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23 最後の合戦
23-4 別れ
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ついに七月を迎えたが、秀吉の軍勢は、いくら待てども現れなかった。
待ちきれなくなった前田与十郎が、勝手に和睦を決め、三日に城を明け渡すと約したのである。
「援軍がいつくるとも言えず、これ以上、引き止めるのは難しいものかと」
日々、与十郎を宥めていた義太夫が、申し訳なさげに言う。
一益は静かに頷き、
「手筈は?」
「整うておりまする。開城は明日。決行するのであれば、今宵しかありませぬ」
前田与十郎は『和睦』の言葉にすっかり安心していたが、信雄も、家康も、信用ならない。
「あの鉄砲隊の配置を見ても、とても和睦する気があるとは思えぬ」
寄せ手の鉄砲隊は筒口をこちらに向けたままだ。
開城すれば、全員討ち取られる。――それならば、脱出しかない。
「皆を集めよ」
「ハハッ」
義太夫が足早に去ると、一益も太刀を掴んで立ち上がる。
(まことに、あの間道が役立つ日が来ようとは……)
かつて義太夫と木全彦一郎が、蟹江川の河口に抜ける抜け道を作った。
その入口は井戸の底。
清須の帰りに立ち寄ったとき、二人が胸を張って言った。
『井戸の底を掘り抜き、河口に出る抜け道としてござりまする!』
胸を張る二人を見て、一益は静かにため息をついた。
『うつけ者ども。籠城の要が何かも知らぬと見える。井戸を抜けば塩水となること、なぜ気づかぬ』
叱責の声に、二人は顔を見合わせ、青ざめた。
それでも――あの頃の彼らは、愚かで真っすぐだった。
その手で掘った井戸が、今こうして命を繋ぐ道となるとは。
(理に叱り、情に救われるとは、皮肉なものよ)
人の愚も、年月を経れば智となる。だからこそ、老いとは慈悲を知ることかもしれない。
「立派に役立ってくれるではないか、義太夫」
太い綱を井戸の底まで下ろし、一人ずつ降りていく。
「ハッ。これも彦一郎めが金堀人員を集めてくれたおかげでござります」
途中、水に潜って泳がなければならない箇所がいくつかあったが、何といっても生き残ることを優先する素破の家。
家臣たちはもとより、子供たちにも、逃げるときには欠かせない馬術と水練は必須で習得させている。
「かような抜け道があったとは…。それゆえ義太夫はあのように自信ありげに話しておったのか」
三九郎が感心している。
「はい。この先には船もござりますゆえ、寄せ手に気付かれぬよう、白子まで参りまする」
腰まで水に浸かりながら歩き、最後は水に潜って間道を抜けると蟹江川に出た。
一行は何隻かに分かれて船に乗り、白子を目指す。
「殿、あれをご覧くだされ」
助九郎が指さす方向を見ると、舟入沿岸に無数のかがり火が見えた。
「あれほどの船団が攻め寄せていたとは…」
毛利との海戦以来、無敵だった九鬼海賊の大船を沈めたのは、徳川方の船だ。
(九鬼勢は無事、志摩についたであろうか)
いつ寄せ手に見つかるかと肝を冷やしながらの逃走だったが、明日には開城が決まり、寄せ手は油断していた。
見張りの兵に気づかれることなく、船は陸を離れていく。
やがて少しずつ蟹江城を照らす明かりも、舟入のかがり火も小さくなっていった。
――遠ざかる灯の数だけ、置き去りにした命がある。
翌日、白子についた滝川勢の元に、蟹江城を開城した前田与十郎が一族郎党共々討ち取られたとの知らせが届いた。
「やはりだまし討ちであったとは。危のうござりましたな」
九死に一生を得て、三九郎も家臣たちも胸をなでおろすが、事はそう簡単ではない。
蟹江城を攻略したとの知らせを受けた秀吉は、長島城を包囲するため、大軍勢を率いて亀山まで来ている。
「殿。なにやら浮かぬ顔で」
義太夫が声をかけると、一益は黙って頷き、
