そんじゃ、明日は休みだし、秘蔵のやつ出しちゃおうかなー」俺はもうかなり酔っぱらっていて、ほとんど反射的に押し入れから一升瓶を取り出し、その脇に置いてあった乾きモノのツマミもテーブルに並べた。
そして……あれ? 俺、寝落ちしてた?
気が付くと、一升瓶は空になっていて、出したツマミもすでに全滅していた。
ありゃ、もうこんな時間か……風呂も行きそびれちまったな……などと考えながら頭をあげたら、目の前にデガラシの尻があった。どうやらこいつも寝落ちしたらしい。
「まいったな……結局、泊めちまった。でもこいつの話、面白かったな。まあ、かなりコアなマジノファンなのは間違いない。こいつが二次創作とかやったらウケるかもな」などと言いつつ、ついデガラシのぱんつの方に眼がいってしまう。
「いかんいかん。こんな盗み見る様なマネは男らしくない……って、あー!? ぱんつ!」俺が大きな声を出したせいで、デガラシが気が付いた様だ。
「なによー。何騒いでんの? 見る位は別にいいわよ……」
「そうじゃねえ! お前、なんで俺のぱんつ履いてるんだ!?」
「あー。これ? そりゃ、私のは三日前から履きっぱなしだったから、洗って窓の外に干してあるわ。ブラとTシャツはまだ我慢出来るけど、さすがにぱんつは……ちょっとくらい貸してくれてもいいでしょ? ちゃんと洗って返すからさ。それとも洗わない方がいい?」
なんか一気に酔いが醒めたのか、頭が痛くなったので流しで水を飲んだ。
「あー私にも水、頂戴」
デガラシが足元に這い寄ってくるので、仕方なく水を入れたコップを渡した。
「ふはー。蘇る……」デガラシが俺の足元で女の子座りしながら水を一気飲みした。
「あのさデガラシ……」
「はい? デガラシ?」
「あ、いやごめん。五十嵐なんだけど、なんか魔法少女の出がらし見たいな感じがしてて」
「はは…‥それいいかも。私は確かに出がらしだわ」
「ここまで話こんじゃったら、まあ、友達という事でいいんだけど……いつまでここにいるつもり?」
「それなんだけどさ。田中は私の熱心な信者みたいだし……手伝ってくれないかな?」
「手伝う? 何を?」
「私さ。魔王倒して魔法少女卒業してからずっと心が満たされていないの。何が足りないのかはよく分からないんだけど、人として大事なものが欠落しちゃってる様な気がしててね。それを探そうと思ってるんだ。だから、それを手伝ってくれる人を探していたの」
「……それって、自分探しって事? 魔王倒して燃え尽き症候群とかになってた?」
「まあ、そんなところかも。ある奴のアドバイスで、中卒で手にスキルの無い私でも風俗なら稼げるって言われて……まあ確かに最初は、デリヘルで処女ってさ。なんか貴重がられていたんだけど、二十歳過ぎたころから何か変に気味悪がられる様になってさ。ある日、突然指入れようとしてきた酔っ払いの指をへし折ってやったのよ。それでクビ! それで、それまで貯めたお金が五百万円位あったんだけど、これだけあれば一生海見ながら暮らせるよって、またある奴に言われて沖縄に移住したんだけど……」
「ちょっと待った! あんたに風俗や沖縄移住を勧めた奴って一体?」
「うん……ハンザキ」
うわー。マスコット妖精、じゃないオオサンショウウオ……かなり闇深くねえか?
「そっか。それでいよいよお金が無くなって、こっちに舞い戻ってきたと?」
「うーん。お金が無かったのはもう数年前からよ。でも海で魚獲ったりしてなんとか暮らせていたの。それでずっと海見ながら考えてた。私の人生ってずっとこんななのかなーって」
「ちなみに、両親とか親戚とかは?」
「そんなのいないよ。それは魔法少女になる前からそうだった」
「ああ、そうなんだ。まあそれじゃそのへんの事情は深くは聞かないよ。でもそっか。あんたはあんたなりに悩んで苦労してきたって訳だ……わかった。それじゃこうしよう。俺も普通に仕事があるサラリーマンだから、あんたの自分探しをいつも手伝ってやるのは難しいと思う。だけど、あんたが自分でなんとかするってんなら、当面、ここにいてもいいよ。しかし……タダ飯はダメだ。金も何とかして自分で稼げ!」
「えー。でもありがと。助かる……アルバイトは蒲田とか川崎でいいかな?」
「あのー。俺の夢が壊れるんで、風俗はやめてね。別に家賃まで寄こせとは言わんので、自分の食費位ならコンビニでもファミレスでも、バイトで稼げるでしょ」
「わかった。田中がそう言うならそうする」おっ、なんか意外と素直だな。
「でも、お金なくて、よく東京に来られたな」
「ああ。最初は泳ごうかと思ったんだけど、奄美に着く前にお腹空いちゃったんで、考え直して旅客機の車輪にへばりついて羽田まで来たんだ!」
マジかよ。まったくどこまでが本当でどっからがホラなのか……
「それで……自分探しの当面の方針はなんかあるの?」
「うん。昔の仲間に会ってみようかなって思って。
こっちに出て来た理由もそれが大きいかな」
「仲間って……アルデンヌとノルマンディ?」
「そう。それに……あと、カルカチュアの幹部とかにも会ってみたい」
カルカチュアというのは、魔王を擁していた悪の組織だな。
はは。実在しているなら俺も会ってみたい……
「そっか。それじゃ俺、明日は休みなんで、取り合えずいっしょに買い物行こうな。おまえのぱんつ買いに……金は少しなら貸してやるから、後で返してくれ」
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