「筑前はいまだ蟹江城が落ちたことを知らぬ。知らせを送らねばなるまい」
蟹江城がすでに敵の手に渡ったと知れば、戦略を練り直す必要が出てくる。
一益は亀山城へ使者を送るとともに、家臣たちを率いて亀山城へと向かった。
――人の誠を信じて討たれ、人の謀をもって生き延びる。
戦とは、かくも皮肉なものか。
美濃の大垣に弟の羽柴秀長、自身は亀山まで来て蟹江城に籠る一益と供に長島攻めを予定していた秀吉は、亀山城を始めとする蟹江浦一帯の城がすべて奪われたと聞き、激怒していた。
一益が三九郎と共に秀吉の前に伺候すると、秀吉はあからさまに不快感をあらわにした。
「前田与十郎を見殺しにして、一人で城を逃げたとは一体、如何なる所存か」
ここは謝るしかない。一益が平伏して、詫びを入れようとすると、それまで黙っていた三九郎が顔を上げた。
「さにあらず。城を奪ったと何度知らせを送っても、援軍は一向に現れず、知らせひとつ届かぬ有様の中、我らは万を超える織田・徳川の大軍を相手に戦うていたのでござります」
秀吉の詰問に対し、三九郎が声高に異を唱えると、秀吉をはじめ、居並ぶ羽柴家の家臣たちの顔色が変わった。秀吉の元に正しい情報が届かないのは秀吉の側近たちの不手際であるが、羽柴勢が纏まりのない動きしか取れないのは、今の秀吉の一番の泣き所であり、三九郎に指摘されるまでもなく分かっていることだろう。
これは拙いと思い、三九郎を制しようとするが、虎や葉月、章姫のこともあり、三九郎は黙っていることができなくなっている。
「羽柴殿の本隊が大坂まで退いたとの噂を聞いた前田与十郎が、我らが止めるのも聞かずに勝手に和議を結び、城を開けるというたので我らは城を後にしたまでのこと。それもこれも、羽柴殿が…」
「三九郎、もうやめにせい」
一益が制すると、三九郎はようやくその場の凍り付いたような空気を察して口を閉じた。
白子の潮風が、戦の匂いを洗い流していた。
誰も言葉を継がなかった。潮騒だけが、残された兵の息を撫でていった。
秀吉は不機嫌そうに三九郎を見下ろす。
「ではその方は、前田与十郎を死なせたのは、わしのせいだと、そう言いたいのじゃな」
「いや、そうではなく…」
と一益が言いかけると、三九郎が目をむいて秀吉を睨む。
「兵は拙速を聞く、未だ功の久しきを覩 ざるなりと申します。せめてあと三日早く援軍が到達していれば、蟹江城は開城することはなかったものと存じまする」
いかに正論とはいえ、羽黒、長久手、そして蟹江とことごとく家康に負けている状況で、兵法を説く意味はない。
広間の空気が、一瞬にして冷えた。誰もが息を呑み、時が止まったかのように静まる。
秀吉の目がわずかに細くなり、笑みとも怒りともつかぬ光が宿った。――理を語る者ほど、使いづらい。
秀吉がイライラとして三九郎を睨むのを見て、いよいよこれは拙いと感じ、
「筑前殿。ここは一旦、大坂に戻ったのちに織田家と和議を結んでは如何なものか」
一計を案じて、そう進言した。
「何、和議とな?」
秀吉は四国の長曾我部、そして紀州の雑賀衆など、四方に敵を抱えている。戦線を拡大したまま家康と戦い続けても、良い方向には転ばないと、一益はそう見ている。
「然様。中将殿の重臣、滝川三郎兵衛に話を付ければ、こちらに有利な条件で和議を結ぶことも可能かと。中将殿が和議を結べば、徳川は戦さの大義名分を失う。三河・遠江は昨年来飢饉が続き、更に此度の戦さが長引いたがために領内はますます疲弊している。その上、大儀なくば兵を引かざるを得まい」
「父上、それでは…」
長島を奪うことなく織田家と和議を結べば、北伊勢五郡を取り戻すときは失われてしまう。
(それでよいのだ)
一益は三九郎を見て、うなずく。
この戦さで守りたいと思った者たちを守ることはできず、それどころか多くの者を失った。この先、戦さを続ければ,更に家臣たちを失うことになる。そんなことになるくらいであれば、もう、この不毛な戦さを終わらせたい。
「されど、かように負け戦さ続きで和議を結ぶというて、有利な条件が引き出せると?」
「そのためには伊勢にある中将殿の諸城を落として領地を削り取り、かつ、朝廷に働きかけて中将殿よりも高い位を得ることが必至となりましょう」
中納言である織田信雄よりも上の位を得ることは秀吉の頭にすでにあるはずだ。この一年、秀吉はしきりに内大臣・今出川晴季に働きかけている。
秀吉はしばらく考えているようだったが、やがて納得したように頷き、
「よかろう。一旦、大坂に戻るとしよう。滝川三郎兵衛との折衝はお任せしたい。かねてよりの約定通り、滝川殿の姫はお返しし、隠居料三千石、そして嫡子に一万二千石与える。されど…」
秀吉は一度、ゆっくりと視線を巡らせ、三九郎をじっと見据えた。
「滝川三九郎は廃嫡、追放。家督は次子八郎に移し、八郎は羽柴小一郎の預かりとする。」
三九郎の顔から血の気が引き、言葉を探す手が空を掴んだように止まった。
一益は短く、しかし重い息を吐き、唇を噛みしめるだけだった。
「これは命令じゃ。背くことは許されぬ。」
秀吉はそう言い放つと、立ち上がり広間を後にした。
七月末。秀吉は兵を率いて大坂へ戻っていった。
四日市日永。
一益は集めた兵を帰し、子らを連れて実蓮寺を訪れ、蟹江城で葬った股肱の臣、谷崎忠右衛門の髻を埋葬した。
供養と称し、滝川家の面々が密かに顔を揃える。
三九郎を廃嫡し、八郎に跡目を継がせよと命じられたが、その八郎も羽柴小一郎の預かりになると聞いては、家中の憤りも抑え難い。
「命をかけて戦った我らに対して、余りと言えば余りの仕打ち。我等は筑前めの家臣にあらず。かように非情な命に従う道理などはござらぬ」
津田小平次が声を荒げ、一同も深く頷いて一益を仰いだ。
「殿。かくなる上は、織田方に寝返り、一戦交えては如何なものかと」
道家彦八郎が息巻いてそう言うが、一益は黙して語らない。
(もう八月。これ以上戦を続ければ、田の実りを奪う。民が飢える)
戦で民を苦しめることを、一益は何よりも恐れていた。
「無茶を申すな。姫様が捕らわれておる。筑前は姫様を返すと申しておるのじゃ」
義太夫が宥めるように言うと、彦八郎が怒気を孕んで振り向いた。
「では若殿はどうなる! 伊勢はおろか畿内追放で、地縁もなく、仕官も叶わぬ身となるのか」
秀吉は、三九郎に『一生浪人であれ』と命じたに等しい。
「皆、わしのことは案ずるな。素破の端くれじゃ。一人さすらうても、生き抜く術はある」
家臣たちの前でそう言い切ったが、胸の奥は静かに軋んでいた。
一益や義太夫らと離れ、この先どう生きるのか。――その道の先に、光はまだ見えない。
「殿のお考えは…」
義太夫が恐る恐る尋ねると、一益が顔を上げる。
「三九郎、上野へ行け」
「上野へ?」
かつて一益が領していた上野の地は、真田昌幸が治め、未だ北条・徳川と争いを続けている。昨年の合戦後、伊勢を離れて以来、昌幸からは何度も誘いを受けていたが、風花や子供たちを置いて再び関東の地に向かう気にはならなかった。
三九郎が追放になり、行く宛を探していたときに、噂を聞いた真田昌幸が、上野に迎え入れたいと声をかけてくれた。
「真田安房守はもろ手を挙げて、そなたを受け入れると知らせを送って来た」
上野を離れて二年がたつが、未だに国人衆は去り際の一益の振る舞いを誉めそやしている。
「上野の地には、神流川で命を落とした津田秀重、木全彦一郎をはじめ、我が家の多くの家臣たちが眠っている。菩提を弔ってやってくれ」
神流川で討死した津田秀重は三九郎の傅役だった。
「では、それがしも御供仕りまする!」
末席から声があがった。山村一朗太だ。
「よかろう。…で、八郎がことであるが…。彦八郎、そなたがともに行ってくれぬか」
羽柴秀吉の弟、羽柴小一郎の元へお預けとなった八郎には、道家彦八郎をつけて送ることにした。
「羽柴小一郎は兄とは異なり、真っ当な人柄と聞き及ぶ。幼い八郎に手荒な真似はせぬであろう」
これで決まった。
「ではここで、散会でござりますな。八郎も恙なく暮らせ」
三九郎が声をかけると、八郎が目に涙を浮かべ、歯を食いしばってうなずく。
「落ち着いたら知らせを送りまする。それまで久助をよろしくお頼み申します」
一益が無言でうなずくと、三九郎は立ち上がり、庭先で遊ぶ弟たちに声をかけた。
喜んで飛んできた二人は、しばしの間、三九郎の話を黙って聞いていたが、三九郎がいなくなると理解すると、取り縋って泣いた。
「なにゆえ、遠くへ参られる。我等と供に都に戻らぬのか」
「嫌じゃ。兄上、暘谷庵に戻りましょう。母上もお待ちじゃ。また、皆で共に暮らしましょう」
幼い弟たちにそう言われると、三九郎は返事に困り、木全彦次郎を見る。
二人の小さな手が、袖の裾を濡らした。
なんとか言い聞かせようとするが、六郎も九郎も、普段とは違う三九郎の態度を敏感に感じ取り、なかなか三九郎から離れようとはしない。
「これはなかなか手強い。若殿もお辛いのう」
道家彦八郎が義太夫に振り向いてそう言うと、
「万を超す大軍を前にして戦った若殿といえども、弟君たちにはなかなか勝てぬご様子じゃ」
「ここで我等も散々となるか」
滝川家の家人たちは、一部は蒲生忠三郎の元へ、他の者は秀吉の直参として迎えられることが決まっている。
「羽柴は子飼いの荒武者どもを抜かせば、屈指の凡将揃いというではないか。これからいくらでも立身出世が望めるであろうよ」
屈指の凡将とは、人を食った言い様であるが、元は足軽だった秀吉には、譜代家臣がおらず、親戚筋からかき集めた者を抜かすと、わずかに近江衆がいる程度だ。
「義太夫、その方はこれから如何致す?」
「まずはちと行かねばならぬところがあるが、わしはどこまでも殿と供におる。それゆえ、殿のことは案ずるな」
皆、根性の別れと涙する中、義太夫だけはどこまでも飄々としている。
義太夫は、遠目に子供たちの姿を見守る一益の傍に座る。
「にしても、筒井殿はご無事でしょうか」
秀吉が大坂へ戻り、ようやく戦さから解放された筒井順慶は、いよいよ病状が悪化したらしく馬にも乗れず、輿に乗って大和へ戻っていった。やせ衰え、その顔にはありありと死相が浮かんでいた。
「明智討伐の折、鼠とも猿とも呼ばれたご仁から、遅参を厳しくとがめられたのが原因と聞き及びましたが…」
確かに一益もそう聞いている。本能寺の変後の動きは、巷で噂されているように明智につくか、羽柴につくかと日和見を決め込んでいたと言われても仕方のない行為ではある。
(あやつはあやつで、苦労して手に入れた大和一国を守るのに懸命だったのであろうな)
曖昧な態度を取っていたと言われればそれまでだが、秀吉に分があることは最初から分かっていただろう。ただ、縁戚にあたる明智光秀に弓矢引くことができず、兵を動かせないまま、光秀が討たれた、というところではないだろうか。
それにしても一体、何を言われて、あそこまで衰弱してしまうのだろうか。
「大和の酒にも随分と世話になり申した」
義太夫が思い起こして唾を飲む。一益は苦笑して、
「寺に寄進して、旅立つ。皆、支度を整えよ」
促されて、別れを惜しんでいた家臣たちが旅支度を始める。かつて北勢を領していたときに菩提寺と定めたこの寺には一益の母、滝御前、佐治新介、義太夫の娘・お籍、そして谷崎忠右衛門を葬った。
(されど、ここに戻ることもない)
皆の行き先が決まった。今度こそ、もう、皆を巻き込んで旗揚げすることはないだろう。
庭先には、夏の風が吹き抜けた。
一益はその風に顔を向け、しばし目を閉じる。
(この風を、上野でも感じてくれればよい)
三九郎の背を見送りながら、そう思った。
かつて共に戦場を駆けた者たちも、皆それぞれの道を行く。
夏の陽が傾き、境内の鐘が遠く鳴った。
それは、滝川家が散る音のようでもあった。
――だが、その風は、まだ誰かの胸に吹いていた。
待ちきれなくなった前田与十郎が、勝手に和睦を決め、三日に城を明け渡すと約したのである。
「援軍がいつくるとも言えず、これ以上、引き止めるのは難しいものかと」
日々、与十郎を宥めていた義太夫が、申し訳なさげに言う。
一益は静かに頷き、
「手筈は?」
「整うておりまする。開城は明日。決行するのであれば、今宵しかありませぬ」
前田与十郎は『和睦』の言葉にすっかり安心していたが、信雄も、家康も、信用ならない。
「あの鉄砲隊の配置を見ても、とても和睦する気があるとは思えぬ」
寄せ手の鉄砲隊は筒口をこちらに向けたままだ。
開城すれば、全員討ち取られる。――それならば、脱出しかない。
「皆を集めよ」
「ハハッ」
義太夫が足早に去ると、一益も太刀を掴んで立ち上がる。
(まことに、あの間道が役立つ日が来ようとは……)
かつて義太夫と木全彦一郎が、蟹江川の河口に抜ける抜け道を作った。
その入口は井戸の底。
清須の帰りに立ち寄ったとき、二人が胸を張って言った。
『井戸の底を掘り抜き、河口に出る抜け道としてござりまする!』
胸を張る二人を見て、一益は静かにため息をついた。
『うつけ者ども。籠城の要が何かも知らぬと見える。井戸を抜けば塩水となること、なぜ気づかぬ』
叱責の声に、二人は顔を見合わせ、青ざめた。
それでも――あの頃の彼らは、愚かで真っすぐだった。
その手で掘った井戸が、今こうして命を繋ぐ道となるとは。
(理に叱り、情に救われるとは、皮肉なものよ)
人の愚も、年月を経れば智となる。だからこそ、老いとは慈悲を知ることかもしれない。
「立派に役立ってくれるではないか、義太夫」
太い綱を井戸の底まで下ろし、一人ずつ降りていく。
「ハッ。これも彦一郎めが金堀人員を集めてくれたおかげでござります」
途中、水に潜って泳がなければならない箇所がいくつかあったが、何といっても生き残ることを優先する素破の家。
家臣たちはもとより、子供たちにも、逃げるときには欠かせない馬術と水練は必須で習得させている。
「かような抜け道があったとは…。それゆえ義太夫はあのように自信ありげに話しておったのか」
三九郎が感心している。
「はい。この先には船もござりますゆえ、寄せ手に気付かれぬよう、白子まで参りまする」
腰まで水に浸かりながら歩き、最後は水に潜って間道を抜けると蟹江川に出た。
一行は何隻かに分かれて船に乗り、白子を目指す。
「殿、あれをご覧くだされ」
助九郎が指さす方向を見ると、舟入沿岸に無数のかがり火が見えた。
「あれほどの船団が攻め寄せていたとは…」
毛利との海戦以来、無敵だった九鬼海賊の大船を沈めたのは、徳川方の船だ。
(九鬼勢は無事、志摩についたであろうか)
いつ寄せ手に見つかるかと肝を冷やしながらの逃走だったが、明日には開城が決まり、寄せ手は油断していた。
見張りの兵に気づかれることなく、船は陸を離れていく。
やがて少しずつ蟹江城を照らす明かりも、舟入のかがり火も小さくなっていった。
――遠ざかる灯の数だけ、置き去りにした命がある。
翌日、白子についた滝川勢の元に、蟹江城を開城した前田与十郎が一族郎党共々討ち取られたとの知らせが届いた。
「やはりだまし討ちであったとは。危のうござりましたな」
九死に一生を得て、三九郎も家臣たちも胸をなでおろすが、事はそう簡単ではない。
蟹江城を攻略したとの知らせを受けた秀吉は、長島城を包囲するため、大軍勢を率いて亀山まで来ている。
「殿。なにやら浮かぬ顔で」
義太夫が声をかけると、一益は黙って頷き、
「筑前はいまだ蟹江城が落ちたことを知らぬ。知らせを送らねばなるまい」
蟹江城がすでに敵の手に渡ったと知れば、戦略を練り直す必要が出てくる。
一益は亀山城へ使者を送るとともに、家臣たちを率いて亀山城へと向かった。
――人の誠を信じて討たれ、人の謀をもって生き延びる。
戦とは、かくも皮肉なものか。
美濃の大垣に弟の羽柴秀長、自身は亀山まで来て蟹江城に籠る一益と供に長島攻めを予定していた秀吉は、亀山城を始めとする蟹江浦一帯の城がすべて奪われたと聞き、激怒していた。
一益が三九郎と共に秀吉の前に伺候すると、秀吉はあからさまに不快感をあらわにした。
「前田与十郎を見殺しにして、一人で城を逃げたとは一体、如何なる所存か」
ここは謝るしかない。一益が平伏して、詫びを入れようとすると、それまで黙っていた三九郎が顔を上げた。
「さにあらず。城を奪ったと何度知らせを送っても、援軍は一向に現れず、知らせひとつ届かぬ有様の中、我らは万を超える織田・徳川の大軍を相手に戦うていたのでござります」
秀吉の詰問に対し、三九郎が声高に異を唱えると、秀吉をはじめ、居並ぶ羽柴家の家臣たちの顔色が変わった。秀吉の元に正しい情報が届かないのは秀吉の側近たちの不手際であるが、羽柴勢が纏まりのない動きしか取れないのは、今の秀吉の一番の泣き所であり、三九郎に指摘されるまでもなく分かっていることだろう。
これは拙いと思い、三九郎を制しようとするが、虎や葉月、章姫のこともあり、三九郎は黙っていることができなくなっている。
「羽柴殿の本隊が大坂まで退いたとの噂を聞いた前田与十郎が、我らが止めるのも聞かずに勝手に和議を結び、城を開けるというたので我らは城を後にしたまでのこと。それもこれも、羽柴殿が…」
「三九郎、もうやめにせい」
一益が制すると、三九郎はようやくその場の凍り付いたような空気を察して口を閉じた。
白子の潮風が、戦の匂いを洗い流していた。
誰も言葉を継がなかった。潮騒だけが、残された兵の息を撫でていった。
秀吉は不機嫌そうに三九郎を見下ろす。
「ではその方は、前田与十郎を死なせたのは、わしのせいだと、そう言いたいのじゃな」
「いや、そうではなく…」
と一益が言いかけると、三九郎が目をむいて秀吉を睨む。
「兵は拙速を聞く、未だ功の久しきを覩 ざるなりと申します。せめてあと三日早く援軍が到達していれば、蟹江城は開城することはなかったものと存じまする」
いかに正論とはいえ、羽黒、長久手、そして蟹江とことごとく家康に負けている状況で、兵法を説く意味はない。
広間の空気が、一瞬にして冷えた。誰もが息を呑み、時が止まったかのように静まる。
秀吉の目がわずかに細くなり、笑みとも怒りともつかぬ光が宿った。――理を語る者ほど、使いづらい。
秀吉がイライラとして三九郎を睨むのを見て、いよいよこれは拙いと感じ、
「筑前殿。ここは一旦、大坂に戻ったのちに織田家と和議を結んでは如何なものか」
一計を案じて、そう進言した。
「何、和議とな?」
秀吉は四国の長曾我部、そして紀州の雑賀衆など、四方に敵を抱えている。戦線を拡大したまま家康と戦い続けても、良い方向には転ばないと、一益はそう見ている。
「然様。中将殿の重臣、滝川三郎兵衛に話を付ければ、こちらに有利な条件で和議を結ぶことも可能かと。中将殿が和議を結べば、徳川は戦さの大義名分を失う。三河・遠江は昨年来飢饉が続き、更に此度の戦さが長引いたがために領内はますます疲弊している。その上、大儀なくば兵を引かざるを得まい」
「父上、それでは…」
長島を奪うことなく織田家と和議を結べば、北伊勢五郡を取り戻すときは失われてしまう。
(それでよいのだ)
一益は三九郎を見て、うなずく。
この戦さで守りたいと思った者たちを守ることはできず、それどころか多くの者を失った。この先、戦さを続ければ,更に家臣たちを失うことになる。そんなことになるくらいであれば、もう、この不毛な戦さを終わらせたい。
「されど、かように負け戦さ続きで和議を結ぶというて、有利な条件が引き出せると?」
「そのためには伊勢にある中将殿の諸城を落として領地を削り取り、かつ、朝廷に働きかけて中将殿よりも高い位を得ることが必至となりましょう」
中納言である織田信雄よりも上の位を得ることは秀吉の頭にすでにあるはずだ。この一年、秀吉はしきりに内大臣・今出川晴季に働きかけている。
秀吉はしばらく考えているようだったが、やがて納得したように頷き、
「よかろう。一旦、大坂に戻るとしよう。滝川三郎兵衛との折衝はお任せしたい。かねてよりの約定通り、滝川殿の姫はお返しし、隠居料三千石、そして嫡子に一万二千石与える。されど…」
秀吉は一度、ゆっくりと視線を巡らせ、三九郎をじっと見据えた。
「滝川三九郎は廃嫡、追放。家督は次子八郎に移し、八郎は羽柴小一郎の預かりとする。」
三九郎の顔から血の気が引き、言葉を探す手が空を掴んだように止まった。
一益は短く、しかし重い息を吐き、唇を噛みしめるだけだった。
「これは命令じゃ。背くことは許されぬ。」
秀吉はそう言い放つと、立ち上がり広間を後にした。
七月末。秀吉は兵を率いて大坂へ戻っていった。
四日市日永。
一益は集めた兵を帰し、子らを連れて実蓮寺を訪れ、蟹江城で葬った股肱の臣、谷崎忠右衛門の髻を埋葬した。
供養と称し、滝川家の面々が密かに顔を揃える。
三九郎を廃嫡し、八郎に跡目を継がせよと命じられたが、その八郎も羽柴小一郎の預かりになると聞いては、家中の憤りも抑え難い。
「命をかけて戦った我らに対して、余りと言えば余りの仕打ち。我等は筑前めの家臣にあらず。かように非情な命に従う道理などはござらぬ」
津田小平次が声を荒げ、一同も深く頷いて一益を仰いだ。
「殿。かくなる上は、織田方に寝返り、一戦交えては如何なものかと」
道家彦八郎が息巻いてそう言うが、一益は黙して語らない。
(もう八月。これ以上戦を続ければ、田の実りを奪う。民が飢える)
戦で民を苦しめることを、一益は何よりも恐れていた。
「無茶を申すな。姫様が捕らわれておる。筑前は姫様を返すと申しておるのじゃ」
義太夫が宥めるように言うと、彦八郎が怒気を孕んで振り向いた。
「では若殿はどうなる! 伊勢はおろか畿内追放で、地縁もなく、仕官も叶わぬ身となるのか」
秀吉は、三九郎に『一生浪人であれ』と命じたに等しい。
「皆、わしのことは案ずるな。素破の端くれじゃ。一人さすらうても、生き抜く術はある」
家臣たちの前でそう言い切ったが、胸の奥は静かに軋んでいた。
一益や義太夫らと離れ、この先どう生きるのか。――その道の先に、光はまだ見えない。
「殿のお考えは…」
義太夫が恐る恐る尋ねると、一益が顔を上げる。
「三九郎、上野へ行け」
「上野へ?」
かつて一益が領していた上野の地は、真田昌幸が治め、未だ北条・徳川と争いを続けている。昨年の合戦後、伊勢を離れて以来、昌幸からは何度も誘いを受けていたが、風花や子供たちを置いて再び関東の地に向かう気にはならなかった。
三九郎が追放になり、行く宛を探していたときに、噂を聞いた真田昌幸が、上野に迎え入れたいと声をかけてくれた。
「真田安房守はもろ手を挙げて、そなたを受け入れると知らせを送って来た」
上野を離れて二年がたつが、未だに国人衆は去り際の一益の振る舞いを誉めそやしている。
「上野の地には、神流川で命を落とした津田秀重、木全彦一郎をはじめ、我が家の多くの家臣たちが眠っている。菩提を弔ってやってくれ」
神流川で討死した津田秀重は三九郎の傅役だった。
「では、それがしも御供仕りまする!」
末席から声があがった。山村一朗太だ。
「よかろう。…で、八郎がことであるが…。彦八郎、そなたがともに行ってくれぬか」
羽柴秀吉の弟、羽柴小一郎の元へお預けとなった八郎には、道家彦八郎をつけて送ることにした。
「羽柴小一郎は兄とは異なり、真っ当な人柄と聞き及ぶ。幼い八郎に手荒な真似はせぬであろう」
これで決まった。
「ではここで、散会でござりますな。八郎も恙なく暮らせ」
三九郎が声をかけると、八郎が目に涙を浮かべ、歯を食いしばってうなずく。
「落ち着いたら知らせを送りまする。それまで久助をよろしくお頼み申します」
一益が無言でうなずくと、三九郎は立ち上がり、庭先で遊ぶ弟たちに声をかけた。
喜んで飛んできた二人は、しばしの間、三九郎の話を黙って聞いていたが、三九郎がいなくなると理解すると、取り縋って泣いた。
「なにゆえ、遠くへ参られる。我等と供に都に戻らぬのか」
「嫌じゃ。兄上、暘谷庵に戻りましょう。母上もお待ちじゃ。また、皆で共に暮らしましょう」
幼い弟たちにそう言われると、三九郎は返事に困り、木全彦次郎を見る。
二人の小さな手が、袖の裾を濡らした。
なんとか言い聞かせようとするが、六郎も九郎も、普段とは違う三九郎の態度を敏感に感じ取り、なかなか三九郎から離れようとはしない。
「これはなかなか手強い。若殿もお辛いのう」
道家彦八郎が義太夫に振り向いてそう言うと、
「万を超す大軍を前にして戦った若殿といえども、弟君たちにはなかなか勝てぬご様子じゃ」
「ここで我等も散々となるか」
滝川家の家人たちは、一部は蒲生忠三郎の元へ、他の者は秀吉の直参として迎えられることが決まっている。
「羽柴は子飼いの荒武者どもを抜かせば、屈指の凡将揃いというではないか。これからいくらでも立身出世が望めるであろうよ」
屈指の凡将とは、人を食った言い様であるが、元は足軽だった秀吉には、譜代家臣がおらず、親戚筋からかき集めた者を抜かすと、わずかに近江衆がいる程度だ。
「義太夫、その方はこれから如何致す?」
「まずはちと行かねばならぬところがあるが、わしはどこまでも殿と供におる。それゆえ、殿のことは案ずるな」
皆、根性の別れと涙する中、義太夫だけはどこまでも飄々としている。
義太夫は、遠目に子供たちの姿を見守る一益の傍に座る。
「にしても、筒井殿はご無事でしょうか」
秀吉が大坂へ戻り、ようやく戦さから解放された筒井順慶は、いよいよ病状が悪化したらしく馬にも乗れず、輿に乗って大和へ戻っていった。やせ衰え、その顔にはありありと死相が浮かんでいた。
「明智討伐の折、鼠とも猿とも呼ばれたご仁から、遅参を厳しくとがめられたのが原因と聞き及びましたが…」
確かに一益もそう聞いている。本能寺の変後の動きは、巷で噂されているように明智につくか、羽柴につくかと日和見を決め込んでいたと言われても仕方のない行為ではある。
(あやつはあやつで、苦労して手に入れた大和一国を守るのに懸命だったのであろうな)
曖昧な態度を取っていたと言われればそれまでだが、秀吉に分があることは最初から分かっていただろう。ただ、縁戚にあたる明智光秀に弓矢引くことができず、兵を動かせないまま、光秀が討たれた、というところではないだろうか。
それにしても一体、何を言われて、あそこまで衰弱してしまうのだろうか。
「大和の酒にも随分と世話になり申した」
義太夫が思い起こして唾を飲む。一益は苦笑して、
「寺に寄進して、旅立つ。皆、支度を整えよ」
促されて、別れを惜しんでいた家臣たちが旅支度を始める。かつて北勢を領していたときに菩提寺と定めたこの寺には一益の母、滝御前、佐治新介、義太夫の娘・お籍、そして谷崎忠右衛門を葬った。
(されど、ここに戻ることもない)
皆の行き先が決まった。今度こそ、もう、皆を巻き込んで旗揚げすることはないだろう。
庭先には、夏の風が吹き抜けた。
一益はその風に顔を向け、しばし目を閉じる。
(この風を、上野でも感じてくれればよい)
三九郎の背を見送りながら、そう思った。
かつて共に戦場を駆けた者たちも、皆それぞれの道を行く。
夏の陽が傾き、境内の鐘が遠く鳴った。
それは、滝川家が散る音のようでもあった。
――だが、その風は、まだ誰かの胸に吹いていた。
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